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リョービミラサカ株式会社

パドロック(南京錠)の活用で物理的に
電源が入らない環境を作り作業者の安全を担保
現場コミュニケーションと作業安全意識が向上

リョービグループの一員として、アルミダイカスト製品の製造を担うリョービミラサカでは、複数部署の現場作業者が同一の製造設備内に立ち入って作業する際の安全を確保する手段として、鍵をかけて物理的に操作できないようにするロックアウトを採用。電源が入らないように製造機械のスイッチをパドロック(南京錠)でロックするという、シンプルながらも確実な方法により、作業者の安全性を高めることができました。併せて、作業者自身の作業安全にかかわる意識が向上するという成果も得られています。

工場・プラント分野 自動車 安全・安心 安全スイッチ

導入製品・サービス

製造現場における作業安全の確保を最重要テーマに据えて取組みを推進

世界的なダイカスト*1メーカーとして知られ、パワーツールや建築用品、印刷機器などの分野にも事業を拡大するリョービ株式会社。そのグループ会社として、アルミダイカスト製品の製造を担うのがリョービミラサカ株式会社です。同社では、金型のメンテナンスから鋳造(ちゅうぞう)、加工、組立まで一貫した生産体制を確立し、高付加価値の製品を市場に供給。自動車用のシリンダーブロックやトランスミッションケースをはじめ、二輪車、農機具などの構成部品として広く利用されています。

ダイカスト製品は精密な金型に、溶かしたアルミニウムなどの合金を高速・高圧で注入し、鋳造機で瞬時に成形することで製造されます。リョービミラサカでは、500トンから最大3,500トンまでの各クラスの鋳造機41台を稼働させ、多様化する市場ニーズに応えています。

「当社では過去25年にわたりTPM*2活動を実践し、工場現場の改善の取組みを全社を挙げて推進してきました。最重要テーマに据えているのが作業安全です。ダイカストの鋳造機では『挟まれ』という宿命ともいうべき災害があり、また、複数部署の現場作業者が同じ製造設備にかかわっている当社工場では、労働災害や事故のリスクを極小化するための施策や教育に注力しています」(卜部氏)

「リョービグループとして相互安全点検活動で各社工場の安全パトロールを実施するとともに、リョービミラサカの社内にも安全衛生委員会を設置し、現場で発生する重大なヒヤリ・ハット事案を確実に捉え、社内への情報共有を図りながら、改善策の立案に努めています。また、現場で発生し得る様々な危険を作業者が肌で実感できるような疑似体験訓練も随時実施しています」(木村氏)

ロックアウトを導入することで危険な現場での作業安全性を強化

鋳造機の操作盤電源スイッチ部分に取り付けられた金属板カバーとパドロック(南京錠)。ロックアウト用掛け金を用いることで、6人までのパドロックを使用することができ、すべての作業者が鋳造機内から退去してパドロックが取り外されるまで、動力を再開することができない。これにより各作業者の安全が確保される。この鋳造機では、鋳造課が3人、金型課もしくは工務課が1人の計4人が作業を行っているということも一目で分かる。

鋳造機の操作盤電源スイッチ部分に取り付けられた金属板カバーとパドロック(南京錠)。ロックアウト用掛け金を用いることで、6人までのパドロックを使用することができ、すべての作業者が鋳造機内から退去してパドロックが取り外されるまで、動力を再開することができない。これにより各作業者の安全が確保される。この鋳造機では、鋳造課が3人、金型課もしくは工務課が1人の計4人が作業を行っているということも一目で分かる。

リョービミラサカでは以前から、作業者が製造設備内に入って機械の点検整備などを行う際に、機械や装置の停止後に警告用のタグ(札)を掲げるタグアウトによって安全性を確保する方法を取ってきました。

「しかし、特に危険性の高い鋳造機内での作業については、タグアウトによる対策では十分とはいえません。電源スイッチやバルブなどで動力源を遮断した上でパドロック(南京錠)などを用いて施錠し、設備に触れられない状態にして確実に安全性を担保できるロックアウトの採用が不可欠だと考え、具体的な製品の採用に向けて検討することになりました」(卜部氏)

検討を進めた結果、リョービミラサカが採用したのが、アズビルトレーディング株式会社の提供する 英国Reece Safety Products Ltd製のロックアウト製品でした。

Reece Safety Products社のパドロックは、ディンプルキーが採用されており、鍵穴に対して表裏を気にせずに挿し込むことができます。鋳造機が設置されている工場内は場所によってはやや暗いところもあるため、作業中に鍵の表裏を見て確認しなくても抜き挿しができるなど、作業者の負担軽減に大きなメリットが期待できました」(中野氏)

