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三菱ケミカル株式会社 茨城事業所

クラウドサービスを活用したバルブの状態監視が大規模石油化学プラントの安全操業を支える

鹿島臨海工業地帯にあって、多種多様な石油化学製品を生産する三菱ケミカル 茨城事業所では、プラントの安定操業を実現するために、生産プロセスにおいて重要な役割を果たすコントロールバルブに着目。コントロールバルブの状態を検出するスマート・バルブ・ポジショナからの稼働データを解析・診断するクラウド型のサービスを導入し、バルブの不調やその予兆を捉え、より適切なメンテナンスを行う体制を整えています。

工場・プラント分野 化学 安全・安心 安定稼働 メンテナンスサポート クラウド・IoT・AI コントロールバルブ(調節弁)/操作端 ライフサイクルサポート

プラント操業を支えるコントロールバルブの状態監視による最適な保全を目指す

スマート・バルブ・ポジショナ 700シリーズ(①)を搭載したプレッシャバランス形ケージ調節弁(②)。石油化学製品の原料と併せて投入される蒸気の流量を制御している。

スマート・バルブ・ポジショナ 700シリーズ(①)を搭載したプレッシャバランス形ケージ調節弁(②)。石油化学製品の原料と併せて投入される蒸気の流量を制御している。

東京から80㎞圏に位置し、鹿島港周辺に2,877万㎡という広大な面積を誇る鹿島臨海工業地帯。石油精製や石油化学、電力、鉄鋼、機械、医薬などにかかわるメーカー各社の工場群が立ち並ぶ、日本屈指の生産拠点の一つです。国内最大の総合化学メーカーとして知られる三菱ケミカル株式会社の茨城事業所は、同工業地帯の神之池東部地区に広がる東部コンビナートで1971年1月に操業を開始。ナフサを原料として、エチレンやポリプロピレン、酸化エチレン、エチレングリコールなどの多種多様な石油化学製品を生産してきました。これらは、食品などの包装フィルムや容器、自動車部品、家電部品、家庭用合成洗剤などの製品に利用され、我々の生活を幅広く支えています。

同事業所では「KAITEKI事業所」の実現に向けて、生産活動における安全・安定操業や業務効率化、高品質化を目指した取組みを展開してきました。その一環として着目したのが、プラント操業において重要な役割を果たしているコントロールバルブ(以下、バルブ)です。バルブの不調やその兆候をいち早く捉え、適切なメンテナンスに役立てるために、バルブの稼働状態の検出が可能なスマート・バルブ・ポジショナを導入。2012年にはポジショナが収集した稼働データを基に状態監視を行うアズビル株式会社の調節弁メンテナンスサポートシステム PLUG-IN Valstaff(以下、Valstaff)を採用しました。

「一般的にバルブを分解して点検するのは8~12年周期ですが、その間のバルブの状態を正しく評価する際の劣化傾向の把握には、限られた情報と定期的な点検だけでは限界があります。エンジニアとしてはデータさえあればさらに何らかの改善ができるという想いがあり、ポジショナからのデータをモニタリングできるValstaffを導入することでバルブの不調やその予兆をいち早く捉え、メンテナンスの最適化も実現できると考えました」(栁澤氏)

バルブの状態を実情に即したかたちで把握できるクラウド型サービスを採用

さらに同事業所では、2017年からアズビルがユーザーに代わってValstaffに蓄積されたデータを半年ごとに解析・診断・報告を行うバルブ解析診断サービスの利用を開始。2018年からは同サービスで得られたデータを基に定修※1の計画段階で開放点検※2を行うバルブを選定し、その点検の中でデータと実際の劣化状態の差異を確認する信頼性の評価を進めていきました。

「異常予知、そしてメンテナンスの最適化という面からValstaffを活用し始めましたが、もう少し詳しい情報を得たいとなるとエンジニア自らがこうした情報を管理している所定のアセットシステムから、対象となるデータを抽出して分析する必要がありました。ところが、それには相応のスキルが不可欠です」(福田氏)

同事業所のエンジニアの中でもアセットシステムのエンジニアリングやデータ解析を得意としていないメンバーもいました。

「アセットシステムの使いこなしは得意としていないが、稼働状態や異常兆候のデータを見れば、メンテナンス周期をもう少し延ばせる、あるいは開放点検をすべきだという判断ができる人材はいます。今まではそのデータや解析結果を出すというところまで、すべてのメンバーが実施するのが難しい状況でした」(栁澤氏)

