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東京臨海熱供給株式会社

3地区のプラント監視システムを更新・統合、新運転支援システム導入でさらなる効率化を目指す

東京臨海副都心の地域冷暖房を担う東京臨海熱供給株式会社では、台場・青海南・有明南各プラントの中央監視システムを更新しました。更新では各々異なっていたDCS※1システムの統一化を図っています。同時に、現在のエネルギー需要動向や気温・湿度といった気象条件、過去の運転実績データなどの様々な情報に基づき、高効率稼働となる熱源機器の選択など最適運転を支援するシステムを大幅に見直し再構築しました。

東京臨海熱供給株式会社が、熱を供給する臨海副都心エリア。

東京臨海熱供給株式会社が、熱を供給する臨海副都心エリア。

工場・プラント分野 その他(市場・産業) 稼働改善 運転監視・制御システム&ソフトウェア 圧力計(圧力センサ)/差圧計(差圧センサ) 流量計

運転支援システムも活用し、熱源機器の最適な運転を目指す

東京臨海副都心地区の地域冷暖房事業を行う会社として、1990年に設立された東京臨海熱供給株式会社は、台場・青海南・有明南の三つの地点に建設された地域冷暖房プラントで冷水(7℃)・温水(80℃)を製造し、各エリアのオフィスやホテル、病院、レジャー施設、テレビ局などに熱供給を行っています。また、台場と有明南プラントでは、有明清掃工場から発生する排熱蒸気を利用して、CO2排出量削減や省エネルギーにも貢献しています。

「1995年の供給開始以来、エネルギーの安定供給に努めながら、運転効率の改善などを継続的に実施してきました。その結果、計5回の料金値下げを行い、お客さまへのコストメリットの提供にも注力してきました」(細井氏)

プラントの運転開始から約10年を経た2006年ごろ、各プラントの運転管理を行う中央監視システムが老朽化してきたため、システム更新に向けた検討を始めました。その際、同社が念頭に置いたのが、台場・青海南・有明南の3プラントの中央監視システムを統一し、同じシステムにすることです。

「それまで台場・青海南・有明南とでは各々独立したシステムが導入されていました。この更新を機に3プラントのシステムを統一することで、オペレータの運転操作標準化による操作性向上を目指すとともに、臨海地区の開発進展による需要増に対する熱供給の推進、プラント間の協力体制を確立、コスト削減などを図ることを考えたのです」(畑辺氏)

併せて、熱源機器の運転について適切なガイダンスを示す運転支援システムの大幅な見直しを図り、再構築を行いました。

「プラントの運転に当たるオペレータは、現在のエネルギー需要動向や温湿度といった気象条件に応じて、稼働させる熱源機器の台数や組合せを適宜判断します。これまでの運転支援システムでは負荷予測機能にとどまり、稼働させる熱源などはオペレータの経験則で対応していました。したがって、オペレータによりバラツキが生じますし、人的な判断だけでは正確性の点で限界があります。新運転支援システムが熱源機器の運転ガイダンスを示しオペレータを支援することで、より熱製造効率を上げることができるシステムを期待しました」(山口氏)

有明南プラントの中央監視室の様子。台場、青海南、有明南の各プラントでは、他プラントの中央監視の画面を参照できるようにした。これにより他プラントで発生したトラブル対処にかかわる情報も共有できる。また、運転支援画面には、現在1GJ(ギガジュール)の熱生産に要している電気、ガスの消費にかかわるエネルギー料金の概算を「××円」の形で画面表示する、というユニークな仕組みも実装されている。

有明南プラントの中央監視室の様子。台場、青海南、有明南の各プラントでは、他プラントの中央監視の画面を参照できるようにした。これにより他プラントで発生したトラブル対処にかかわる情報も共有できる。また、運転支援画面には、現在1GJ(ギガジュール)の熱生産に要している電気、ガスの消費にかかわるエネルギー料金の概算を「××円」の形で画面表示する、というユニークな仕組みも実装されている。

運転支援システムの画面は本社のオフィスでも閲覧できる。各部門や経営層がそれぞれの職掌の視点から運転状況の確認ができるようになっている。

運転支援システムの画面は本社のオフィスでも閲覧できる。各部門や経営層がそれぞれの職掌の視点から運転状況の確認ができるようになっている。

安定供給を維持しながら、移行に向けた工程を綿密に検討

差圧/圧力発信器 DSTJ™3000 Ace+。温水主管および冷水主管の圧力を計測している。

東京臨海熱供給株式会社では、既存システムを担当していた2社を含む数社に更新提案を依頼。各社の提案内容を技術力・実績・コスト・メンテナンス体制などで総合評価した結果、有明南プラントのシステムを担当していたアズビル株式会社をパートナーとして選定しました。

