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株式会社ジェイテクト 国分工場

専門知識を活かした潤滑装置の予知保全サービスで自主点検のノウハウ獲得、安定操業に貢献

自動車部品やベアリング(軸受)、工作機械などの製造・販売で知られるジェイテクト。軸受の中核生産拠点である同社の国分工場では、研磨工程の工作機械に搭載されたミクロンルブ潤滑装置について自社で行う定期点検の精度、工数確保に課題を感じていました。そこでアズビルTACOの予知保全サービスを利用。その結果、同工場が目指す、設備・機械の予知保全の実現に向けたヒントを得ることにもつながりました。

工場・プラント分野 その他(市場・産業) 安全・安心 安定稼働 メンテナンスサポート 工場・プラントの設備診断 噴霧潤滑装置

潤滑装置の定期点検における評価基準・作業負荷に課題

2006年に、ベアリング(軸受)メーカーである光洋精工株式会社と工作機械メーカーである豊田工機株式会社の合併により誕生した株式会社ジェイテクト。合併前の両社ともが日本の産業を黎明(れいめい)期から支えており、「歴史ある若い会社」といえます。ジェイテクトは「No.1 & Only One」をビジョンに掲げ、自動車部品、軸受、工作機械のシステムサプライヤとして、自動車、鉄鋼、鉄道、航空といった広範な領域で社会を支えています。電動パワーステアリングで世界トップシェアを誇るなど、グローバルで高い評価を得ています。

大阪府柏原市にある国分工場は、同社の軸受生産拠点において中核的な役割を担っています。同工場では、軸受製品の部品を研磨する工程に用いられる工作機械内で、砥石(といし)を回転させるための軸と軸受の間に生じる摩擦熱や摩耗を低減する装置として、アズビルTACO株式会社が提供するミクロンルブ™潤滑装置を30年以上にわたって活用してきました。

「アズビルTACOの潤滑装置は、長寿命が大きな特長です。油煙・粉じんが舞い、機械類にとって非常に厳しい環境である当工場内でも長期間にわたって利用できることを高く評価しています」(加藤氏)

「私は、工場内機械の部品交換など、メンテナンスを担当していますが、そうした作業の中でもアズビルTACO製品の堅ろう性を実感しています」(山本氏)

現在、国分工場で稼働しているアズビルTACOの潤滑装置は、ルブリケータミクロンルブ潤滑ユニットなど、計400台です。

「工場の生産停止は、会社にとって大きな損失となります。安定稼働を継続していくためには、工場内の機械類に対する定期的なメンテナンスが欠かせません」(加藤氏)

「潤滑装置の点検作業では、潤滑油タンクの残量や潤滑油の噴霧状態を目視で確認していました。しかし、自分たちの知識だけでは、確認ポイントが適切だという確信は得られていませんでした。さらに、2人で全生産課の点検を担当しているため、作業負荷の大きさも課題でした」(山田氏)

メーカーならではの豊富なノウハウによる点検作業から様々な気づきを得る

そうした中、アズビルTACOから提案されたのが潤滑装置の予知保全サービスでした。専門的な知識を有する担当者が、異常の有無を正しく判断し、異常の兆しを捉え、生産停止による機会損失など現場におけるリスクの低減に貢献するものです。2018年10月、同工場ではその提案を採用することにしました。

「最適な潤滑装置の稼働状態を維持できれば、より長く工作機械を使うことができるようになります。さらに、潤滑油の使用量を抑えることができるため、コスト削減にもつながります」(山田氏)

「軸受が破損した場合、修理には約1~2時間がかかり、その間は生産が止まってしまいます。そうした事態の防止が、予知保全サービスにおける最大の目的です」(山本氏)

