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岐阜県庁舎

最新のエネルギーマネジメントサービスで「脱炭素社会ぎふ」のモデル建物へ

岐阜県では県庁舎の老朽化と行政事務の増大に伴い、行政棟と議会棟からなる新庁舎に建替えを行いました。2020年12月に岐阜県が表明した「脱炭素社会ぎふ」の実現のため、新庁舎での継続した省エネルギー実現に向けて検討を開始。設備の運用データを見える化し、省エネ施策の提案などを行うエネルギーマネジメントサービスと、それを効率的に実現するための遠隔データ収集システムを導入し、来庁者や庁舎内で働く人々の快適性と省エネルギーの両立を目指しています。

建物分野 官公庁建物 快適 省エネルギー エネルギーマネジメント コスト削減 老朽化対策 中央監視システム 建物のエネルギーマネジメント エネルギーマネジメントサービス BASのトータルシステムメンテナンスサービス

岐阜県の魅力を発信するとともに環境に配慮した県庁舎を新設

北部に飛騨山脈と木曽山脈、南部には濃尾(のうび)平野と木曽三川(きそさんせん)を擁し、古くから「飛騨の山、美濃の水」という意味で「飛山濃水(ひさんのうすい)」の地と呼ばれる岐阜県。その魅力を内外に発信する施設として同県の象徴、県政の拠点でもあるのが県庁舎です。

2018年5月、岐阜県は建物の老朽化と行政事務の増大に伴い1966年の建設以来52年にわたり同県の都市づくりの中核を担ってきた県庁舎の建替えを発表しました。新庁舎の建設にあたっては、「安全で安心な県民の暮らしを守る」「地域の魅力を発信する」「環境負荷やライフサイクルコストを低減させる」という三つの基本方針の下、検討が進められました。

さらに岐阜県では、2020年12月に2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする「脱炭素社会ぎふ」の実現を目指すことを表明。2021年5月に「岐阜県温室効果ガス排出抑制率先実行計画」を策定し、事業主体としての県業務部門による「温室効果ガスの排出量を2013年度比で2030年度に70%減」という高い目標が掲げられました。そうした中で2022年9月、地上21階の行政棟と、地上6階の議会棟からなる新庁舎が完成しました。建替え前の旧庁舎と比べて延床面積が約1.6倍になり、県が保有する施設の中でも大規模な施設となるため、その省エネ施策の実施や効果については、他施設に対してモデルケースとなる役割も担っています。また、世の中のSDGsやカーボンニュートラルの流れを背景に、新庁舎は設計の段階から、エネルギー削減を大きな目標の一つに掲げていました。

「『脱炭素社会ぎふ』で掲げた数値目標の達成は、世の中の流れとして取り組むべきものです。旧庁舎では各フロアの空調機の台数が少なく、日当たりなどによるフロア内の温度差に柔軟に対応することができず、省エネルギーだけでなく快適性の面でも課題がありました。新庁舎ではエネルギーの管理をきめ細かく行い省エネルギーの実現と併せて、より快適な環境をつくり、その両立を目指したいと考えました」(西願氏)

遠隔から設備運用データを収集し、エネルギー使用状況の見える化を実施

新庁舎での省エネルギーと快適性の両立という設計方針を踏まえ、新庁舎建設工事として採用されたのが、アズビル株式会社の建物管理システムsavic-net™G5ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)です。アズビルでは、設備運用データを活用してエネルギー管理を行う「エネルギーマネジメントサービス」を提案しました。

「設備の運用データが蓄積され、エネルギーの消費動向が把握できるため、その情報をいかに省エネルギーにつなげていくかが課題でした。新庁舎は建物の規模が大きく、管理項目も多いため、各計測データをどのように解析し、省エネルギーにつなげていけるかが重要であると考えていました」(西願氏)

そこで岐阜県は2022年9月にエネルギーマネジメントサービスと、トータルシステムメンテナンスサービス BESTMAN™EVの採用を決定。竣工(しゅんこう)の直後から、中央監視装置であるsavic-net G5が制御している電力・熱源・空調といった設備の運用データや、庁舎内の温湿度をはじめとする各種計測データを収集し、アズビルのクラウドサーバーで蓄積を開始しました。

「1万点を超える項目を監視制御しています。管理項目が多いので、専門技術者の意見を聞きながら、これらのデータをうまく利用してエネルギー管理を進めていきたいと考えていました。アズビルは豊富な実績に基づくノウハウや技術力を有している点で安心感がありました」(寄国氏)

BESTMAN EVでは、アズビルが設備の制御状態を遠隔からデータ収集しています。空調機の動作やバルブの開度など制御に必要な情報を取得し、制御動作の点検も実施しています。このときに集められた運用データを基にグラフによる可視化を行い、アズビルのフィールドエンジニアが内容を評価。設備の動作や制御状態におかしな点があれば現場で点検・チューニングを行います。設備や制御を常に良好な状態に保つことで、収集した運用データの信頼性を担保し、最適な省エネルギーにつなげることができます。

