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市立函館病院

ESCO事業公募型プロポーザルと国庫補助事業を活用し、設備老朽化対策・省エネルギーを実現

新築移転から18年を数えた市立函館病院では、老朽化した設備を更新・改修するため、ESCO事業を活用。国庫補助事業を活用することで自己資金を使わずに設備更新を実施しました。止めることのできない病院機能を維持しながら工事を実施し、エネルギー消費量を26%削減しました。大幅なエネルギー削減ができた要因は、既存設備の運用状況を細かく分析し、最適な設備を構築、それらの運転状況を的確に運転管理できるクラウドBEMSの採用でした。

建物分野 病院 省エネルギー エネルギーマネジメント コスト削減 安定稼働 老朽化対策 クラウド・IoT・AI 中央監視システム ビル向けクラウドサービス 建物のエネルギーマネジメント

地域医療の中核を担いながらも設備の老朽化が不安材料に

市立函館病院は万延元年(1860年)に「箱館医学所」として設立し、幕末期から函館の医療を支え続け、地域住民からは「函病(かんびょう)」の愛称で親しまれています。感染症病床などを含む総病床数は648床、総合病院として救命救急センターやドクターヘリの基地病院、災害拠点病院といった様々な機関指定を受けています。2018年の救急搬送患者は5,670人にのぼり、地域の急性期病院の役割を担っています。

同病院は、2000年に函館山のふもとの弥生町から現在の場所に新築移転し、建物は竣工(しゅんこう)から20年近くが経過しています。熱源設備などは老朽化が進み、故障や不具合が多く発生している状態でした。重篤な患者も入院している病院としては、24時間365日設備の稼働を止めることはできません。病院は冷暖房や給湯などに多くの熱を使うため、設備の老朽化には大きな不安を抱えていました。

こうした状況の下、同病院はESCO事業※1を利用することで、老朽化対策に加えて、設備を高効率なものへ更新し、省エネルギーも併せて目指すことになりました。これを受けて2017年12月、市立函館病院ESCO事業公募型プロポーザルを実施。プロジェクトを推進していくパートナーに、アズビル株式会社・芙蓉総合リース株式会社グループを採用することに決定しました。

「いつ設備が動かなくなるだろうという不安を常に抱えていました。当病院には竣工当時からアズビルの中央監視装置が入っており、18年にわたってメンテナンスもお願いしていました。アズビルは当病院の設備を熟知しているため、最適な設備更新提案、それに運用改善を行うことで、省エネルギーの面でも高い効果を見込める施策の提案をしてくれました」(上野氏)

「病院ならではの施工の難しさも考慮した計画に加え、国庫補助事業の活用の提案もありました。補助金を活用することで病院側の費用負担が軽くなるというところは採用の大きなポイントになりました」(大島氏)

綿密な打合せにより病院の機能を維持しながら施工

過去の運用データを基にダウンサイジングしたガス焚(だ)き二重効用吸収式冷温水機。また、クラウドBEMSと連携し最適な運転台数制御を行っている。

過去の運用データを基にダウンサイジングしたガス焚(だ)き二重効用吸収式冷温水機。また、クラウドBEMSと連携し最適な運転台数制御を行っている。

2017年6月、エネルギー使用合理化等事業者支援事業※2に申請を行い、8月に採択が決定。9月から工事がスタートしました。熱源機器は、熱源総容量をダウンサイジングしてライフサイクルコストを抑制しつつ、熱負荷に対し100%バックアップを実現できる構成に再構築して安全性も改善しました。さらに、熱負荷実績に合わせてきめ細かく台数制御をすることで熱源機運用の最適化を実施。また冷却塔の1台をフリークーリング対応に更新し、中間期から冬期は外気を有効利用して冷房エネルギーを削減しています。さらにビル向けクラウドサービスEM(クラウドBEMS)を活用し、既存のコージェネレーションシステムの排熱を最大限に有効利用する運用改善を組み合わせ、大幅なエネルギーコスト削減を実現しました。

「2018年9月に発生した北海道胆振(いぶり)東部地震の際は、北海道の広範囲で大きな停電が発生しましたが、新しくなった設備のおかげで、病院は電気も熱供給も停止することなく、入院患者の治療に関しては問題なく対応することができました」(大島氏)

「今回の工事で導入した熱源システムが、既存コージェネレーションシステムの排熱を100%に近い形で利用できているため、大きなエネルギー削減につながりました。さらに各熱源設備については、高効率化しただけではなく、細かいチューニングや制御の見直しも行い、省エネ・省コスト効果の高い施策をアズビルが都度、提案してくれています」(上野氏)

