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NSスチレンモノマー株式会社 大分製造所

バルブ運用管理のスマート化を推進し、プラント操業の高度な安定性を追求

スチレンモノマーを主力製品に広範な産業ニーズに応えるNSスチレンモノマー。同社の大分製造所では、たび重なるバルブ故障を受け、スマート・バルブ・ポジショナへの移行を推進。システムによるバルブの状態監視の強化を進めています。これにより、バルブの故障傾向を管理できる仕組みが整うなど、プラントの操業に高度な安定性がもたらされています。

工場・プラント分野 石油・石油化学 化学 鉄鋼 安全・安心 安定稼働 稼働改善 メンテナンスサポート コントロールバルブ(調節弁)/操作端 工場・プラントの設備診断

たび重なるバルブの故障を契機に高機能型ポジショナに更新

NSスチレンモノマー株式会社は、2011年8月に新日鐵化学株式会社(現・日鉄ケミカル & マテリアル株式会社)と昭和電工株式会社の共同事業会社として設立。食品容器や家電製品で多用されるABS樹脂などの原料となるスチレンモノマーを主力製品に、ベンゼン、トルエン、キシレンといった芳香族化合物の生産などを通じて広範な産業ニーズに応えています。

大分石油化学コンビナートに立地する同社の大分製造所の化学プラントでは、芳香族製造設備、スチレンモノマー製造設備2系列、ジビニルベンゼン製造設備の4プラントが操業しています。

「各プラントは1977〜1990年に稼働を開始して以来長年にわたり生産活動を続けていますが、特に2009年ごろからバルブの故障が多く発生するようになりました。その原因を探ると約4割が経年化によるバルブの開度を制御するポジショナの不調に起因するものでした」(山本氏)

これに対し同製造所では、各プラントで稼働するバルブのポジショナを旧来の機械式から、マイクロプロセッサを搭載した高機能型のポジショナへと順次切り替えていくことを決定。アズビル株式会社のスマート・バルブ・ポジショナを採用しました。

「当時、ポジショナのスマート化に特に先進的に取り組んでいたのがアズビルでした。アズビルのポジショナは、アズビル以外の他社製バルブにも取り付けられるため予備品を共通化できる点も大きなメリットでした」(上向井氏)

バルブの異常の予兆を速やかに捉え、故障発生を未然に防げる体制を整備

Valstaffはスマート・バルブ・ポジショナから、開度設定値とバルブ実開度の偏差など、稼働にかかわる各種データを収集。バルブの不調を早期に検知し、メンテナンスの意思決定に必要な情報を可視化することで、メンテナンス業務の効率化を支援します。

Valstaffの調節弁オンライン診断で表示したグラフ。バルブの稼働状況の確認、異常予兆の検知に加えて、オンラインまたはオフラインでの診断機能を利用したバルブの検査などもパソコンからの操作で行える。

大分製造所内にある四つのプラントでポジショナの更新を進めていく中で、アズビルから追加提案されたのが調節弁メンテナンスサポートシステム PLUG-IN Valstaff(以下、Valstaff)でした。生産プロセスの要所で稼働するバルブの故障は、プラント操業の継続性や生産物の品質に悪影響を及ぼす可能性がある上、オペレータにとっても非常に負荷がかかるものです。Valstaffは、スマート・バルブ・ポジショナから、開度設定値とバルブ実開度の偏差など、稼働にかかわる各種データを収集。バルブの不調を早期に検知し、メンテナンスの意思決定に必要な情報を可視化することで、メンテナンス業務の効率化を支援します。

「これまでオペレータは、意図しない流量の変化の発生など、問題が顕在化するまでバルブの異常に気付くことができませんでした。Valstaffでオンライン監視することで、稼働中のバルブの異常の兆候を早期に検知することができ、問題を未然に防ぐための対処がいち早く行えるようになります。安定的かつ安全な操業を行うための強力なツールになると考え、導入を決めました」(山本氏)

その後大分製造所では、2013年にジビニルベンゼン製造設備においてポジショナの更新が完了したのを契機にValstaffを導入し、50台のバルブの監視を開始しました。更新したポジショナからの情報でバルブの異常の兆候が確認できたことから、この仕組みを全設備に展開していくことになり、2016年には2系列あるスチレンモノマー製造設備の1系列のバルブ150台、2018年には芳香族製造設備の200台と、ポジショナのスマート化が完了した設備ごとにValstaffの適用を拡大していきました。現在では四つあるプラントのうち、三つのプラントで稼働する計400台のバルブの状態をValstaffで監視しています。

