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四国化成工業株式会社 丸亀工場

最適なオペレーション空間のデザインを追求
気づきを促し、プラントの安全操業を目指す

四国化成工業 丸亀工場では、主力製品である不溶性硫黄の増産に向け、プラントを増設。これに伴い、既設プラントの監視システムを含めてオペレーション環境を再構築し、限られたスペースの中でオペレータの動線や操作性を最大限考慮した計器室デザインを採用しました。同時に、若手オペレータの経験を補うことを目的に、重大事故防止に向けた気づきを高めるシステムや引継ぎ業務を効率化するツールを導入し、「より安全なプラント」を実現しています。

工場・プラント分野 化学 安全・安心 運転監視・制御システム&ソフトウェア

導入製品・サービス

増産体制に伴い新規スタッフを増員。安全操業にかかわる懸念が拡大

「独創力」を企業理念に、化学品と建材という二つの事業を展開する四国化成工業株式会社。化学品事業では、ラジアルタイヤ向けの不溶性硫黄をはじめ、プリント配線板用の水溶性防錆剤(ぼうせいざい)、プール・浄化槽の殺菌・消毒用シアヌル酸誘導品などの生産を主軸に事業を展開しています。一方、建材事業では壁材・舗装材、アコーディオン門扉やテラスなどの住宅・景観エクステリア商品などを市場に提供しています。

同社丸亀工場は、不溶性硫黄および水溶性防錆剤の生産拠点です。特にラジアルタイヤの製造に欠かせない不溶性硫黄については、新興国におけるモータリゼーションが急速に進む中で、年々市場規模が拡大。同工場への増産要請もますます高まっています。そこで、不溶性硫黄の生産を賄ってきたA系、C系という二つのプラントに加え、5年前にD系を追加。さらにE系の新設を決め、計4系統体制で運用することになりました。

「そこで切実な課題として浮上してきたのが、プラントの安全操業をいかに維持するかということでした。D系の新設時に、操業に当たるオペレータを10人程度増員。今回のE系の立ち上げ時にも、同規模の人員を増強します。しかし、新しく着任した人員のほとんどは経験の浅い若手です。ヒューマンエラーなども懸念され、大きな事故につながるリスクを考慮する必要がありました」(関氏) 。

使い勝手と安全性を考えた管制室のデザインにもチャレンジ

新設されたE系内の管制室。オペレータの監視、操作のしやすさを十分に考慮し、限られた空間を最大限に活かす形で機器の設置、動線設計が行われている。また、管制室に設置された協調オートメーション・システム Harmonas™と70インチの大型モニタを通して、管制室内にいるチームメンバー全員が現在の生産設備の状況をスムーズに共有する。

新設されたE系内の管制室。オペレータの監視、操作のしやすさを十分に考慮し、限られた空間を最大限に活かす形で機器の設置、動線設計が行われている。また、管制室に設置された協調オートメーション・システム Harmonas™と70インチの大型モニタを通して、管制室内にいるチームメンバー全員が現在の生産設備の状況をスムーズに共有する。

また、同工場ではこれまでA系、C系、D系の三つのプラントの監視をC系に設置した管制室で行ってきましたが、ここにE系の監視機器を受け入れるスペースはありません。そのためE系に管制室を新設し、D系とE系を新管制室で監視することにしました。その際、アズビル株式会社からプラントの動線や操作性を考慮した人間工学に基づく計器室デザインの提案がありました。

「これまでの管制室は、オペレータにとっての監視や操作のしやすさ、動線などが十分に考慮されたものではありませんでした。新たな管制室では、アズビルの提案する理想的なオペレーション空間を目指したデザインに、ぜひチャレンジしてみたいと考えました」(前田氏)

「懸念していた安全対策についても、プラントの異常予兆を早期に捉えて重大事故の防止につなげたり、ベテランと同じ情報を共有することによって若手の経験を補いながら、さらにヒューマンエラーも防いだりする、安全操業をトータルな側面で支援するシステムの提案がありました。これらを採用することで、『より安全なプラント』を目指しました」(長尾氏)

必要な情報への気付きを高め、迅速な判断によるアクションを支援

管制室に併設されたミーティングスペース。このスペースからはガラスの仕切りを通して管制室の状況が見渡せるようになっている。お客さまなどが管制室を見学するためのスペースとしても活用される。

管制室に併設されたミーティングスペース。このスペースからはガラスの仕切りを通して管制室の状況が見渡せるようになっている。お客さまなどが管制室を見学するためのスペースとしても活用される。