「有明南プラントでの保守対応の手厚さなど、これまでの実績面の評価に加え、提案の中では『オペレータの要求を随時くみ取り、システムへ継続的に反映していく』ことが盛り込まれており、将来に向けた安心感がありました」(山口氏)

プロジェクト開始に当たり、まず3地区のプラントの全オペレータから要望を収集しました。アズビルはそこで集められた要望を最大限に組み込み、高信頼オープンオートメーション・システム Industrial-DEO™をベースに、最適な運転を追求していくための支援システムとして熱源設備/動力プラント 全体最適化パッケージ U-OPT™も併せ、現場にとって理想的なシステムを構築していきました。

一方、システムの更新に当たっては、安定した熱供給を維持しながら、いかに効率的に移行を進めていくかが重要な課題でした。

「供給エリアには病院などもあり絶対に熱供給を止めることができません。プラント運転中のシステム移行作業は困難で、慎重さが要求されます。システムを統一するために1年をかけて計測制御システムや施工方法などの協議を積極的に行い、基本的事項の確認修正を繰り返し行い、更新内容の確定に至りました。施工は1プラント1年間、青海南、台場、有明南、本社の順序で計5年にわたる綿密な施工計画を策定し実施しました」(畑辺氏)

右)電気を使って冷水を製造するターボ冷凍機。左)その流量を計測するスマート電磁流量計 MagneW™3000 FLEX+と圧力を計測するDSTJ3000 Ace+。

※Industrial-DEO、U-OPT、DSTJ、MagneWはアズビル株式会社の商標です。

電気、ガスの契約内容を加味したコストミニマムな運転が可能に

周到な準備の成果もあり、2010年からスタートした切替え作業はスムーズに進み、2014年末にすべての移行を完了。移行作業は、3地区のプラントとも同じメンバーで構成されたプロジェクトチームが担当し、先行する工程で培われたノウハウを後続の工程へと活かせる体制で臨みました。

「最適運転のためには過去の運転実績データも重要な情報です。切替え作業に伴って操業以来蓄積されてきた運転データの欠損が発生しないよう細心の注意を払い、移行方法を工夫することにより各プラントの更新前の実績データも確実に新システムへと引き継ぐことができました」(畑辺氏)

更新後の新システムでは、過去の同時期の運転実績データなどから1時間後、24時間後の需要を予測します。さらに、運転に大きな影響を及ぼす気温や湿度といった外部の気象予報データなども取り込み、稼働させる機器の台数や組合せをオペレータに提示することにより、コストやCO2排出量、運転効率などの観点も踏まえて最適運転をサポートしています。

「熱源機器には電気式とガス式の二つがあります。新システムでは電気、ガスの両エネルギーを効率的に利用する“ベストミックス”を実現しました」(山口氏)

東京臨海熱供給株式会社では、今後もさらなる効率化を追求していきたいとしています。

「政府が実施する一連の規制緩和により、我々エネルギー事業者もさらに厳しい競争を強いられます。そうした中で、いかに熱供給の安定性を高め、コスト競争力を獲得していくかが当社にとって重要課題となります。今回導入したシステムをいかに使いこなすかが、解決の鍵となるでしょう。アズビルには今後もさらなる支援を期待しています」(細井氏)

用語解説

※1 DCS(Distributed Control System)

分散制御システム。プラント・工場の製造プロセスや生産設備などを監視・制御するための専用システム。構成する各機器がネットワーク上で機能を分散して持つことで、負荷の分散化が図れ、安全でメンテナンス性に優れている。

 

お客さま紹介

東京臨海熱供給株式会社 代表取締役社長 細井 優(まさる)氏
東京臨海熱供給株式会社
代表取締役社長
細井 優(まさる)氏
東京臨海熱供給株式会社 技術部 部長(取材当時) 畑辺 高行 氏
東京臨海熱供給株式会社
技術部
部長(取材当時)
畑辺 高行 氏
東京臨海熱供給株式会社 技術部 有明南管理事務所 所長 山口 孝司 氏
東京臨海熱供給株式会社
技術部
有明南管理事務所
所長
山口 孝司 氏

東京臨海熱供給株式会社

東京臨海熱供給株式会社

  • 所在地/東京都江東区有明3-6-11
  • 設立/1990年8月
  • 事業内容/東京臨海副都心エリアにおける温水、冷水などの熱供給

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2015 Vol.4(2015年08月発行)に掲載されたものです。

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