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新東海製紙株式会社 島田工場

エネマネ事業者を活用した国庫補助事業を実施
自家発電設備の運転最適化により目標を上回る省エネルギーを達成

新東海製紙は、化石燃料ボイラからバイオマスボイラへの設備更新をエネルギー使用合理化等事業者支援補助金によって実施。エネマネ事業者であるアズビルを活用し、設備更新と併せてアズビルのEMS(エネルギー・マネジメント・システム)を導入することで、1/2の補助率で事業を行うことができました。EMSは4基の自家発電設備を最適化制御することで省エネルギーを実現。結果として目標を上回る削減量の省エネルギーを達成し、生産コストを削減するとともに地球温暖化対策への貢献を実現しました。

工場・プラント分野 紙パルプ その他(市場・産業) 省エネルギー エネルギーマネジメント コスト削減 中央監視システム 運転監視・制御システム&ソフトウェア

導入製品・サービス

建物管理システム savic-net FX

環境負荷低減、生産コスト削減を図る省エネルギー・創エネルギーへの取組み

産業用紙、特殊紙、家庭紙の3事業を中核とした製紙会社である特種東海製紙株式会社は、主力事業の一つである産業用紙事業の強化を目的に、2016年10月に島田工場を分社化し、新東海製紙株式会社の事業を開始しました。特種東海製紙グループは「ユニークな中堅メーカーとしての強みを生かして、顧客満足度の最大化を推進し、利益の最大化を目指す」を経営方針に掲げ、段ボールのもととなる原紙(板紙)や米、セメントなどを入れる頑丈なクラフト紙を中心に、年間約64万トンの紙を生産しています。

紙の生産には、抄紙機(しょうしき)*1などの設備を稼働させるための電気エネルギー、そして木材チップの蒸解や漉(す)かれた紙を乾燥させるための熱エネルギー(蒸気)が欠かせません。島田工場は、このエネルギーを生産設備に供給するために、4基の自家発電設備(ボイラ・タービン)を備えています。これに電力会社からの購入電力を加え、生産に必要な電力、蒸気を賄っています。製紙産業は鉄鋼、化学、セメント、石油などと並び、エネルギー消費量の多い産業として知られています。そのため、新東海製紙では環境への負荷低減、生産コスト削減を図る省エネルギー・創エネルギーへの取組みが重要な課題となっていました。

「社内では2012年から『未来志向プロジェクト』を展開し、10年先を見据えた事業を考え、新規事業や改善活動など、部署を横断した社員による活動を実施してきました。その中で、生産コストを削減するための省エネ活動も一つのテーマとして取り組まれていました」(牧田氏)

その一方で、2011年の東日本大震災では、東京電力管内の同グループ三島工場は輪番停電を経験したほか、震災後は石油価格、電力価格の高騰の問題に直面することになりました。そこで、新東海製紙では自家発電比率をさらに高めることが重要課題として検討されていました。

これらの背景から、「未来志向プロジェクト」の一つとして、唯一残存していた化石燃料ボイラの発電設備を、新たに蒸発量100t/h、発電規模23,000kWのバイオマス発電設備へ更新する計画が2012年に開始されました。

複数基の自家発電設備の運用を最適化。目標削減値を上回る削減を達成

計器室に設置されたSORTiA-MPC(中央、右)とsavic-netTMFX(左)。SORTiA-MPCでは、4基ある発電設備の運転最適化を行っている。また、savic-net FXは、アズビルのセンターと接続して運転データを蓄積し、運転状況を可視化することができる。

計器室に設置されたSORTiA-MPC(中央、右)とsavic-net™FX(左)。SORTiA-MPCでは、4基ある発電設備の運転最適化を行っている。また、savic-net FXは、アズビルのセンターと接続して運転データを蓄積し、運転状況を可視化することができる。

新東海製紙では、今回のバイオマス発電設備の導入について国庫補助事業を活用する方向で具体的な検討に入りました。2014年度のエネルギー使用合理化等事業者支援事業*2から、エネマネ事業者を活用することで補助率が1/3から1/2に引き上げられる施策がスタート。これを機にエネマネ事業者を活用することを決定しました。

「2014年1月にアズビル株式会社からエネマネ事業者活用の提案を受けました。アズビルからは以前より省エネルギーにかかわるソリューション提案を受けていましたが、それに加えてパルプ部門の制御システム構築などのこれまでの新東海製紙における実績、そして様々なプラント・設備に対する最適化制御導入の実績を評価し、アズビルをエネマネ事業者に指名し申請を行いました」(牧田氏)

