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松本ガス株式会社

自営のデジタル無線と可動式の監視拠点を採用したガス供給設備の遠隔監視により先進の災害対策を実現

長野県松本市を中心に、都市ガス、プロパンガスを供給する松本ガス。同社では以前から、災害時に向けたガス供給設備の遠隔監視の仕組みを整備してきました。先ごろ、旧来の有線による遠隔監視に加え、新たに自営のデジタル無線を併用した通信インフラを採用。混乱が予想される大規模災害の際も、確実に主要供給拠点の状況を把握し、遮断などの対処が行える仕組みを実現しました。

工場・プラント分野 電力・ガス 安全・安心 運転監視・制御システム&ソフトウェア スイッチ/センサ

安定的なガス供給のため、災害対策の強化を目指す

松本ガス株式会社は1919年の設立以来、長野県松本市において、地域の暮らしと産業活動を支える都市ガスを供給してきました。塩尻市、安曇野市などの周辺エリアに向けたプロパンガスの提供も行っており、お客さま件数は総計で約27,000戸を数えます。

同社の際立った特長として挙げられるのが、ガス供給設備やシステムにおいて、自ら率先して技術開発に取り組んでいく社風です。

「例えば、1962年には、ナフサガス(石油系ガス)のプラントを自社で造り上げました。同プラントは“MG(Matsumoto Gas)式”という呼称で、いくつかのガス事業者に利用していただきました」(清水氏)

こうした先進的な取組みは、災害対策にも活かされています。同社では、1995年の段階で遠隔監視を行った上で、ガス供給を遮断できる仕組みをいち早く構築。受入所・供給所などのガス供給拠点におけるガスの流量や圧力・温度などのデータを、アズビル株式会社の遠隔データコレクタ DCX200を介して供給監視センターのパソコンで常時監視してきました。

「15年以上にわたってガス供給拠点に設置し運用してきたDCX200が、保守切れとなる時期を迎えました。遠隔データコレクタはシステムを構成する上で重要な機器です。この更新を契機に、災害対策のさらなる強化を目指すことにしたのです」(本木氏)

災害対策用に導入されたアズビルのインテリジェント地震センサ SES70™。

自営のデジタル無線の採用を主眼に、画期的なアプローチで施策を展開

強化のポイントは通信インフラです。アナログ専用回線で結ばれている受入所・供給所などの主要供給拠点と本社工場の供給監視センター間を、デジタル無線通信で補強。これにより、大規模災害にも耐える通信の堅牢(けんろう)性を確保しました。ガス供給にかかわる運用データをセンターに送るための通信インフラを二重化し、仮に有線と無線のどちらかが通信困難に陥ってももう一方でバックアップすることが可能です。

さらに、無線通信の手段については、特定の通信事業者が提供するFOMAなどの携帯電話回線ではなく、専用周波数を利用する自営による無線の採用にこだわりました。

「東日本大震災の例からも、災害時には電話回線が混乱する可能性が高いことは明らかです。仮に主要供給拠点の運用データを取得するための通信が不通に陥った場合、当社では通信事業者に早期対応を促すしか手がなく、復旧の具体的な見通しを当社のお客さまにお伝えすることができません。自営無線であればそうした問題をクリアできると考えました」(筒井氏)

併せて、災害によって建物が倒壊するなど、本社工場にあるセンターシステムが使えなくなる状況も想定しました。緊急時には代替センターとして本社工場外へセンターの機能を持ち出せる仕組みを考案。自営無線を活用してノートパソコンから、主要拠点のガス供給状況監視・遮断ができる“ファイナルセンター”の構築を目指しました。

以上の方針を固めた松本ガスは、まず既存の監視システム全般を担当していたアズビルに無線通信への対応を依頼。アズビルでは、老朽化したDCX200の後継機種となる遠隔データコレクタ DCX350を利用し、自営無線通信への対応を進めました。同時にセンター側の監視システムとして新たに採用された協調オートメーション・システム Harmonas™では、デジタル無線通信経由でのデータ収集の仕組みを整えました。また、ノートパソコンに実装されるファイナルセンターのソフトウェア開発も、アズビルが担当しました。

