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株式会社SUBARU 群馬製作所 大泉工場

潤滑機構の標準化による耐久性に優れた生産設備の導入と
保全の強化が工場の連続操業を支える

SUBARU 群馬製作所 大泉工場では、工作機械の潤滑機構として、潤滑油を随時、霧状で潤滑対象箇所へと吹き付ける方式のミクロンルブ潤滑装置を標準採用しました。併せて、増え続ける潤滑装置の点検による不具合確認、故障予兆の捕捉、交換工事に至る保全業務を強化することにより、常にフル稼働し続ける工場の安定操業を実現しています。

工場・プラント分野 自動車 安全・安心 安定稼働 メンテナンスサポート 工場・プラントの設備診断 噴霧潤滑装置

導入製品・サービス

グローバルブランドとしての成長を、より高度な“付加価値経営”で目指す

自動車事業、航空宇宙事業を中心にビジネスを展開する株式会社SUBARU。自動車事業に関しては、「インプレッサ」や「XV」「レヴォーグ」などの人気車種のブランドとして広く知られています。

2017年4月に、富士重工業株式会社から現在の株式会社SUBARUへと社名を変更し、「これからは価値を提供するブランドとして生きていく」ことを表明しました。世界中の顧客に「安心と愉(たの)しさ」を届け続けるSUBARU。魅力あるグローバルブランドとして成長していくための“付加価値経営”を、さらに高いステージで展開しています。

群馬県邑楽(おうら)郡にある同社 群馬製作所 大泉工場は、SUBARU車に搭載するエンジン、およびトランスミッションの生産拠点です。その生産物は、同じくSUBARU 群馬製作所に属する本工場や矢島工場などの車体工場に供給されています。

「大泉工場では第1工場から第5工場までの五つの工場が稼働しており、第1工場が操業を開始したのが1983年。以降、第2、第3、第4までの各工場を約3年おきに新たに稼働し、増産に対応してきました。その後、2010年7月には、低燃費で環境性能に優れた『新世代ボクサーエンジン』を生産する第5工場を新設しました」(佐伯氏)

潤滑機構が抱える課題解消に向け、ミクロンルブ潤滑装置を標準採用

第1~4工場では、生産品の成形、加工を行うマシニングセンタ※1といった工作機械内で、主軸(工具を回転させるための軸)の、ベアリングに生じる摩擦熱や摩耗を低減するための潤滑機構として、潤滑剤であるグリースを封入した方式のものと、潤滑油を随時、霧状で潤滑対象箇所へと吹き付ける方式のアズビルTACO株式会社が提供するミクロンルブ™潤滑装置の両方を併用していました。

「グリースを封入した方式では、潤滑剤の経年劣化でグリースがなくなっていく現象が起こり、突然、主軸の回転がロックするといったトラブルが頻繁に発生します。封入式であるがゆえに軸や軸受けそのものを交換する必要があり、その都度、設備を停止しなければならないという大きな課題となっていたのです。さらに主軸の回転数もグリース式では5,000~6,000回転というのが限界ですが、近年の工作機械は高速化が進み、1万~1万2,000回転までになっており、グリース式では対応が難しい状況になっていました」(倉科氏)

そこで大泉工場では、第5工場の新設にあたり、工作機械に関する仕様の標準化を進めました。第1~4工場の実績を踏まえ、潤滑が適切に行われ、工作機械の故障が少なく、耐久性にも優れたアズビルTACOのミクロンルブ潤滑装置を標準仕様として採用。グリース式の潤滑機構が抱える課題の解消を図ったのです。標準仕様策定後には、工作機械メーカーへ標準仕様の準拠を依頼し、第5工場はもちろん、第1~4の各工場にも順次、グリース式に代えてミクロンルブ潤滑装置を搭載した工作機械を導入。現在では1,000台以上のミクロンルブ潤滑装置が稼働しています。

しかし、ここで潤滑装置の保全という新たな課題が浮上しました。

「潤滑不良による工作機械の故障は、工場の設備停止に直結します。そうなると海外を含む車体工場へのエンジンやトランスミッションの供給が停滞し、最終的にはお客さまへの納車が遅れることにもつながってしまいます。1,000台を超える潤滑装置を、いかに適正に保全していくかが新たな課題となりました」(佐伯氏)