2014年9月に補助事業の採択が決定。2016年12月に新設のバイオマスボイラが本格稼働を開始し、併せてアズビルのEMSが導入されました。EMSはアズビルの多変数モデル予測制御 SORTiA™-MPCを用い、4基の自家発電設備を常に最適化制御することで、エネルギー使用量は同じでも、より発電量が大きくなる運転を実現しています。その結果として電力会社からの買電量が削減されることにより、省エネルギーとエネルギーコスト低減を図ることができました。2017年3月には事業完了と省エネ効果を検証する確定検査を実施し、補助事業のエネルギー削減要件である原油換算500kl/年を上回る削減効果が確認できました。また、契約電力も大幅に引き下げることが見込まれています。

「運転状態を装置が許す限界値に近づけるほど最適化された運転になりますが、オペレータはどうしても限界値に対して余裕を持った運転をせざるを得ないので、手動での最適化は困難です。最適化制御システムはその困難を乗り越え、ほとんどお任せで最適化を実現してくれていますが、こんなに効果があるのかと驚いています。オペレータの負担も軽くなっています」(浜地氏)

※ SORTiA、savic-net、savic-net FXは、アズビル株式会社の商標です。

最適化制御を他設備にも拡張・展開し、さらなる省エネルギーを目指す

エネルギー管理支援サービスを通じて工場・事業場などの省エネルギー事業を支援するエネマネ事業者活用の効果を受け、新東海製紙では、さらなる省エネルギーと利益の最大化を図ることが次の目標となりました。

「最適化制御の運用状況を毎日確認していますが、今までになかった気付きを得ることができています。今後3年間のアズビルとのエネルギー管理支援サービス契約の中で、さらなる省エネルギーと利益の最大化を実現したいと思っています」(小川氏)

「今回の最適化制御は、オペレータも参画しながらアズビルのエンジニアと繰り返し対話を行い、作り込んできました。自分たちも参画して作ったという実感があり、愛着と信頼を感じています。アズビルは打合せを重ねるたびに操業の改善点を発見・提案してくれて、大変助かりました。今後、アズビルには動力設備にとどまらず、工場全体を視野に入れたさらなる最適化と省エネ施策の提案を期待しています」(牧田氏)

中央冷暖房所のプラント内にある電気式冷凍機。
二胴水管式蒸気ボイラ。

バイオマスの自家発電設備(左)とバイオマス発電機内のタービン(右)。バイオマスチップをボイラで燃やし、その熱で蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回して発電を行う。同時にタービンの途中段からは蒸気を抽気(ちゅうき)し、この抽気を生産プロセスへと供給する。

用語解説

※1 抄紙機

紙を製造する機械。フォーマパート(抄造)、プレスパート(脱水)、ドライパート(乾燥)、リールパート(巻取り)から成り立っている。

※2 エネルギー使用合理化等事業者支援事業

民間事業者等による省エネ設備・技術等を導入する事業に対して「技術の先端性」「省エネルギー効果・電力ピーク対策効果」「費用対効果」を踏まえて政策的意義が高いと認められたものに支援を行う経済産業省の補助制度。補助率1/3と1/2があり、補助率1/2の交付要件は、エネマネ事業者を活用し、EMSで省エネ率1%以上か、原油換算500kl以上の削減を行い、省エネ設備とEMSで合計省エネ率10%以上か、原油換算1,200kl以上の削減を達成すること。2017年度からは、EMS単独で省エネ率2%以上の削減を実施すれば補助率1/2になる。省エネ設備は、省エネ率1%以上か、原油換算1,000kl以上の削減ができれば、省エネ設備も補助率1/2になる。

お客さま紹介

新東海製紙株式会社<br />生産本部<br />原動部動力課<br />課 長<br />牧田 陽介 氏
新東海製紙株式会社
生産本部
原動部動力課
課 長
牧田 陽介 氏
新東海製紙株式会社<br />技術本部<br />技術開発課<br />課長<br />浜地 晃 氏
新東海製紙株式会社
技術本部
技術開発課
課長
浜地 晃 氏
新東海製紙株式会社<br />生産本部<br />原動部動力課<br />係長<br />小川 剛広 氏
新東海製紙株式会社
生産本部
原動部動力課
係長
小川 剛広 氏

新東海製紙株式会社 島田工場

新東海製紙株式会社 島田工場

  • 所在地/静岡県島田市向島町4379
  • 設立/2016年4月1日
  • 事業内容/紙パルプの製造・加工・販売

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2017 Vol.4(2017年08月発行)に掲載されたものです。

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