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第一環境株式会社

検針員による水道メーター検針が困難な離島で、最新の無線通信技術を利用した自動検針を実用化

水道料金徴収業務で40年以上の実績を持つ第一環境は、兵庫県姫路市の南西沖合にある家島諸島の西島を対象とした水道メーターの検針業務を担当することになりました。離島であるがゆえに、従来の検針員による目視の検針では労力や時間といった負荷が非常に大きい状況でした。そこで同社では、低消費電力・長距離の通信を実現する無線通信技術を活用した自動検針の仕組みを構築。現地に出向くことなく検針業務を行える体制を整えました。

生活・環境・その他の分野 上・下水道 コスト削減 クラウド・IoT・AI 住環境 水道メーター

導入製品・サービス

離島での検針業務に要する多大な労力とコストが課題に

「水道サービスを未来につなぐ」を合言葉に、1975年の会社設立以来一貫して、生活に欠かせない水道関連の業務を手がけ、人々の暮らしに貢献している第一環境株式会社。提供するサービスは、メーター検針や料金収納、問い合わせ対応などの料金徴収業務から、量水器入出庫管理、給水台帳管理、料金徴収といった各種システムの開発・運用、給水装置管理、さらには水道施設についての運転監視や日常の巡視点検まで幅広い領域に及んでおり、同社の顧客は現在、全国124事業体、130事業所を数えます。

同社が水道の検針業務を請け負っている姫路市は、2006年の“平成の大合併”の際に、同市の南西沖合にある家島諸島を編入。諸島内の西島が、2017年4月から第一環境が担当する検針業務の管轄に組み込まれることになりました。

「西島に検針作業に行く場合、姫路港から船の定期便で家島諸島の坊勢島に渡り、そこからさらに船をチャーターして渡ります。また、島内の道が整備されていないため、島内各所に点在する各戸の近くの岸壁に船を着けながら移動して、検針員が目視で水道使用量の検針を行わなければなりません。さらに、島への上陸は潮の干満や天候にも左右されるなど、検針業務を行うこと自体が厳しい環境でした」(菊地氏)

「西島の検針現場には、危険を伴う箇所も散在しています。検針業務を専門に行う検針員の雇用が困難なため、姫路営業所の社員2人が西島に向かい、ほぼ1日をかけ検針作業を行っていました。さらに船はチャーターしなければならず、コストも大きな課題となっていました」(道又氏)

LPWA活用による自動検針の実現へ、先進的な取組みの推進を決断

西島に設置された電子式水道メーター

(1) 西島に設置された電子式水道メーター(左)とSigfox用無線発信機(右)。(2) 確実なデータ送信が行えるよう、設置時に電波の状況によって無線発信機の場所や高さを調節している。

以前から、第一環境は、有線もしくは無線の通信を利用した自動検針システムを導入し、離島や山間部などでの検針業務の効率化を進めるための検討を行っていました。しかし、導入に当たっては、通信費用が高額であることや、必要となる無線発信機の製品化の予定が見えないことなど、費用対効果や実現性の点で課題を抱えていました。

「アズビル金門株式会社に西島での検針に関する課題を相談したところ、無線通信技術であるLPWA(Low Power Wide Area)※1の一つであるSigfox※2を使った自動検針システムを提案されました。その提案は、広域通信による自動検針を可能にし、コストを最小限に抑えることができるものでした」(菊地氏)

「アズビル金門は、新たに必要となるSigfox無線発信機の開発も含めた具体性のある提案をしており、迅速に開発を進めようとしていました。そうしたメーカーとしての姿勢が信頼できると考え、導入を決めました」(松本氏)

これを受けて、第一環境とアズビル金門に加え、KDDI株式会社、日本におけるSigfoxの事業者である京セラコミュニケーションシステム株式会社とコンソーシアムを結成。4社協業でのプロジェクトが動き出しました。

