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松江市上下水道局

水道施設で監視システムのマルチベンダー化を実現、広域に点在する多数施設を遠隔で一元管理

松江市上下水道局では、市町村合併により監視対象が増え、250施設・約4400台の機器が広域に点在していました。上水道と簡易水道の事業統合に当たり、各市町村で個別に稼働していた16のシステムを統合し、遠隔監視システムを構築。OPCサーバーを活用したマルチベンダー化により、拡張性・汎用(はんよう)性の高いシステムでの広域一元管理を実現しました。より多くの設備・システム事業者の一般競争入札への参加を可能にし、水道施設の最適な維持管理に加え、地域の活性化にもつなげています。

工場・プラント分野 上・下水道 メンテナンスサポート クラウド・IoT・AI 運転監視・制御システム&ソフトウェア ライフサイクルサポート

各市町村の監視システムをオープン化技術により統合

創設時の施設の一つである旧床几山(しょうぎさん)配水池は、登録有形文化財に指定されている。

創設時の施設の一つである旧床几山(しょうぎさん)配水池は、登録有形文化財に指定されている。

島根県東部の出雲地方に位置する松江市。日本の夕陽(ゆうひ)百選に選ばれた宍道湖(しんじこ)や松江城を囲む堀川などがあることから「水の都」としても知られており、市街中心部にある松江城は2015年に国宝に指定されました。

松江市の水道事業は、公衆衛生としての整備を目的に、1913年から事業が開始、1918年には給水がスタートしました。その後、戦前・戦後を通じた拡張事業を経て、2018年に通水100周年を迎えました。大正時代から変わらず、緩速ろ過方式で時間をかけてつくられている同市の水道水は、ペットボトル水としても製造販売されています。この「松江 縁(えにし)の水」は国際的品質評価機関であるモンドセレクション2018において、最高金賞を受賞しました。

“平成の大合併”で、2005年には松江市を含む1市6町1村、2011年には同市と東出雲町が一つの市となりました。

「その結果、松江市が管理することになった上水道と簡易水道※1の数は大幅に増加しました。これまで計250カ所の水道施設を旧市町村時代に構築された16のシステムで監視していましたが、これらのシステムを一つに統合するとともに、老朽化していた上水道監視制御システムも併せて更新し、広域一元管理を目指すことになりました」(川原氏)

「遠隔監視システムの構築では、オープンな通信技術を採用し、マルチベンダー化を目指しました。その目的は、単独のベンダーにシステム構築を縛られることなく、より多くの設備・システム事業者に一般競争入札の門戸を開くことで、水道施設の最適な維持管理とコスト削減につながると考えたからです」(中倉氏)

複数ベンダーによる拡張が可能な一元的な遠隔監視システムを構築

松江市上下水道局は、遠隔監視システムの構築に当たり、各浄水場やポンプ場などに設置されている複数ベンダーの既存PLC※2によって収集された、各施設の運用データをOPC※3サーバーで受け、SCADA※4から広域に点在する各施設の運転状態を一元監視することを計画。一般競争入札を実施し、調達仕様の汎用SCADAエンジンと合致していた協調オートメーションシステム Harmonas-DEO™を核としたシステムを提案したアズビル株式会社が選定されました。

2013年2月に遠隔監視システムの構築がスタートしました。中央監視室がある浄水場施設にOPCサーバーを設置するのではなく、監視効率、セキュリティ、BCP(事業継続計画)の観点から、堅ろう性に優れた民間のデータセンター内でシステムを稼働させました。その後、市内各所にある浄水場やポンプ場、配水池内の設備監視を順次、既存の他社監視制御システムからHarmonas-DEOへ移行。さらに簡易水道も取り込んでいき、2017年3月までに250施設・約4400台の機器を中央から遠隔監視する仕組みが完成、「縁(えにし)」と名付けられました。

「水道はライフラインとして安定稼働が必須であり、給水を止めることができません。その中、アズビルは綿密な計画を立て、計画どおりにシステムを構築してくれました。その円滑な作業には、非常に安心感がありました」(中倉氏)

データセンターに設置されたサーバーに、各施設の機器の状態・故障・流量などの運用データをWeb経由で送信し、SCADAクライアント(パソコンやタブレット)からその情報を閲覧、監視します。中核を担う忌部(いんべ)浄水場内の中央監視室や各関連施設、上下水道局舎など、様々な場所から全施設の設備稼働状況がリアルタイムで確認できるようになりました。