一方の自営デジタル無線については、無線機器の老舗でテレメータ、テレコントロールにかかわるシステムも数多く手がける日本無線株式会社に支援を求めました。特に所轄機関である総務省や信越総合通信局との折衝や許可取得において、日本無線のサポートは欠かせませんでした。

「デジタル無線をよい電波環境で有効に使っていただくために、現地を回って電波調査を行い、最適な通信環境・機器構成を構築しました。また、ガス供給という重要な社会インフラにかかわる災害対策として、ファイナルセンターという画期的なアイデアを具現化させるため、総務省に相談し、無線免許取得についてアドバイスをいただきながら、よりよいシステムを作り上げていきました」(熊田氏)

本社工場の供給監視センターに設置されているHarmonas。46型のタッチパネルモニタの採用で、より高い操作性が追求されている。

手軽に持ち運べるノートパソコン型のファイナルセンターは、有事の際にも機動性の高い監視業務が行える。電源を自動車のバッテリーから供給するという運用も可能だ。

※Harmonas、SESはアズビル株式会社の商標です。
※FOMAは、株式会社NTTドコモの商標です。

あらゆる場所で供給状況を把握し、遮断などの必要な対処が行える

主要供給拠点(南松本供給所)側に置かれた遠隔データコレクタ DCX350。有線もしくは無線で遠隔地からセンターへデータを送ることができる。

主要供給拠点(南松本供給所)側に置かれた遠隔データコレクタ DCX350。有線もしくは無線で遠隔地からセンターへデータを送ることができる。

2014年4月、センター側の新監視システムが稼働を開始。順次、旧来の有線環境の遠隔データコレクタをDCX350に更新するとともに、自営無線によるデータ収集の仕組みを拠点単位で新たに展開しています。

「有線、無線という異なる特性を持つ通信インフラを二つ持つことで、災害時はもちろん、平常時の通信状況の不調にも強いシステムが実現できました。お客さまへの安定的なガス供給をミッションとする我々にとって、大きな安心となります」(筒井氏)

「電源を確保することができる場所であれば、いつでもどこでも専用のノートパソコンがファイナルセンターとして機能を発揮します。会社の敷地外、あるいは従業員・役員宅など、権限者があらゆる地点から各供給拠点の流量・圧力・温度などの運用状況を把握し、遮断など必要な対処を行うことができます」(本木氏)

今回、松本ガスが実現した、自営無線による主要供給拠点の遠隔監視システムは、供給監視センターから常時スキャニングを行っています。これにより震災時にも平時と変わらないデータ収集ができるため、遮断などの迅速な判断が可能となります。国内のガス業界において、都市ガスの中小事業者の中では先進的なモデルとなる災害対策ソリューションだといえます。

「自営無線通信を利用した今回のシステムは、ガスはもちろん水道やそのほかのエネルギー供給の分野にも新たな可能性を拓(ひら)いてくれるものと思っています」(熊田氏)

「アズビルには今後も、常に技術的なチャレンジを続ける当社の取組みを、計測・制御を中心とした側面からしっかりと支えていただけるものと大いに期待しています」(清水氏)

お客さま紹介

松本ガス株式会社 代表取締役社長 清水 是昭 氏
松本ガス株式会社
代表取締役
社長
清水 是昭 氏
松本ガス株式会社 取締役 供給部 部長 本木 憲治 氏
松本ガス株式会社
取締役
供給部
部長
本木 憲治 氏
松本ガス株式会社 供給部 次長 筒井 保喜 氏
松本ガス株式会社
供給部
次長
筒井 保喜 氏
日本無線株式会社 通信機器事業部 通信機器営業部 通信機器営業第二グループ 主任 熊田 宗洋 氏
日本無線株式会社
通信機器事業部
通信機器営業部
通信機器営業第二グループ
主任
熊田 宗洋 氏

松本ガス株式会社

松本ガス株式会社

  • 所在地/長野県松本市渚2-7-9
  • 設立/1919年3月
  • 事業内容/ガスの供給および販売、ガス機器の販売およびこれに関する工事

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2015 Vol.5(2015年10月発行)に掲載されたものです。

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