まず、アズビルTACOでは、国分工場に導入されている400台のアズビルTACO製のミクロンルブ潤滑装置について、型式や設置位置などの確認を実施。その後、同工場の中でも最も重要な生産ラインで稼働する70台の潤滑装置を対象に予知保全サービスを行い、これまでに計31台の診断が完了しています。対象となった潤滑装置の中には、正常な状態の7~8倍の回数で潤滑油を滴下しているものもありました。過剰な潤滑が軸受破損の原因になることはないため、これまで課題として顕在化することはなかった部分でした。

「我々が点検の中で認識できていなかった点が多々あり、実施内容、点検の作業効率向上などに関して有効な知見を得ることができました。また、潤滑装置は工作機械に取り付けられた形で工場に納入されることも多いため、私たち自身が工場内の潤滑装置すべての存在を把握できていませんでした。今回、アズビルTACOが作成した全400台を網羅するリストで見える化されたことで、今後の管理に役立つ新たな気づきにもなりました」(山田氏)

部品研削のための工作機械内に組み込まれたアズビルTACO製ミクロンルブ潤滑ユニット(上)とルブリケータ(下)。ミクロンルブ潤滑ユニットは滴下状況をモニタリングするセンサを搭載している

部品研削のための工作機械内に組み込まれたアズビルTACO製ミクロンルブ潤滑ユニット(上)と ルブリケータ(下)。ミクロンルブ潤滑ユニットは滴下状況をモニタリングするセンサを搭載している。

工場全体のテーマである予知保全の推進に向けて

一方、国分工場では現在、生産設備の予知保全の実現に向けた取組みを推進すべく、施策に着手しているところです。

「従来、生産設備が潤滑装置の故障から停止してしまうという事態を受けてから、部品交換などの対応をしてきました。そうした体制に対して、生産を止めることのないよう、あらかじめ工場の設備・機械の状態を把握して故障する前に適切な保守を行う、予知保全の重要性が増しています。これは生産を止めない安定稼働だけではなく、設備・機械類の長期利用、コスト削減につながります。こうした観点からも、潤滑装置の予知保全サービスから得られた有用な取組みについては他工場への横展開も可能です」(加藤氏)

「予知保全の実現には、長期にわたって生産設備稼働にかかわるデータを蓄積し、分析していく必要があります。今回の予知保全サービスについても、継続利用が予知保全の実践には重要だと考えており、検討を進めているところです」(山田氏)

今後も国分工場では、生産活動が決して途絶えることのないように、保全にかかわる体制をさらに強化していきます。

「予知保全に関する知見の提供はもちろんですが、機械の保全に携わる立場からは、さらに高い堅ろう性を備えた、故障しにくい製品の提供をお願いできればと考えています」(山本氏)

「併せて、ジェイテクト全体として重要なテーマに据えているのが、省エネルギー、省CO2など環境負荷軽減に資するような生産活動の実現です。環境性能に優れた製品の開発という側面からもアズビルTACOには大いに期待を寄せています」(加藤氏)

※ミクロンルブは、アズビルTACO株式会社の商標です。

お客さま紹介

株式会社ジェイテクト 製造技術部 設備管理課 課長 加藤 俊一 氏
株式会社ジェイテクト
製造技術部
設備管理課
課長
加藤 俊一 氏
株式会社ジェイテクト 製造技術部 設備管理課 設備保全3係 チーフリーダー 山本 晋司 氏
株式会社ジェイテクト
製造技術部
設備管理課
設備保全3係
チーフリーダー
山本 晋司 氏
株式会社ジェイテクト 製造技術部 設備管理課 TPM推進係 グループリーダー 山田 雅之 氏
株式会社ジェイテクト
製造技術部
設備管理課
TPM推進係
グループリーダー
山田 雅之 氏

株式会社ジェイテクト 国分工場

株式会社ジェイテクト 国分工場

  • 所在地/大阪府柏原市国分東条町24-1
  • 操業開始/1938年
  • 事業内容/ステアリングシステム、軸受、駆動製品、工作機械、電子制御機器などの製造販売

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2019 Vol.1(2019年02月発行)に掲載されたものです。

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