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東京藝術大学大学美術館

美術品保護に必要な厳密な温湿度管理と大幅な省エネルギーの両立を実現

東京藝術大学上野キャンパスにある大学美術館では、熱源設備の老朽化更新に合わせて省エネ対策を実施しました。文化的に貴重な美術品の保護には、厳密な温湿度管理が求められます。それに加え、社会的要請の強まる省エネルギーも大きな課題となります。この相反する二つの要求を、アズビルは現場での運用を十分理解した上で、高効率機器導入、最適な制御、BEMSを組み込むことで実現しました。

建物分野 学校 その他(市場・産業) 省エネルギー 安定稼働 老朽化対策 中央監視システム ダイレクトデジタルコントローラ 総合ビル管理サービス

文化財保護を継続しながら、重要設備の老朽化更新・省エネ実現を模索

多くの人が訪れるエントランスホール・展示室も快適な室内環境が保たれている。

多くの人が訪れるエントランスホール・展示室も快適な室内環境が保たれている。

国立大学法人 東京藝術大学は、我が国の芸術文化の発展において、常に指導的役割を果たしてきました。今日では、海外の大学・関係機関などとの連携基盤を活かしながら、世界的なトップアーティストの育成をはじめ、「藝大」の国際ブランドとしての確立を目指しています。

同大学は、その前身である東京美術学校以来のコレクションや歴代卒業生の作品などを収蔵・展示するため、1999年に東京藝術大学大学美術館を新設しました。地上4階、地下4階の建物内にある収蔵庫には重要な文化遺産が多数保管されています。日本最古の絵画として国宝に指定されている天平時代の「絵因果経(えいんがきょう)」や、江戸時代の絵師 尾形光琳の筆による重要文化財「槇楓図屏風(まきかえでずびょうぶ)」などの古美術品、重要文化財指定を受ける狩野芳崖(かのうほうがい)の「悲母観音」、上村松園(しょうえん)の「序の舞」といった近代絵画はその一例です。

こうしたデリケートな文化遺産の保管に当たっては、収蔵庫の温湿度を常に適切に保つ必要があります。しかし、2012年ごろから熱源設備の老朽化を原因とする不具合の兆候が表れ、大学側は設備の更新について検討を開始しました。

「所蔵する重要資産を最適なコンディションで維持し、その保護に努めることは、当大学美術館の大きな役割です。そのためには24時間365日、間断なく空調設備を稼働させる必要がありますが、エネルギーの浪費は避けなければなりません。文化財の保護同様、省エネルギーも重要な社会的要請であり、公共教育研究機関として十分な配慮が必要だからです」(薩摩氏)

同大学の上野キャンパスは、東京都の「環境確保条例」※1における大規模事業所に指定されており、同法制が定めるCO2排出量の削減義務を上野キャンパス全体で履行することが求められています。大学美術館は上野キャンパス全体のエネルギーの3分の1相当を消費していたため、省エネルギーの実践を最も優先すべき施設でした。

「今回の設備更新では、限られた予算の中、収蔵品保護に不可欠である高度な空調管理と省エネルギーという、相反する二つの要求を両立させることが課題でした」(牧本氏)

投資面でのメリットに優れたESCO事業として省エネ施策を実施

東京藝術大学では課題解決アプローチとして、老朽化した熱源設備の更新をESCO事業※2として公募することに決定しました。公募の結果、ESCO事業者としてアズビル株式会社が選定されました。

「アズビルの提案は、熱源設備の更新に加え、BEMS※3の導入や制御による空調設備の最適運転を核としたものでした。そこには、エネルギー使用量を直近3年間の平均に対し46.2%削減するという、困難とも思える高い目標が掲げられていました」(藤井氏)

その後、アズビルと共同申請した経済産業省の補助金が採択され、2014年9月に工事に着手。空調に不可欠な冷水/温水をつくり出す熱源を高効率な機器に置き換えるとともに、空調負荷に見合った効率運転やCO2濃度に応じた外気の取り入れなど、収蔵庫や展示室の特性に応じた各種制御を組み込みました。また、BEMSとして建物管理システム savic-net™FX2を導入しました。

中央監視室に設置されたsavic-net FX2。収蔵庫や展示室など大学美術館内の各エリアの温湿度や各設備のエネルギー使用状況を可視化。運用データも蓄積されている。

中央監視室に設置されたsavic-net FX2。収蔵庫や展示室など大学美術館内の各エリアの温湿度や各設備のエネルギー使用状況を可視化。運用データも蓄積されている。