庁舎内の設備・機器を監視・制御する中央監視装置savic-net G5。熱源設備の監視画面では、直感的で見やすいグラフィックで設備の稼働状況を確認することができる。

庁舎内の設備・機器を監視・制御する中央監視装置savic-net G5。熱源設備の監視画面では、直感的で見やすいグラフィックで設備の稼働状況を確認することができる。

専門チームによる定例報告を実施、将来に向けた対策にも期待

現場での運用を常時サポートするメンテナンスサービスと並行して、エネルギーマネジメントサービスとしてアズビルは、月に1度の定例会と半年に1度の報告検討会を開催し、庁舎建物の運用状況を岐阜県に報告、設備の運用改善や省エネ施策の計画立案につなげています。

「先日、空調設備の操作方法を変更したところがあったのですが、これについても遠隔でアズビルが把握しており、打合せの際に、その操作方法の改善案が提案されました。もし仮に間違った操作をしていた場合や、エネルギーの効率が悪くなる操作だった場合は、アズビルからすぐにアドバイスが得られ改善できると感じています」(寄国氏)

「岐阜県温室効果ガス排出抑制率先実行計画」では、県有施設の消費エネルギーを毎年度1%以上低減という目標を掲げています。新庁舎の運用開始初年度はデータの蓄積を行う段階として、通常使用時のエネルギー消費量の検証を行っており、季節ごとにどれくらいのエネルギーを使っているのかを確認した上で、今後具体的な省エネ施策の計画を進める予定です。

「新築の建物ということで、設備についてもエネルギー効率の高い最新の機器が導入されており、そこからさらに省エネルギーを図っていくことは難しいと感じています。開庁から数年は設備の簡単なチューニングだけでエネルギー削減率をクリアできるかもしれませんが、そこから先はどのように省エネルギーを図っていくかが課題となります。専門家であるアズビルに長期的な戦略としての省エネ計画を、現在も提案いただいているところです」(髙﨑氏)

建物の規模も大きくなり来庁者も増え、庁舎内で働く人も2000人ほどとなった今、空調に対する要望も多く届くようになりました。

「工事の段階からアズビルにはこまやかな対応をしていただき、設備の試運転のときはずっと付きっきりで現場にいてくれました。開庁後も連絡をすればすぐに対応してくれるなど、多方面で私たちをサポートしてくれています」(髙﨑氏)

岐阜県は、今回のプロジェクトで効果を実感できればほかの県有施設にも情報提供を行い、脱炭素・省エネルギーの目標達成に向けて動いていく方針です。

「省エネルギーの実現は、まず現状を解析・検証するためのデータが豊富にあることが一番大切です。今回導入したシステムを最大限に活用することで、省エネルギー、そして来庁者や職員が快適に過ごせる空間を維持することの両立を目指して庁舎の管理運営を進めていきます。エネルギーマネジメントという考え方をどのように使っていくのか、今までアズビルが長年培ってきた技術を基に、今後も技術的な協力・支援をお願いしたいと考えています」(西願氏)

日照時間の長い地域特性を活かし、庁舎建物南側に太陽光発電パネル(左)と太陽熱収集器(右)を設置。太陽熱は食堂の給湯などに利用されガス利用量の削減に役立ち、太陽光発電は庁舎全体の電力の2%を賄っている。

日照時間の長い地域特性を活かし、庁舎建物南側に太陽光発電パネル(左)と太陽熱収集器(右)を設置。太陽熱は食堂の給湯などに利用されガス利用量の削減に役立ち、太陽光発電は庁舎全体の電力の2%を賄っている。

※savic-net、BESTMANは、アズビル株式会社の商標です。

お客さま紹介

岐阜県庁 総務部 管財課 設備管理監 西願 陽一郎 氏
岐阜県庁
総務部 管財課
設備管理監
西願 陽一郎 氏
岐阜県庁 総務部 管財課 設備係 係長 寄国 淳 氏
岐阜県庁
総務部 管財課
設備係
係長
寄国 淳 氏
岐阜県庁 総務部 管財課 設備係 技術主査 髙﨑 陽平 氏
岐阜県庁
総務部 管財課
設備係
技術主査
髙﨑 陽平 氏

岐阜県庁舎

岐阜県庁

  • 所在地/岐阜県岐阜市薮田南2-1-1
  • 県政開始/1871年
  • 概要/行政棟と議会棟の2棟からなる県政の拠点。災害対策の中枢拠点の役割も担う。

この記事は2024年02月に掲載されたものです。

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