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アマリウォーターゲートバンコク

省エネ国際連携事業として日本の最新BEMSを導入、ホテルの営業を妨げずに工事を実施し省エネルギーを実現

アマリウォーターゲートバンコクは、タイの首都バンコクにある繁華街プラトゥーナム地区に立地しています。同ホテルは、日本企業が立案したタイ国内における省エネモデル事業対象施設に選定され、BEMS導入を含む一連の省エネ施策を実施しました。その結果、空調・熱源設備の最適運転などによる多大な省エネ効果を達成。また、その効果を可視化する仕組みも実現し、タイ国内の省エネ先進事例として大きな注目を集めています。

建物分野 ホテル 快適 省エネルギー コスト削減 海外 中央監視システム ダイレクトデジタルコントローラ バルブ(電動弁)・操作器 建物のエネルギーマネジメント

導入製品・サービス

熱源最適化コントローラ PARACONDUCTOR

熱源最適化コントローラ PARACONDUCTOR

熱源管理用デジタルコントローラ PARAMATRIX-III

建物管理システム savic-net FX2

建物管理システム savic-net FX2

日本企業のモデル事業に選定。省エネ施策の強化に動きだす

タイの首都バンコクに1994年に開業したアマリウォーターゲートバンコク。ショッピングモールが立ち並ぶペッブリー通りに面し、34階建てのモダンな建築がひときわ目を引く5つ星ホテルです。市街を見下ろせるラグジュアリーな雰囲気の客室に加え、レストランやスポーツクラブなどの施設も充実しています。日本からも観光やビジネスで多くの人が利用しています。

現在、タイでは経済発展に伴い電力需要が急激に増加しており、エネルギーの効率的な利用が求められています。アマリウォーターゲートバンコクでも、コスト削減や環境対策を念頭に省エネ対策を行ってきました。

「建物の窓に遮熱フィルムを施したり、水のリサイクルシステムや空調用冷却塔のクリーニングシステムを導入したりするなど、我々も以前から様々な取組みを進めてきました」(Srisanit氏)

2009年、日本の中国電力株式会社は、タイの電気事業者の一つである首都圏配電公社MEAとの協業で、タイ国内での省エネモデル事業を計画しており、NEDO※1の公募案件である「国際エネルギー使用合理化等対策事業 国際エネルギー消費効率化等モデル事業」に申請し、採択を受けました。その後、中国電力が同事業の実現可能性を調査した結果、その対象施設として選ばれたのがアマリウォーターゲートバンコクです。同ホテルの省エネルギーに向けた熱心な姿勢が評価され、大きな効果が期待できると判断されました。

NEDOでは日本の省エネ技術を海外に普及させることを目的に、国外での省エネ施策実施にかかわる導入支援事業を進めていました。プロジェクトとして採択されれば、施策実施に必要となる機器の費用はすべてNEDO側が負担します。施設オーナーのコスト負担は工事費用のみで済むため、アマリウォーターゲートバンコクにとっても非常に魅力的な提案でした。

工事中も平常営業を継続、お客さまからの苦情は皆無

中央監視室にBEMSとして導入されているsavic-net FX。熱源設備の運転状況とエネルギー使用量を一目で確認できるようになった。

中央監視室にBEMSとして導入されているsavic-net FX2。熱源設備の運転状況とエネルギー使用量を一目で確認できるようになった。

中国電力では、空調や給湯、照明など、ビル全体を対象とした省エネ施策の具体的な実施内容を決定し、各領域を担当する日本のメーカーを選定しました。その中で、BEMS※2の導入や空調・熱源設備の制御を担当することになったのがアズビル株式会社とその現地法人であるアズビルタイランド株式会社でした。アズビルは、日系企業としては建物省エネルギーの分野で唯一タイに現地法人を置き、設計・工事・保守までワンストップでサービスを提供し実績を上げていました。

「アズビルのことは、制御分野で豊富な実績を持つ日本のメーカーとして古くから知っていました。今回の施策の心臓部ともいえるBEMSや空調・熱源制御部分をアズビルに担当してもらったことは、当ホテルにとっては非常に心強いものでした」(Srisanit氏)

