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JR熊本駅ビル

状況に応じて柔軟に空調の運用方法を変更し、ビルの快適性と省エネルギーの両立を図る

JR熊本駅周辺エリアで進む再開発事業のシンボル的存在として知られるJR熊本駅ビル。その竣工(しゅんこう)に合わせ、同ビルでは最新のビルの監視システムの導入を中核に空調制御の仕組みを整備。空調機器の運転スケジュールや温度などの設定を柔軟に行えるようにすることで、状況に応じた最適な空調運転を実現し、ビル内環境の快適性の確保と省エネルギーの両立を図っています。

JR熊本駅ビル

JR熊本駅ビル

建物分野 ホテル ショッピングセンター 複合ビル 快適 省エネルギー 中央監視システム

導入製品・サービス

「にぎわい」創出を目指し推進される駅周辺再開発事業のシンボル的存在

九州の中央部に位置する熊本県。その「陸の玄関口」といえるのがJR熊本駅です。2011年3月に全線が開通した九州新幹線が停車する同駅は、鹿児島本線や豊肥(ほうひ)本線など在来線も乗り入れるターミナル駅となっており、多くの人が行き交っています。

「JR九州では、九州新幹線の全線開通を契機に、在来線の高架化事業や土地区画整備など駅周辺の再開発事業に着手してきました。そうした中で2019年の新駅舎のオープン、駅前広場の拡張などと並んで、再開発の大きな目玉となったのが2021年4月に開業したJR熊本駅ビルです」(古川氏)

地下1階、地上12階建ての同ビルには、大型商業施設の「アミュプラザくまもと」と、ホテル「THE BLOSSOM KUMAMOTO」が入っています。その館内でひときわ目を引くのが、エントランスの脇にある1~7階までの吹抜けスペースに設けられた屋内立体庭園「ぼうけんの杜(もり)」です。穏やかな自然光が差し込むこの庭園には、最大約10メートルの高さから流れ落ちる滝を数十種類の植物が取り巻き、まさに熊本の豊かな自然を彷彿(ほうふつ)とさせる水と緑の空間を演出しています。

JR熊本駅周辺エリアの再開発事業のシンボル的存在といえる、このJR熊本駅ビルの空調制御を、アズビル株式会社の最新の建物管理システムsavic-net™G5が支えています。

ビルエントランスの脇にある屋内立体庭園「ぼうけんの杜」。1~7階までの吹抜け空間に滝が流れているという、空調制御上難易度の高いスペースで、庭園周辺の温度、湿度が快適に保たれるように現在も調整を続けている。

ビルエントランスの脇にある屋内立体庭園「ぼうけんの杜」。1~7階までの吹抜け空間に滝が流れているという、空調制御上難易度の高いスペースで、庭園周辺の温度、湿度が快適に保たれるように現在も調整を続けている。

運転スケジュールや温度などを状況に即して柔軟に設定したい

JR熊本駅ビル着工後の2019年秋ごろから、関連業者で組織される設備分科会で、現場関係者を集めた定例ミーティングを月に2~4回のペースで開催し、空調制御や運用設計のすり合わせが重ねられていきました。

JR熊本駅ビルの要望は、快適と省エネルギーを両立するために、空調や熱源設備の運用において、機器の運転スケジュールや温度などの各種設定を自動制御に委ねるのではなく、自分たちの手で柔軟に行えるようにしたいということでした。

「例えば、電力デマンドの制御はプログラムで自動的に実行される標準的な使い方をするのではなく、契約電力に対する現状の消費電力量について3段階で閾値(しきいち)を設け、その段階ごとに信号を出力し、空調熱源である冷凍機の稼働率を変化させたり、16回までON/OFFが設定できるスケジュール機能を利用して、営業時間やフロアの状況に合わせてきめ細かく温度を設定し、空調機の運転などを調整するという対応が柔軟にできるといった具合です」(古川氏)