高効率熱源機と熱源管理用デジタルコントローラ PARAMATRIX™4を導入。最適運転制御により大幅な省エネルギーを図った。

高効率熱源機と熱源管理用デジタルコントローラ PARAMATRIX™4を導入。最適運転制御により大幅な省エネルギーを図った。

※savic-net、savic-net FX、BOSS-24、PARAMATRIXは、アズビル株式会社の商標です。

収蔵庫の温湿度が高いレベルで安定、文化財の保護に最適な空間を確保

12月は博士審査展、1月は卒業・修了作品展で学生の作品を一般公開し、にぎわっている。

12月は博士審査展、1月は卒業・修了作品展で学生の作品を一般公開し、にぎわっている。

2015年4月から新設備による運用がスタート。美術館全体で、アズビルが当初掲げた目標を上回るエネルギー効率の改善を実現しました。上野キャンパス全体としての省エネ効果は、東京都の「環境確保条例」が定めるCO2排出量の削減義務を上回るものでした。一方、厳しい要件が課されていた収蔵庫の温湿度管理も、温度22℃±0.2℃、湿度55%±2%に維持しています。

「驚くべきは、大きな省エネルギーを実現しているにもかかわらず、温湿度は高いレベルで安定していることです。人の出入りなどによる熱負荷変動に対して、随時、温度の上げ下げや除湿・加湿などが行われているはずですが、収蔵庫内の環境は全くブレることなく常に温度22℃、湿度55%という値に制御されており、繊細な環境管理が求められる文化財の保護に最適な空間が確保されています。公募時点では、省エネ改修工事が貴重な文化財に影響を与えないか多少の不安がありましたが、その不安も見事に払拭(ふっしょく)されました」(牧本氏)

さらに、今回の取組みに合わせて、アズビルの提供する総合ビル管理サービス BOSS-24™による遠隔監視サービスも導入しました。

「常にアズビルの遠隔監視センターで監視しており、万一機器に不具合が発生しても、直ちに対応してもらえるのでとても安心です。加えて、設備の稼働状況が逐一記録され、それにかかわるレポートも得られるので、今後の省エネ施策にも活用できると考えています」(藤井氏)

東京藝術大学では、今後も学内の様々な施設での省エネ対策を積極的に進めていく予定です。

「当美術館は文化庁の公開承認施設※4の認定を受けています。先ごろ行われた認定更新の監査でも、収蔵庫の温湿度管理は『ほぼ完璧』と高く評価されました。この成果はアズビルの高度な制御および省エネルギーの技術力のおかげです。その技術を、我々の今後の取組みはもちろん、広く世の中にも提供し、社会的な貢献を果たしてほしいと思います」(薩摩氏)

用語解説

※1 環境確保条例

東京都が制定している環境・公害関連条例。正式名称は「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」で、都民の安全な生活環境の確保を図ることを主な目的に、工場公害関連の規制に加え、化学物質の適正管理、建築物の環境負荷低減、自動車公害対策などに関する規制が盛り込まれている。

※2 ESCO(Energy Service COmpany)事業

工場やビルの省エネルギーに関する包括的なサービスの提供を通じて、そこで得られる効果をサービス提供者が保証する事業。

※3 BEMS(Building Energy Management System)

ビル、工場、地域冷暖房といったエネルギー設備全体の省エネ監視・制御を自動化し、建物全体のエネルギーを最小化するためのシステム。

※4 公開承認施設

博物館や美術館などの国宝・重要文化財などの公開が、その保存上適切な施設において促進されることを目的とする「公開承認施設制度」に基づき文化庁が認定する施設。承認を受けた施設には、企画展における公開手続きを簡素化できるメリットがある。

お客さま紹介

国立大学法人 東京藝術大学 教授 薩摩 雅登 氏
国立大学法人
東京藝術大学
教授
薩摩 雅登 氏
国立大学法人 東京藝術大学 施設課 設備係 主任 牧本 力哉 氏
国立大学法人
東京藝術大学
施設課
設備係
主任
牧本 力哉 氏
国立大学法人 東京藝術大学 施設課 企画管理課 企画係 藤井 基城 氏
国立大学法人
東京藝術大学
施設課
企画管理課
企画係
藤井 基城 氏

東京藝術大学大学美術館

国立大学法人 東京藝術大学

  • 所在地/東京都台東区上野公園12-8
  • 創立/1949年5月
  • 設置学部/美術学部/音楽学部(大学)、美術研究科/音楽研究科/映像研究科(大学院)

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2016 Vol.3(2016年06月発行)に掲載されたものです。

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