工事は2011年後半にスタートしました。同年秋にタイを見舞った洪水災害の影響が少なからずあったものの、2012年3月にはすべての工事が完了しました。

アズビルが実施した具体的な施策は、まずBEMSとして建物管理システム savic-net™FX2を導入。熱源管理用デジタルコントローラ PARAMATRIX™-III(パラマトリックス スリー)や流量計測制御機能付電動二方弁 ACTIVAL™(アクティバル)などと連携し、そのデータを熱源最適化コントローラ PARACONDUCTOR™(パラコンダクタ)で蓄積。空調・熱源設備全体の稼働状況や消費エネルギー量などの“見える化”を行いました。“見える化”することで省エネ施策実施前後を数値として比較することが可能となり、それぞれの設備の省エネ効果もはっきり知ることができるようになりました。

冷水ポンプ、冷却水ポンプについてはそれぞれにインバータを導入。その時々の空調の需要に応じてポンプの稼働スピードを上げ下げし、冷水および冷却水の流量を制御することで電力の使用量を最適化しました。また、冷却塔のファンにもインバータを導入し、冷凍機の稼働状況に合わせて最小限の電力で運転しています。

「ホテルは24時間365日、休むことなく営業を続けています。特にお客さまの快適性を左右する空調にかかわる工事は細心の注意が必要です。日本企業ならではの綿密な計画、きめ細かな配慮によってスムーズに完了し、工事の件でお客さまからの苦情は一件もありませんでした。ホテルは今まで同様に何一つ変わりなく営業していますが、その一方で大きな省エネを実現しています」(Srisanit氏)

空調用冷水の流量を制御している流量計測制御機能付電動二方弁 ACTIVAL。

空調用冷水の流量を制御している流量計測制御機能付電動二方弁 ACTIVAL

冷凍機の最適な運転制御を行うPARAMATRIX-III。

冷凍機の最適な運転制御を行うPARAMATRIX-III。

冷凍機4台の稼働状況監視に用いられている熱量計。

冷凍機4台の稼働状況監視に用いられている熱量計。

ビル全体で15%の省エネルギーを達成、電気料金にも大幅な低減効果

熱源機械室は見学ルートとして整備されており、実際に行われた省エネ施策を冷凍機やポンプなどを見学しながら知ることができる。

熱源機械室は見学ルートとして整備されており、実際に行われた省エネ施策を冷凍機やポンプなどを見学しながら知ることができる。

省エネ施策の実施により、ビル全体で約15%もの消費エネルギーを削減しました。これは原油換算で年間約700キロリットル分の削減に相当します。

「電気料金としては、施策実施前には月当たり450万バーツ(約1660万円)かかっていたものが、330万バーツ(約1220万円)にまで下げることができました。この成果には大いに満足しています」(Srisanit氏)

さらに今回の省エネ施策による成果は、国を挙げて省エネ推進に取り組むタイにおいて、先進的な事例として注目を集めています。同ホテルでは、空調設備やBEMSが設置されている中央監視室などを見学コースとして公開。省エネルギーに関心を寄せる官公庁や教育機関をはじめ、ホテルやショッピングモールなどの商業施設などから、多くの見学者が訪れています。

アマリウォーターゲートバンコクでは、今回、導入したBEMSによって可視化・蓄積されるデータの分析なども行いながら、さらなる省エネ効果追求に向けた機器、運用の改善を進めています。

「アマリグループがタイ国内に展開する数多くのホテルでも、省エネ施策を実施していきたいと考えています。アズビルには実施後の運用面でも継続的に手厚いサポートをしてもらっており、今後も我々の省エネルギーに向けた取組みをしっかりと支えてくれることを期待しています」(Srisanit氏)

※savic-net、savic-net FX、PARACONDUCTOR、PARAMATRIX、ACTIVALは、アズビル株式会社の商標です。

用語解説

※1 NEDO(New Energy and Industrial Technology Development Organization)

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構。

※2 BEMS(Building Energy Management System)

ビル、工場、地域冷暖房といったエネルギー設備全体の省エネルギー監視・制御を自動化し、建物全体のエネルギー消費を最小化するためのシステム。

お客さま紹介

Amari Watergate Bangkok
エンジニアリング部長
(取材当時)
Udom Srisanit 氏

アマリウォーターゲートバンコク

Amari Watergate Bangkok

  • 所在地/847 Petchburi Road, Bangkok Thailand
  • 開業/1994年
  • 事業内容/ホテル、レストラン、スポーツクラブなど

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2015 Vol.6(2015年12月発行)に掲載されたものです。

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