制御や設定の作込みにより快適性と省エネルギーの両立を目指す

2021年3月末日にJR熊本駅ビルが竣工。4月23日にはアミュプラザくまもと、上層階のホテルを含めて全面開業となりました。以来、約半年間にわたって空調制御の運用を続ける中、既に様々な成果が得られているといいます。例えば、電力デマンド制御では、3段階のアラート発報で冷凍機の稼働率を80%や60%に調整したり、スケジュール機能による温度調節をしたりといった対応に加え、空調機の間欠運転などを実施した結果、運用開始後初めての夏場となる7~9月のデマンド値を契約電力以下に抑えることができ、来館者に暑さを感じさせることのない快適性も確保できたといいます。

そのほかにもJR熊本駅ビルでは、館内施設の特質に応じた空調制御の様々な施策を展開しています。例えば、エントランス脇の立体庭園は、温度制御がしづらい吹抜け構造に加え、屋内に滝があることで湿度の管理も難しくなっています。これについても吹抜け各階の温湿度を監視できる画面を作成し、強制換気/自然換気/営業時間などの複数の空調運転モードを作り込み、熱が上層階にたまるのを換気で逃がすなどの対応が取られました。さらに、飲食店3店舗に1台設置されている厨房(ちゅうぼう)排気ファンの運転についても、店舗の営業時間に合わせてインバータで稼働率をコントロールし、それに連動して外調機の風量も低減させるなど様々な取組みで省エネルギーも実現しています。

さらにsavic-net G5の監視画面の操作性も高く評価されています。

「一般的なPCの表計算ソフトと同様に、表示されている機器のリストから複数の項目を同時に選択し一括でスケジュールや温度の設定を行ったり、ある機器群の設定をコピーして別の機器群に貼りつけたりといったことも可能です。直感的に操作ができ、使いこなしが極めて容易です」(藤本氏)

「またsavic-net G5の操作や運用方法で分からないところがあったときなどは、その要望の一つひとつに対し、アズビルの現場担当者は真摯(しんし)に対応してくれました」(矢島氏)

JR熊本駅ビルではこれからも、空調制御の運用についてさらに改善を重ねることで、快適性と省エネルギーの両立をより高いレベルで目指していきたいとしています。今後はsavic-net G5が蓄積している機器の運転データについても積極的に活用していく構えです。

「JR九州では、2022年秋に予定されている西九州新幹線開通に合わせて、2023年春に新しいJR長崎駅ビルの開業を目指しているほか、主要駅ビルの空調システムの改修なども引き続き実施していく予定です。引き続き、アズビルの手厚い対応に大きな期待を寄せているところです」(古川氏)

ビル内防災センターに設置されたsavic-net G5の監視端末。

ビル内防災センターに設置されたsavic-net G5の監視端末。

savic-net G5のサマリグラフ 受変電系統図を大型モニタ上で表示し、停電計画のチェックを行う。

savic-net G5のサマリグラフ 受変電系統図を大型モニタ上で表示し、停電計画のチェックを行う。

※savic-netは、アズビル株式会社の商標です。

お客さま紹介

株式会社JR熊本シティ 施設運営部 課長 古川 智彦 氏
株式会社JR熊本シティ
施設運営部
課長
古川 智彦 氏
JR九州エンジニアリング 株式会社 熊本機械事業所 熊本ビル管理所 主任 藤本 浩 氏
JR九州エンジニアリング株式会社
熊本機械事業所
熊本ビル管理所
主任
藤本 浩 氏
JR九州エンジニアリング 株式会社 熊本機械事業所 熊本ビル管理所 主任 矢島 弘一 氏
JR九州エンジニアリング株式会社
熊本機械事業所
熊本ビル管理所
主任
矢島 弘一 氏

JR熊本駅ビル

  • 所在地/熊本県熊本市西区春日3-15-26
  • 竣工/2021年3月31日
  • 施設概要/地下1階、地上12階、高さ59.561m、敷地面積19,000m²、延床面積110,050m²

この記事は2022年02月に掲載されたものです。

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