2018年1月に工事が完了。2018年4月〜2019年3月の実績でエネルギー削減率26%(削減量は一次エネルギー換算で46,900GJ)を達成しました。

施工に関しては地域経済の振興を考慮し、函館市内の施工会社を採用しています。病院とアズビルと地元施工会社の3者で綿密な打合せを行い、工事が進められました。

「病院の改修工事があるからといって、入院患者を別の場所に移したり、病院を休業することはできません。通常どおりの稼働を続けながら患者への影響がないように音や振動にも配慮して工事を進めてくれました。施工に関しても、省エネ施策に関しても長年にわたるアズビルのノウハウを基に実施することで大きなトラブルもなく進めることができ、とても安心感がありました」(大島氏)

中央監視室に設置されたsavic-net G5の監視画面。グラフィカルで使いやすいユーザーインターフェースで、知りたい情報に素早くアクセスできる

ビル向けクラウドサービスから閲覧できる熱源台数制御のグラフ。使用量や効率化グラフなどもあり、目視で直感的にビルの運用状況を確認できる。

クラウドBEMSの利用で運用状況をリアルタイム監視

病院内の空調・熱源設備などの運転管理を行っているsavic-net FX2。収集した各種運用データをアズビルのクラウドサーバーに送信し、クラウドサービスのエネルギー管理機能からも病院内の設備状況を確認することができる

病院内の空調・熱源設備などの運転管理を行っているsavic-net FX2。収集した各種運用データをアズビルのクラウドサーバーに送信し、クラウドサービスのエネルギー管理機能からも病院内の設備状況を確認することができる。

機器・設備の更新や改修と同時に、中央監視装置もアズビルの建物管理システムsavic-net™FX2へと更新しました。これと併せて、新たにクラウドBEMSを導入しています。savic-net FX2で収集した建物内の温湿度や設備の運用データなどをクラウドのサーバーに保存。様々なグラフ機能で、需要電力の予測と実績や室内環境評価などの建物の運用状況を表示します。最短1時間前の運用データを見ることができるので、エネルギーのピークの時間帯など気になるときに、わざわざ中央監視室まで足を運ぶことなく、自分の席のパソコンから建物の運用状況を確認することができます。

「日々のエネルギー使用量をチェックし、気になった点はすぐに中央監視室やアズビルに確認を取ることができるので、とても便利です。離れた場所にいても同じデータを見ながらアズビルの担当者に相談できるのはクラウドの利点です。運用データは、省エネ法※3に基づく国への報告や国庫補助事業の報告にも活用しています」(上野氏)

市立函館病院としては、今回の事業で更新できなかった設備についても今後、計画を立てて更新を進めていく予定です。

ESCO事業と国庫補助事業を活用することで、自己資金を出さなくてもこれだけの熱源設備の更新ができるのだと感心しました。アズビルは設備や施設管理に対して、病院建物全体としてのコンサルティングを行ってくれていると感じており、とても心強いです」(上野氏)

「24時間365日止めることのできない環境の中で、今後も工事や施設管理を行っていかなくてはなりません。全国の病院などの施設で実績のあるアズビルには今後の改修・省エネ工事に対してもアドバイスや提案を大いに期待しています」(大島氏)

※savic-net、savic-net FXは、アズビル株式会社の登録商標です。

用語解説

※1 ESCO(Energy Service COmpany)事業

工場やビルの省エネルギーに関する包括的なサービスの提供を通じて、そこで得られる効果をサービス提供者が保証する事業。資金の担保などを顧客が提供し、顧客が一切の償還義務を負う「ギャランティード・セイビングス契約」と、ESCO事業者が一切の資金提供を行い、顧客が償還義務を負わない「シェアード・セイビングス契約」という二つの契約形態がある

※2 エネルギー合理化等事業者支援事業

環境共創イニシアチブ(SII)が、事業者の計画した省エネルギーへの取組みに関し「技術の先端性」「省エネルギー効果」「費用対効果」を踏まえて政策的意義が高いと認めた設備導入についての支援を目的とした補助制度。

※3 省エネ法

「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」。工場や事業所が使用するエネルギー量(原油換算)によって「第一種エネルギー管理指定工場等」(3,000kl/年以上)、「第二種エネルギー管理指定工場等」(1,500kl/年以上3,000kl/年未満)をそれぞれ指定し、エネルギー使用状況届出書、中長期計画書、定期報告書といった法定書類の提出やエネルギー管理統括者等の選任を求めている。

 

お客さま紹介

函館市病院局 市立函館病院 事務局長 大島 俊宣 氏
函館市病院局
市立函館病院
事務局長
大島 俊宣 氏
函館市病院局 管理部庶務課施設係 係長 上野 邦宏 氏
函館市病院局
管理部庶務課施設係
係長
上野 邦宏 氏

市立函館病院

市立函館病院

  • 所在地/北海道函館市港町1-10-1
  • 開院/1860年
  • 事業内容/総合病院(救命救急センター、災害拠点など)

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2019 Vol.3(2019年06月発行)に掲載されたものです。

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