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新潟県厚生農業協同組合連合会 糸魚川総合病院

ESCOと国庫補助事業の活用で病院の省エネ対策を推進、設備更新と運用改善で大幅なコスト低減を実現

新潟県厚生農業協同組合連合会 糸魚川総合病院では、ESCOスキームと国庫補助事業の活用により、老朽化した熱源設備の刷新による省エネ施策に着手しました。電気、ガス、重油という各エネルギー源を、価格の変動などに応じて使い分ける熱源設備の運用と省エネルギーにつながる設備・制御の導入により、目標値を大きく上回るエネルギー使用量の削減とコスト低減を実現しています。

建物分野 病院 安全・安心 省エネルギー エネルギーマネジメント 安定稼働 老朽化対策 中央監視システム 建物のエネルギーマネジメント

導入製品・サービス

建物管理システム savic-net FX

設備老朽化への対応や省エネ施策と、新棟増築によるエネルギー増加が課題

中央監視システムをsavic-net FXにリニューアル。従来使用していたSAVICTM500に比べて、監視画面がグラフィカルになり、操作性も大きく向上している。

中央監視システムをsavic-net FXにリニューアル。従来使用していたSAVIC™500に比べて、監視画面がグラフィカルになり、操作性も大きく向上している。

新潟県の最西端に位置し、南は長野県、西は富山県と境を接する糸魚川(いといがわ)市。世界最古のヒスイ文化発祥の地であり、質・量ともに国内随一のヒスイの産出地として知られます。また、2015年には北陸新幹線が開通し、首都圏や北陸方面からのアクセスが良くなり、にぎわいを見せています。同市唯一の総合病院である新潟県厚生農業協同組合連合会 糸魚川総合病院は、1938年3月に上越医療購買利用組合連合会 上越病院の糸魚川分院として開院。以来、糸魚川市における地域医療の中核を担う基幹病院の役割を果たしてきました。1991年には、診療機能と健診活動の充実による、予防から治療までの一貫した医療サービスと快適な環境づくりを目指し、現在の場所に建物を移転新築。1993年に介護老人保健施設「なでしこ」を併設し、高齢社会に対応した総合医療供給体制を整える一方、1996年には災害拠点病院の指定も受けています。

「病院施設が竣工してから25年以上たっており、熱源設備の老朽化が進む中、応急処置を施しながら動かしている状態でした」(横山氏)

同病院では、社会的な要請が高まる省エネルギーの推進についても、公共性の高い事業者として必要性を認識していましたが、設備のリニューアルなどの大規模な取組みになかなか着手できませんでした。

「一方で、当病院では24時間365日の救急医療体制の強化を目指し、救急外来棟を増築する計画も進んでいました。新棟の稼働が始まれば、電力などのエネルギーコストがさらに増大し、省エネ法※1においても第二種エネルギー管理指定工場になり、事業者として省エネ法に対応した取組みの必要性が生じることが予想されました」(塚田氏)

ESCOのスキームと国庫補助事業の利用が、省エネ施策展開の大きな追い風に

アズビル株式会社は、1991年の病院竣工時に中央監視システムを納入し、メンテナンスを通じて病院設備の制御・運転管理を支援してきました。新棟増築に伴い、これまでの運用状況を踏まえた上で、ESCO事業※2による省エネ施策を提案しました。

「アズビルからの提案の直前に、当病院が属する新潟県厚生農業協同組合連合会からESCOのスキームによる省エネ対策の実施を奨励するという通達がありました。ESCOを使うことで投資リスクを最小化することができます。多額の初期投資を行うことなく老朽化した設備の更新を行い、省エネルギーに取り組めることは、我々にとって非常に魅力的でした。さらにアズビルは、国庫補助事業であるエネルギー使用合理化等事業者支援事業※3の利用も提案してくれました」(横山氏)

糸魚川総合病院は、2013年初頭にアズビルからの提案を採用。同年6月に補助事業の申請を行い、8月に採択されました。その直後から設備更新の工事を開始し、2014年1月に完了。同年4月からESCO契約に基づく省エネサービスがスタートしています。

冷温水発生機は、重油焚(だ)き、ガス焚きの2種類が導入されており、それぞれのエネルギー単価に応じて稼働する設備を決定し最適運用が図られている。(写真は重油焚き)

冷温水発生機は、重油焚(だ)き、ガス焚きの2種類が導入されており、それぞれのエネルギー単価に応じて稼働する設備を決定し最適運用が図られている。(写真は重油焚き)

蒸気ボイラも重油焚(だ)き、ガス焚きの2種類が導入されている。(写真はガス焚き)

蒸気ボイラも重油焚(だ)き、ガス焚きの2種類が導入されている。(写真はガス焚き)

