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大阪市中央卸売市場 本場

卸売市場の運営を止めずに老朽化設備を更新
市場の稼働状況を考慮した施工で大きな省エネ効果を実現

野菜や果実、水産物の集分荷・取引の拠点として、また、大阪市の“台所”として市民の食生活を支える大阪市中央卸売市場 本場では、老朽化した冷凍・冷蔵庫用の冷却塔設備や空調用の熱源設備の更新にかかわる取組みをESCO事業として実施。単なる設備更新にとどまらない多彩な施策の実施により、当初の目標を大幅に上回る大きな省エネ効果を実現しています。

建物分野 その他(市場・産業) 省エネルギー 老朽化対策 中央監視システム 建物のエネルギーマネジメント

冷却塔、熱源設備の更新でESCO事業を活用。市場全体で省エネルギーを目指す

1931年11月、大阪市中央卸売市場 本場(ほんじょう)は、当時東洋一の規模を誇る総合市場として現在の福島区野田の地に開場しました。その後、1964年に国内経済の高度成長に伴う取扱数量の増加に対応するために東住吉区に開場した東部市場とともに、野菜、果実、水産物を取り扱う大阪市の“台所”として市民の食生活を支えてきました。現在、大阪市中央卸売市場 本場では年間で2600億円以上の取引が行われており、東京都の豊洲市場、大田市場に次いで国内では第3位の規模を誇っています。

同市場を運営する大阪市は、ESCO事業*1を活用した公共施設における省エネ対策の実施について、全国の自治体に先駆けて推進してきたことでも知られています。2005年の大阪市立総合医療センターを皮切りに、市の事業所やスポーツ施設、研究所、美術館など、数々の施設でESCO事業を活用してきました。

「大阪市中央卸売市場 本場においても、過去20年以上にわたって運用してきた冷凍・冷蔵庫用の冷却塔設備や空調用の熱源設備の老朽化が目立つようになっていました。ESCO事業として、設備を高効率なものに更新し、省エネルギーを目指していくことになりました」(藤井氏)

これに対し大阪市では、2018年度からの最長15年間でESCO事業を展開することなどの要件をまとめ、2016年6月に事業提案を公募しました。コンペでは、民間の学識経験者で構成されるESCO事業提案評価会議で審査が実施され、11月に最優秀提案者として、エネルギー使用合理化等事業者支援事業の補助事業を活用し、市場全体での省エネ率目標値を10%以上とする提案を行ったアズビル株式会社が選定されました。

「審査では、エネルギー削減量や二酸化炭素(CO2)排出削減量など具体的な省エネ効果のほか、ESCO事業に関する実績、施策にかかわる創意工夫、工事計画、稼働後のメンテナンス体制に至る詳細な項目に関して評点が付けられ、その総合評価によってアズビルの提案が最善であるという結果になりました」(中嶋氏)

市場の日常業務に支障がないように、周到な準備・計画に基づき工事を実施

空調制御盤内に設置されているsavic-net FX mini。

空調制御盤内に設置されているsavic-net FX mini

その後2017年8月にエネルギー使用合理化等事業者支援事業が採択、9月には工事がスタートしました。今回の施策の主な内容は、老朽化していた冷凍・冷蔵庫用の冷却塔を更新し、空調用熱源設備である冷温水発生機を高効率な空冷式ヒートポンプチラーに置き換えました。さらに給排気ファンにインバータを導入したほか、エネルギー消費量の多い水銀灯や蛍光灯が利用されていた場内照明のLED化も実施しました。これに併せてアズビルの建物管理システム savic-net™FX miniも導入。アズビルのデータウェアセンターとインターネット経由でつなぐことで、施設内のエネルギー消費動向を適切に管理できる仕組みを整えました。

工事の実施にあたっては、各卸売業者の作業や、市場の業務に支障がないよう配慮された施工計画が立てられました。 「例えば、生鮮食料品の鮮度を守る冷凍・冷蔵庫は、市場にとっての最重要設備です。しかも施設で共有される大型のものから各業者の店舗内に設置されている小型のものまで、市場内には約500台の冷凍・冷蔵庫があります。今回は、それらの冷凍・冷蔵庫の運転には欠かすことのできない冷却塔の更新をいかに日常業務に影響を及ぼすことなく行うかが重要な課題でした」(中嶋氏)