大泉工場の要請を受け、アズビルTACOでは潤滑装置の定期点検を実施し、不具合が発生している機器はもちろん、その予兆が認められる機器を洗い出しながら、装置の交換などを含む保全計画を立てていくというサービスを提案。大泉工場では早速、その提案を受け入れることにしました。

工作機械に組み込まれ、軸・軸受け部分に対して噴霧式の潤滑を行うミクロンルブ潤滑装置。

工作機械に組み込まれ、軸・軸受け部分に対して噴霧式の潤滑を行うミクロンルブ潤滑装置

ミクロンルブ潤滑装置 ベンチュリ部への油の滴下を監視するアズビル株式会社の光電センサ。そのほかにも油量不足検出など、ミクロンルブ異常として警報を上げることができる。

ミクロンルブ潤滑装置 ベンチュリ部への油の滴下を監視するアズビル株式会社の光電センサ。そのほかにも油量不足検出など、ミクロンルブ異常として警報を上げることができる。

サービスの活用による保全最適化で、フル稼働する工場の安定操業を実現

大泉工場 第5工場内の生産現場に設置されているマシニングセンタ。エンジンのヘッドシリンダーを加工している。

アズビルTACOは、稼働しているすべての潤滑装置の点検を開始しました。第1~5工場の点検を毎年行うこととし、その結果を大泉工場の保全部門に報告するとともに、保全計画を立案、部品の手配や改修工事までを含めたトータルな支援を実施しています。

「現場に導入された潤滑装置の数は膨大であり、とても当工場の保全部門だけでは手が回りません。アズビルTACOは、装置一つひとつの状態をメーカーのプロフェッショナルな目で確認し、故障発生の予兆なども確実に捉えながら、分かりやすいリストにまとめてくれます。これにより工場側での改修工事実施の意思決定が円滑に行えるなど、非常に助かっています」(森田氏)

「主軸ベアリングの交換を行うと約8時間、生産が止まります。そのような故障がグリース式のときには月に各工場で2~3回発生していました。ミクロンルブ潤滑装置の採用後には、工作機械の主軸ベアリングの不具合によって設備が停止する事態はほとんどなくなりました。そうした成果に加え、保全サービスによって機器の故障を未然に防止する対策も実現し、常にフル稼働をし続ける工場の操業に大きな安心感がもたらされています」(杉田氏)

自動車業界は様々な技術革新を背景とした変革期を迎えています。特に世の中の環境保全に対する意識の高まりに応えるべく、各自動車メーカーでは、低燃費かつ軽量コンパクトで高性能なエンジンの開発を加速させています。

「当社としても、業界の動向を見据え、常にお客さまが求める次世代の自動車の姿を追求しています。それを生産活動というかたちで支える大泉工場においても、生産の仕組みを継続的に進化させることが求められているため、アズビルTACOには設備の側面からしっかりと支えてもらいたいと思っています」(佐伯氏)

※ ミクロンルブは、アズビルTACO株式会社の商標です。

用語解説

※1 マシニングセンタ

自動工具交換機能を持ち、目的に合わせてフライス加工・中ぐり加工・ねじ立てなどの異種の加工を1台で行える工作機械。主に切削加工を目的としており、工具マガジンには様々な切削工具を格納。コンピュータ制御によって工具を自動的に交換して加工を行うことができる。

 

お客さま紹介

株式会社SUBARU
製造本部 群馬製作所
第3製造部 主幹 兼
第3保全課
課長 兼 主査
佐伯 一哉 氏
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製造本部 群馬製作所
第3製造部 第3保全課
技術係
係長
森田 宣弘 氏
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第3製造部 第3保全課
第1工場保全係
係長
倉科 篤 氏
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第3製造部 第3保全課
第5工場保全係
係長
杉田 誠 氏

株式会社SUBARU 群馬製作所 大泉工場

株式会社SUBARU 群馬製作所 大泉工場

  • 所在地/群馬県邑楽郡大泉町いずみ1-1-1
  • 操業開始/1983年
  • 事業内容/自動車用発動機、自動車用変速機の生産

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2018 Vol.1(2018年02月発行)に掲載されたものです。

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