PLCによる各水道施設の制御は、自律分散型により各施設内で完結しています。万一、中央から監視ができなくなった際にも現場設備の稼働に影響が及ばない構成が採用されています。

「点検を行っている担当者も、タブレットなどを使って中央監視室で見るものと同じ運用データを現場で確認できるため、作業の効率が上がりました。また、このような仕組みが整ったことで、災害発生時における迅速な対応も可能となりました」(中倉氏)

2017年3月に今回のプロジェクトが完了。2018年度からはアズビルの総合サービスオペレーション・プログラム ISOP™(年間保守契約)も採用されています。

「本システムの安定稼働のためには、ソフトウェアとハードウェア両面におけるシステムの保守が不可欠です。遠隔からWebを介して、松江市各施設の機器の状態・故障・流量などの運用データを確認するなど、リモートメンテナンスを行う体制も整い、アズビルのサービスエンジニアに総合的な管理を任せています」(川原氏)

松江市上水道の遠隔監視システム

松江市上水道の遠隔監視システム

忌部浄水場内にある中央監視室。市内250施設・約4400台の機器の状態を遠隔で一元監視している。

忌部浄水場内にある中央監視室。市内250施設・約4400台の機器の状態を遠隔で一元監視している。

熊山取水口の伝送装置盤内に設置された計装ネットワークモジュールNX。水位監視・雨量観測の情報をWeb経由でデータセンターに送っている。

熊山取水口の伝送装置盤内に設置された計装ネットワークモジュールNX。水位監視・雨量観測の情報をWeb経由でデータセンターに送っている。

※Harmonas-DEO、ISOP、DGPLは、アズビル株式会社の商標です。

IoTを活用した先進的取組みで総務省から高い評価を得る

広域オープン化システムの実現により、幅広い事業者が松江市の水道関連設備・システムの保守や拡張に参画できるようになりました。

「地元の事業者が我々の事業に参画できることは、地域の活性化にもつながります。アズビルはこうした意図も十分に理解し、これらの事業者に対して計装技術やシステムの仕様についての講習も実施してくれました」(中倉氏)

松江市での取組みは国からも高く評価され、国土交通省、総務省ら6省による「第2回 インフラメンテナンス大賞」で、「IoTを活用したオープン型遠隔監視システム構築による広域的水道施設の運転維持管理」として「情報通信技術の優れた活用に関する総務大臣賞」を受賞しました。インフラメンテナンス大賞は、社会資本のメンテナンスにかかわる優れた取組みや技術開発を表彰するものです。

「効率的な運用に寄与するのみならず、将来的な拡張性にも優れたシステムの構築は、水道事業の広域化という観点からも意義深いものと考えます。今後は、下水道についても同様のオープン型遠隔監視システムを構築し、将来的には上下水道事業を一体化していきたいと考えています。それに向けて、アズビルには、水道設備の制御・監視にかかわる豊富な知見を基にした提案を大いに期待しています」(川原氏)

用語解説

※1 簡易水道

飲用に適する水を供給する水道のうち、給水人口101人から5000人までを対象とするもの。

※2 PLC(Programmable Logic Controller)

装置や操作盤に設置したセンサやスイッチなどの入力機器からの信号を入力回路で取り込み、あらかじめプログラムされた条件で出力回路をON/OFFすることで電磁弁やモータなどの出力機器を自由に制御するコントローラ。

※3 OPC(OLE for Process Control)

産業オートメーション分野など様々な分野で、安全で信頼性の高いデータ交換を目的とした相互運用を行うための標準規格。

※4 SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)

産業系の制御システムの一種。プラント・工場の製造プロセスや生産設備など、コンピュータで監視・制御を行う。

お客さま紹介

松江市上下水道 事業管理者 上下水道局長 川原 良一 氏
松江市上下水道
事業管理者
上下水道局長
川原 良一 氏
松江市上下水道局 工務部 建設課 課長 中倉 隆 氏
松江市上下水道局
工務部 建設課
課長
中倉 隆 氏

松江市上下水道局

松江市上下水道局

  • 所在地/島根県松江市学園南1-17-24
  • 設立/2013年4月
  • 事業内容/上下水道にかかわる施設の運営、維持管理など

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2019 Vol.1(2019年02月発行)に掲載されたものです。

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