また、 Reece Safety Products社製のパドロックは、カラーバリエーションも豊富です。所属部署ごとに異なる色を割り当て、管理上で役立つことも採用の重要なポイントでした。

保守中の機械の再起動を確実に防止、現場作業者の大きな安心につながる

鋳造課をはじめ金型課や工務課などの作業者全員にロックアウト用のパドロック(南京錠)/キーが配布され、各人はそれを常時携行して作業に当たっている。パドロックは9色から選ぶことが可能で、運用に合わせて使い分けることができる。

鋳造課をはじめ金型課や工務課などの作業者全員にロックアウト用のパドロック(南京錠)/キーが配布され、各人はそれを常時携行して作業に当たっている。パドロックは9色から選ぶことが可能で、運用に合わせて使い分けることができる。

2015年11月末に、リョービミラサカへ製品が納入され、その後、テスト運用を開始。実際に利用した現場作業者の声を集めながら、手順やルールなどを固めていきました。準備期間を経て、2016年4月には、鋳造課の146人に黄色の錠、金型課や工務課など鋳造課以外の部署112人に緑の錠を個別に割り当て、ロックアウトの本格運用を開始しました。対象となる社員はパドロックとキーを常に身に着け、現場作業で必要なときはすぐにロックできるようにしています。

具体的な運用として、作業者が鋳造機内に入って作業する際には、まず操作盤で機械の電源を切る。キースイッチを抜く。スイッチを覆う金属板のカバーを下ろしてパドロックでロックするという手順を踏み、電源が入らないように物理的に鍵をかけます。解除はロックされたパドロックを所有する作業者のキーでしか行えないため、ほかの作業者が誤ってロックを解除することはありません。

「鋳造機内の金型のメンテナンスを行う金型課や、鋳造設備の点検整備を行う工務課などの作業者にとって、従来のタグアウトでは作業中に機械が動き出すのではないかという不安がありました。実際に、そうした不安が払拭(ふっしょく)されたという声が作業者から寄せられています」(中野氏)

一方、安全を管理する上での重要なコミュニケーションツールとしてもロックアウトを活用しています。

「鋳造課のメンバーが管理する鋳造機に緑色のパドロックがかかっていた場合、自分の作業スペースに他部署である金型課か工務課の人が作業しているというのが一目で分かります。金型課だと鋳造機の中にいる、工務課だと鋳造機の周辺で作業しているかもしれないということが分かり、少し広くものを見て対応しなければならないと判断します。自分の課だけの判断だけではなく、関連部署と連携を取りながら作業を進めるようになりました」(木村氏)

また鋳造工程だけでなく、加工工程など、工場内のほかの部分にもロックアウトを導入すべきだという意見が、現場から上がっています。

「非効率的な面もあるロックアウトの導入拡大を求める意見は、安全確保のための取組みによって、作業者一人ひとりの作業安全に対する意識が確実に醸成されていることの証しだと捉えています。導入当初は作業が増えるので面倒だという意見が多くありましたが、今ではロックアウトがないと不安に感じるまでになりました」(中野氏)

「今後はロックアウトの適用範囲のさらなる拡大を目指しつつ、社員の安全意識をより向上させるための教育にも注力していきたいと考えています。そうした面も含めて、アズビルトレーディングをはじめazbilグループには、より幅広い領域での支援を期待しています」(卜部氏)

用語解説

※1 ダイカスト

鋳造法の一つ。金型に溶融したアルミニウム合金などの金属を高圧で注入することにより、高い寸法精度の鋳物を短時間に大量に生産する鋳造方法、またその製品。

※2 TPM(Total Productive Maintenance)

製品の不良やロス、設備の故障・災害の原因を除去するため、社員全員参加による現場環境の改善や、設備に関する知識を高める企業体制を構築するための活動。公益社団法人日本プラントメンテナンス協会によって1971年に提唱された。

お客さま紹介

リョービミラサカ株式会社 代表取締役社長 卜部(うらべ) 一人 氏
リョービミラサカ
株式会社
代表取締役社長
卜部(うらべ) 一人 氏
リョービミラサカ株式会社 製造部 次長 木村 剛 氏
リョービミラサカ
株式会社
製造部
次長
木村 剛 氏
リョービミラサカ株式会社 総務部 安全環境担当課長 中野 新市 氏
リョービミラサカ
株式会社
総務部
安全環境担当課長
中野 新市 氏

リョービミラサカ株式会社

リョービミラサカ株式会社

  • 所在地/広島県三次市三良坂町皆瀬10075-1
  • 設立/1966年5月30日
  • 事業内容/アルミダイカスト製品の製造

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2017 Vol.3(2017年06月発行)に掲載されたものです。

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