電気、ガス、重油のベストミックスで、エネルギーコストの最適化を実現

今回の主な施策では、既存の中央監視システムを建物管理システム savic-net™ FXに移行するとともに、既設の冷温水発生機を高効率な最新機器にリニューアルしました。さらに、ガスエンジンヒートポンプチラーを電気式の水冷チラーに置き換え、蒸気ボイラも高効率機に更新。既存の冷温水ポンプ変流量制御についても最適化しています。

一連の施策で重要なポイントは、電気、ガス、重油という各エネルギー単価の変動に応じて熱源機器を使い分けることで、エネルギーコストの最適化を図るベストミックスの採用です。

「ベストミックスでの熱源機器の稼働は、システムによる自動制御と運用プランに沿ったオペレータによるオペレーションの双方で実現しています。運用プランの策定についても、各エネルギー単価の動向を確認しながら、アズビルが今までに蓄積してきたノウハウに基づき効果的なアドバイスをくれるので助かっています」(中村氏)

ESCO契約のサービス開始から3年。同病院では2015年度に、金額ベースの目標達成率で121%、原油換算で296.5klのエネルギー削減を実現しており、各年度で契約上の目標値を大きく上回る省エネ効果を上げています。

「電力デマンド制御などの効果もあって、救急外来棟が増築されたにもかかわらず、電気の基本契約は増築前と同等のレベルを維持しています。エネルギーの年間使用量も当初予想されていた第二種エネルギー管理指定工場の水準に及びませんでした」(塚田氏)

「アズビルからは四半期ごとに実施される定例報告会を通じて、直前3カ月の省エネ効果についてレポートしてもらっています。技術者ではない我々にとっても非常に分かりやすく説明してくれるので、その点も高く評価しています。年度ごとのエネルギー使用量が正確に予測でき、水道光熱費の予算が立てやすくなったことも大きな成果です」(小林氏)

糸魚川総合病院は、ESCO事業についてアズビルと15年の長期契約を結び、今後も省エネルギーを推進しながら、病院内の電気、ガス、水道といったインフラ設備の拡充も進めていく考えです。

「病院という性質上、患者の快適性を損なわず省エネルギーを推進する必要があります。そして特に当病院は、地域の災害拠点病院としての役割も担っており、災害発生など万一の事態を想定した、設備面での対策強化が必要です。そうした側面でも、病院をはじめ様々な建物の設備に精通したアズビルの知見に基づく支援を大いに期待しています」(横山氏)

用語解説

※1 省エネ法

「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」。工場や事業所が使用するエネルギー量(原油換算値)によって「第一種エネルギー管理指定工場等」(年間使用量が原油換算値で3,000kl以上)、「第二種エネルギー管理指定工場等」(同1,500kl以上3,000kl未満)をそれぞれ指定し、エネルギー使用状況届出書、中長期計画書、定期報告書といった法定書類の提出やエネルギー管理統括者等の選任を求めている。

※2 ESCO(Energy Service COmpany)事業

工場やビルの省エネルギーに関する包括的なサービスの提供を通じて、そこで得られる効果をサービス提供者が保証する事業。資金を顧客が負担し、ESCO事業者が省エネ保証を行う「ギャランティード・セイビングス契約」と、ESCO事業者が資金提供を行い、顧客は省エネ効果を含めたサービス料を支払う「シェアード・セイビングス契約」という2つの契約形態がある。

※3 エネルギー使用合理化等事業者支援事業

民間事業者等による省エネ設備・技術等を導入する事業に対して、「技術の先端性」「省エネルギー効果」「費用対効果」を踏まえて政策的意義が高いと認められたものに支援を行う経済産業省の補助事業。

 

お客さま紹介

新潟県厚生農業<br />協同組合連合会<br />糸魚川総合病院<br />事務長<br />横山 一成 氏
新潟県厚生農業
協同組合連合会
糸魚川総合病院
事務長
横山 一成 氏
新潟県厚生農業<br />協同組合連合会<br />糸魚川総合病院<br />総務課長<br />塚田 博之 氏
新潟県厚生農業
協同組合連合会
糸魚川総合病院
総務課長
塚田 博之 氏
新潟県厚生農業<br />協同組合連合会<br />糸魚川総合病院<br />総務主任<br />小林 剛 氏
新潟県厚生農業
協同組合連合会
糸魚川総合病院
総務主任
小林 剛 氏
新潟県厚生農業<br />協同組合連合会<br />糸魚川総合病院<br />ボイラ室<br />中村 和広 氏
新潟県厚生農業
協同組合連合会
糸魚川総合病院
ボイラ室
中村 和広 氏

新潟県厚生農業協同組合連合会 糸魚川総合病院

新潟県厚生農業協同組合連合会 糸魚川総合病院

  • 所在地/新潟県糸魚川市竹ヶ花457-1
  • 開院/1938年3月6日
  • 事業内容/総合病院(救命救急センター、災害拠点病院)

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2017 Vol.5(2017年10月発行)に掲載されたものです。

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