四国化成工業 丸亀工場は、アズビルの提案を全面的に採用することを決定。その後、綿密に検討しながら新管制室のデザインを固め、工事を進めました。2017年3月にE系プラントの稼働開始に合わせて、新管制室でのオペレーションがスタートしました。

「アズビルは、実際に監視盤のプロトタイプを作製し、オペレータの使いやすい形や角度を確認してくれました。さらに集中管理用モニタをはじめとする機器の設置、動線設計に関する細かな調整を、常に現場オペレータの声に耳を傾けながら進めてくれました。その結果、個々のオペレータが必要な情報を速やかに把握し、チームとして円滑に情報共有を行いながら、的確な判断に基づくアクションをスムーズに起こせるようなオペレーション環境を整えることができました」(藤井氏)

一方、業務の引継ぎを円滑に進めるためのツールである操業知識ベース OperationKnowledgeBase™(以下、OKB)は2016年2月に稼働を開始。4系統すべての現場の引継ぎ業務で活用されており、若手の知識や経験を補っています。

「以前はExcelのシートを使って引継ぎをしていましたが、OKBの導入によって日々のオペレーションの情報がデータベース化されたことは大きな進歩です。例えば何か気になる事象が発生したときにも、検索機能などで過去の類似事象を抽出し、どのように対処したかという情報も速やかに参照できるようになりました。また、OKBの活用で班員を取りまとめる班長の負荷も大幅に削減されました。さらに、OKBに蓄積された情報をナレッジとして活用し、新任オペレータの教育にも活かしていけると考えています。最近では工務係も保全内容を投入し、全社でOKBを活用する動きになっています」(藤原氏)

また、重要プロセス変数変動監視 ACTMoS™は、2017年7月の本格稼働に向けて、準備作業として必要なデータの収集を進めました。

「特にトラブル発生時には、監視モニタ上にはトラブルに連動して膨大なアラームが一斉に発生し、どの対処を優先すべきか判断が非常に困難になる状況があります。ACTMoSの稼働により、大量に発報されるアラームに重要な情報が埋もれないよう、情報が適正化されることに加え、未来の変動を予測して工場操業にとってクリティカルな状況を事前に検知しアラームを上げることで、見落としてはいけない情報をオペレータがしっかり捉え、正しい判断によるアクションを迅速に取ることが可能になります」(前田氏)

さらに将来的な展望として丸亀工場では、現在、A系とC系の監視を行っている管制室についても、今回の新管制室同様、理想的なオペレーション空間を目指した、デザインの最適化に着手していきたいと考えています。

「全プラントのシステムを統一化することでオペレータの作業が標準化され、操作ミスなどのトラブルを最小化することができます。まずは今回導入した『より安全なプラント』を実現するツール類のパフォーマンスを最大化できるよう、我々が使いこなし、習熟度、熟練度を上げていくことが肝要だと考えます。アズビルには引き続き、手厚い支援を期待しています」(関氏)

※Harmonas、ACTMoS、OperationKnowledgeBaseは、アズビル株式会社の商標です。
※Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

お客さま紹介

四国化成工業株式会社<br />丸亀工場<br />副工場長 兼 技術部長<br />関 伸治 氏
四国化成工業株式会社
丸亀工場
副工場長 兼 技術部長
関 伸治 氏
四国化成工業株式会社<br />丸亀工場<br />製造部<br />不溶性硫黄製造課<br />課長 前田 光宏 氏
四国化成工業株式会社
丸亀工場
製造部
不溶性硫黄製造課
課長 前田 光宏 氏
四国化成工業株式会社<br />丸亀工場<br />技術部<br />プラント技術課<br />長尾 隆宏 氏
四国化成工業株式会社
丸亀工場
技術部
プラント技術課
長尾 隆宏 氏
四国化成工業株式会社<br />丸亀工場<br />製造部<br />不溶性硫黄製造課<br />班長<br />藤井 忠志 氏
四国化成工業株式会社
丸亀工場
製造部
不溶性硫黄製造課
班長
藤井 忠志 氏
四国化成工業株式会社<br />丸亀工場<br />製造部<br />不溶性硫黄製造課<br />藤原 拓哉 氏
四国化成工業株式会社
丸亀工場
製造部
不溶性硫黄製造課
藤原 拓哉 氏

四国化成工業株式会社 丸亀工場

四国化成工業株式会社 丸亀工場

  • 所在地/香川県丸亀市港町147-1
  • 創業/1947年10月
  • 事業内容/不溶性硫黄、銅表面処理薬剤の製造

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2017 Vol.5(2017年10月発行)に掲載されたものです。

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