「最近では、Valstaffが表示するグラフから異常の兆候を読み取れるようになってきました。個々のバルブの個性や特性を見極めながら、どういう挙動を監視し、アラート発報の閾値(しきいち)をどこに設定するかといった運用方法を検討するとともに、アラートが上がった際の対応体制やルールの構築を進めているところです」(牧氏)

※Valstaffは、アズビル株式会社の商標です。

システムでバルブ検査を自動化。作業に要する時間と人的負荷を削減

スチレンモノマー製造設備で稼働するスマート・バルブ・ポジショナとトップガイド形単座調節弁。バルブの動作にかかわるデータがポジショナからValstaffに送信され、異常の兆候を速やかに検知できるようになっている。

スチレンモノマー製造設備で稼働するスマート・バルブ・ポジショナとトップガイド形単座調節弁。バルブの動作にかかわるデータがポジショナからValstaffに送信され、異常の兆候を速やかに検知できるようになっている。

Valstaffの導入は、バルブの点検の面でも大きな効果をもたらしています。大分製造所では2年に一度、定期修理のプラント停止時にバルブの作動検査を行っています。Valstaffからバルブに対してステップ的に開度設定値を変化させ、バルブ実開度の応答性を確認するステップ応答検査が非常に役立っています。

「これまで検査を実施する際には、計器室側に1人、バルブが設置されている製造現場側に1人の2人態勢で行ってきました。現場側の人員が個々のバルブの場所まで行き、互いに連絡を取り合いながら検査作業を進めていましたが、今ではValstaffが自動的に診断を実施してくれます。これにより、2人で7日程度を要していた検査作業が自動化され、約2〜3時間で完了できるようになりました。それに加え、16台のバルブを同時に検査してくれる機能もあり、大幅な作業の効率化につながっています」(牧氏)

大分製造所では、2020年をめどにスチレンモノマー製造設備のもう一つの系列で稼働する200台のバルブもValstaffで監視できるように作業を進めており、すべてが完了すればプラント全体の計600台のバルブ群がValstaffによって集中管理されることになります。

「目視や人の感覚で調整を行った後、データで状態を確認するとゼロ点開度がずれている場合があります。データを基にした検査や調整を行うことで検査品質も向上しました」(山本氏)

「アズビルのサポートサービスでは、年に一度、Valstaffに蓄積されたバルブの運転データを回収し、稼働傾向の分析や問題を抱えていそうなバルブの抽出などを行いレポート化してくれます。そこで得られる情報もメンテナンスのタイミングや運用方法の策定に大いに役立てていけると考えています」(上向井氏)

また、Valstaffに加え、フィールド機器を管理するアプリケーションのアズビルのデバイス・マネジメント・システム InnovativeField Organizer™のさらなる活用も目指しています。

InnovativeField Organizerでは、HART通信※1により各種フィールド機器の監視を行うことができます。将来的にはバルブだけではなく、流量計や圧力計などのデータも取り込み、より広範なフィールド機器の統合管理を実現し、プラント操業の継続性や安全性、生産性といった各局面で新たな価値を追求していきたいと考えます。アズビルにはそうした我々の取組みを引き続きサポートしてくれることを期待しています」(山本氏)

※InnovativeField Organizerは、アズビル株式会社の商標です。
※HARTは、FieldComm Groupの商標です。

用語解説

※1 HART(Highway Addressable Remote Transducer)通信

業界標準方式として世界的に普及しているフィールド機器と調節計、表示計などとの通信信号。

 

お客さま紹介

NSスチレンモノマー株式会社 大分製造所 設備グループ リーダー 山本 淳司 氏
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大分製造所
設備グループ
リーダー
山本 淳司 氏
NSスチレンモノマー株式会社 大分製造所 設備グループ シニアマネジャー 電気・計装・システム チーフ 上向井(うわむかい)隆作 氏
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大分製造所
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シニアマネジャー
電気・計装・システム
チーフ
上向井(うわむかい)隆作 氏
NSスチレンモノマー株式会社 大分製造所 設備グループ 電気・計装担当 牧 秀年 氏
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株式会社
大分製造所
設備グループ
電気・計装担当
牧 秀年 氏

NSスチレンモノマー株式会社 大分製造所

NSスチレンモノマー株式会社 大分製造所

  • 所在地/大分県大分市大字中ノ洲3
  • 操業開始/1969年
  • 生産内容/芳香族製品(ベンゼン、トルエン、キシレン)、スチレンモノマー、ジビニルベンゼン

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2019 Vol.5(2019年10月発行)に掲載されたものです。

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