ライセンス系LPWAとアンライセンス系LPWAの違い

ライセンス系LPWAとアンライセンス系LPWAの違い

※Sigfoxは、Sigfox S.A.の商標です。
※LoRaWANは、Semtech Corporationの商標です。

現地を訪問せずに継続的な検針業務が可能に

本プロジェクトに当たり、アズビル金門ではSigfox無線発信機を開発。2017年9月末から10月初旬にかけて、アズビル金門の電子式水道メーターとSigfox無線発信機を島内28カ所に設置する工事を行い、同11月からSigfoxを使った自動検針システムを本稼働しました。

「効率的に自動検針を行う仕組みが整い、各戸の水道使用量を順調に検針できています。さらに、今回のプロジェクトは、Sigfoxを使った自動検針を実現した先進的な事例として、各方面から大きな注目を浴び、予想を上回る反響がありました」(菊地氏)

今回のシステムでは、電子式水道メーターに取り付けられた無線発信機を使って、1日に2回の検針データがSigfoxのサーバに送信されます。第一環境の担当者はこのサーバにWeb経由でアクセスして検針データを確認。その水道メーター指針値を第一環境の検針用のハンディターミナルに入力し請求処理に移行します。検針のために長い移動時間をかける必要がなくなり、担当者は姫路営業所内に居ながらにして西島の検針の処理が行えるようになりました。

また、アズビル金門では、Sigfoxサーバから無線での検針データ送受信状況やメーターの稼働状況などのデータを取り込み、グラフで可視化、Web画面上で管理が行える独自のクラウドサービスも提供しています。

「今回の西島のケースでは、メーターの設置台数が28個と少ないため、料金の算定に必要なデータのみを利用していますが、同様の自動検針の仕組みを都市部などで大規模に適用することになれば、アズビル金門のクラウドサービスを活用し、日次・月次などの報告書や使用量の統計データから水道使用の傾向を分析するなど、さらなる高水準のサービスの提供に向けた取組みが可能だと考えています」(道又氏)

第一環境では、対象となる地域の特性や顧客である事業体のニーズなどを考慮しながら、市場の最新技術を活用し、検針業務の自動化にかかわる取組みを加速させていきたいとしています。

「今後、自動検針は普及段階へと移行するでしょう。アズビル金門には、さらなる発展的なサポートをしてもらいたいと考えています」(菊地氏)

「今回の提案を受けた当時は、LPWAが話題になり始めたばかりのころでした。アズビル金門は市場の変化にスピード感を持って対応し、当社にとって最適なソリューションを提案・実現してくれました。そうした点を非常に信頼しており、今後もビジネスパートナーとして大いに期待しています」(松本氏)

自動検針イメージ

自動検針イメージ

用語解説

※1 LPWA(Low Power Wide Area)

低消費電力で広域につながる無線通信技術。IoTなど膨大な量のデータを集めて活用するための通信インフラとして期待されている。

※2 Sigfox

フランスのSigfox S.A.が2009 年から提供している IoT用のネットワーク規格。日本では京セラコミュニケーションシステム株式会社が事業者となり、国内でのサービスを提供している。

お客さま紹介

第一環境株式会社 取締役副社長 松本 太郎 氏
第一環境株式会社
取締役副社長
松本 太郎 氏
第一環境株式会社 執行役員 営業本部長 兼 システム部門統括 菊地 和彦 氏
第一環境株式会社
執行役員 営業本部長
兼 システム部門統括
菊地 和彦 氏
第一環境株式会社 営業部 サービス企画マネージャー 道又 正一 氏
第一環境株式会社
営業部
サービス企画マネージャー
道又 正一 氏

第一環境株式会社

第一環境株式会社

  • 所在地/東京都港区赤坂2-2-12 NBF赤坂山王スクエア
  • 設立/1975年11月12日
  • 事業内容/上下水道料金徴収業務(水道および下水道検針・収納業務)、給水装置管理業務、管路管理業務、上下水道施設運転・管理業務、水道料金電算処理システムの開発・運用、ハンディターミナルの販売および関連ソフトウェア開発

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2018 Vol.6(2018年12月発行)に掲載されたものです。

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