そうした折、アズビルから提案されたのが、バルブ解析診断の結果をクラウド上のWebコンテンツで提供するDx※3 Valve Cloud Serviceでした。同サービスは、Valstaffで収集した稼働データをクラウド上に自動送信し、解析・診断を実施するというもので、6カ月ごとにレポートを出していた既存のサービスに比べ、いつでもバルブの詳細な状態を把握することが可能です。Valstaffに蓄積されているバルブのデータを、見たいかたちで各エンジニアがWebコンテンツから容易に取り出すことができるようになっており、以前から課題となっていたアセットシステムを使いこなすという点も解消できました。

同サービスが正式にリリースされる前の2020年6月には、エチレンプラントで試験運用を開始しました。

「これによりエンジニアにとってバルブの診断情報がより身近になりました。製造部門からの問い合わせにもクラウドからダウンロードした報告書を基に、説明ができるようになっています。また、Valstaffの診断情報と開放点検を基にして得られた知見はプラントの財産として事例集にまとめる活動も行っています」(朝日氏)

Dx Valve Cloud Serviceの診断結果(バルブイラスト)とValstaffの診断情報(グラフ)クラウドサービスのため、場所や時間を問わず、ノートPCやタブレットといった各種デバイスからDx Valve Cloud Serviceへアクセスすることができる。

Dx Valve Cloud Serviceの診断結果(バルブイラスト)とValstaffの診断情報(グラフ)クラウドサービスのため、場所や時間を問わず、ノートPCやタブレットといった各種デバイスからDx Valve Cloud Serviceへアクセスすることができる。

データ活用に向けたマインドを醸成し、既存メンテナンスプロセスを変革

試験運用では、プラントのメンテナンスを担う各エンジニアがバルブの診断情報にアクセスし、可視化された情報を活用するという期待どおりの効果が得られました。この結果を受けて同事業所では、2021年4月から四つのプラントで本格的な運用を開始。今後、事業所内の12のプラントすべてに適用できるよう、スピード感を持って進めていく予定です。

「Webコンテンツとして各バルブの情報を確認できることで、自宅に居ながらにして現場のバルブの詳細解析レポートをチェックすることもでき、新しい働き方の可能性も感じました」(朝日氏)

「このようにデータを見えるかたちにすることは重要で、そのデータを有効活用できるようにエンジニアのレベルも併せて上げていく必要があると感じています。アズビルは現場を熟知した担当者が定期的にコンサルティングしてくれるので、私たち自身の気付きになるところもあり、こういったコミュニケーションは非常に大切だと感じています」(福田氏)

「今回の取組みで、バルブのメンテナンスにかかわるデータ活用を進めていくための体制が整いました。一方で、生産活動を支える様々な現場機器にはスマートセンサが実装されているものも多く、今後はそれらのデータも順次、クラウド上に集約していくような仕組みを構築、現場全体でデータを共有、活用し、さらなる安全・安定操業を目指していきたいと考えています。そうした将来に向け、アズビルにはさらに積極的な提案を期待しています」(栁澤氏)

※Valstaffは、アズビル株式会社の商標です。

用語解説

※1 定修

各種生産施設やプラントで定期的に実施される大規模な点検・修理作業。定期修繕。

※2 開放点検

定修などのタイミングでバルブを分解整備すること。

※3 Dx

「Dx」とは診断を意味する医療分野で、「Diagnosis(診断)」の略称。バルブの健康状態を把握し、お客さまにバルブを常に安全にお使いいただくことをこの言葉に込めています。

 

お客さま紹介

三菱ケミカル株式会社 茨城事業所 設備技術部 先進技術グループ グループマネジャー 栁澤 真之 氏
三菱ケミカル株式会社
茨城事業所
設備技術部
先進技術グループ
グループマネジャー
栁澤 真之 氏
三菱ケミカル株式会社 茨城事業所 設備技術部 計装グループ 担当マネジャー 認定検査室 朝日 秀介 氏
三菱ケミカル株式会社
茨城事業所
設備技術部
計装グループ
担当マネジャー
認定検査室
朝日 秀介 氏
三菱ケミカル株式会社 茨城事業所 設備技術部 計装グループ チームリーダー 認定検査室 福田 光史 氏
三菱ケミカル株式会社
茨城事業所
設備技術部
計装グループ
チームリーダー
認定検査室
福田 光史 氏

三菱ケミカル株式会社 茨城事業所

  • 所在地/茨城県神栖市東和田17-1
  • 操業開始/1971年1月
  • 生産内容/エチレン、ポリエチレン、酸化エチレン、エチレングリコール、プロピレン、ポリプロピレン、キュメン、アセトン、フェノール、ベンゼンなどの基礎化学製品

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2021 No.3(2021年10月発行)に掲載されたものです。

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