市場内の冷凍・冷蔵庫と冷却塔はすべて配管でつながっています。2台の冷却塔と各冷凍・冷蔵庫をつなぐ、この配管にはバックアップができるようにバイパス配管が設置されており、今回の更新作業を進めるにあたっては、このバイパス配管を利用して、冷凍・冷蔵庫を稼働させながら設備を置き換える方法をアズビルが提案、採用されました。片方の冷却塔が更新で停止している間は、もう一方の冷却塔のみで運転し、更新作業が完了したら、バイパス弁を切り替えて、もう1台の冷却塔の更新を行います。これによって冷凍・冷蔵庫、すなわち市場の機能を止めずに置換えを完了させることができます。

「実際の更新前にバイパス弁を切り替える大規模な動作確認試験を行い、水量確認、冷却水温度推移の計測などを行い本工事に臨みました。その結果、冷却塔の更新に向けて万全の準備が整い、実際の更新作業も問題なく完了させることができました。空調・熱源制御などを多く手がけるアズビルのノウハウを有効に活用することができました」(中嶋氏)

「約6000灯にも上る場内照明のLED化も、市場内に高所作業車を入れて実施するなど作業の難しさが予想されました。これもアズビルと協力しながら、市場関係者への事前周知を重ね、綿密な計画の下、施工を進めました。その結果、3カ月という短期で対象となる全灯をLED化することができました。短い期間の中で、このボリュームの工事をよくやり遂げてくれたと思います」(藤井氏)

屋上に設置された冷凍・冷蔵庫用の冷却塔。

屋上に設置された冷凍・冷蔵庫用の冷却塔。

空調用熱源機(空冷式ヒートポンプチラー)。ユニット(冗長)化されているので、故障が起きた際もバックアップ運転が可能となり、省エネルギーに加えて大きな安心感を得られている。

空調用熱源機(空冷式ヒートポンプチラー)。ユニット(冗長)化されているので、故障が起きた際もバックアップ運転が可能となり、省エネルギーに加えて大きな安心感を得られている。

早朝に行われる競りの様子。水銀灯、蛍光灯が利用されていた市場内の照明約6000灯をLED化。

早朝に行われる競りの様子。水銀灯、蛍光灯が利用されていた市場内の照明約6000灯をLED化。

※savic-net、savic-net FXは、アズビル株式会社の商標です。

当初の目標を大きく上回る、大きな省エネ効果を実現

こうした改修工事を実施した結果、大阪市中央卸売市場 本場では大きな省エネ効果を上げることができました。公募時にアズビルが提示したESCO事業対象設備の目標CO2削減率は約20.34%、原油換算削減量は約1106kl/年でしたが、改修工事実施1年を経て、その値を大きく上回る成果が達成されています。金額ベースで、削減予定額に対して123%という効果が得られました。

「今後、例えば市場に出入りする業者数の増加など、様々な環境変化が想定されますが、その変化の中でもなお一層の省エネルギーをいかに実現していくかが我々にとっての重要なテーマです。アズビルとの契約は15年と長きにわたりますが、その間随時、設備の運用改善やチューニングなどの提案をいただきながら、我々の取組みをしっかりとサポートしてくれることを期待しています」(藤井氏)

用語解説

※1 ESCO(Energy Service COmpany)事業

工場やビルの省エネルギーに関する包括的なサービスの提供を通じて、そこで得られる効果をサービス提供者が保証する事業。資金の担保などを顧客が提供し、顧客が一切の償還義務を負う「ギャランティード・セイビングス契約」と、ESCO事業者が一切の資金提供を行い、顧客が償還義務を負わない「シェアード・セイビングス契約」という二つの契約形態がある。

 

お客さま紹介

大阪市中央卸売市場 本場 本場副場長 兼 設備・施設担当 課長代理 藤井 勲 氏
大阪市中央卸売市場
本場
本場副場長
兼 設備・施設担当
課長代理
藤井 勲 氏

大阪市中央卸売市場 本場 本場担当係長 兼 中央卸売市場担当 係長(機械設備) 中嶋 純治 氏
大阪市中央卸売市場
本場
本場担当係長
兼 中央卸売市場担当
係長(機械設備)
中嶋 純治 氏

大阪市中央卸売市場 本場

大阪市中央卸売市場 本場

  • 所在地/大阪府大阪市福島区野田1-1-86
  • 開場/1931年11月
  • 事業内容/野菜、果実、水産物の集分荷、価格形成、決済など

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2019 Vol.6(2019年12月発行)に掲載されたものです。

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