環境配慮製品

サステナブルな商品 の創出・提供

脱炭素化、資源循環、生物多様性保全の3つの環境重点分野の視点で課題解決を実現するサステナブルな商品の創出・提供を通じ、環境課題と事業活動を統合する「環境統合型経営」によって社会の環境課題解決へ貢献します。

3つの環境課題と、サステナブルな商品が提供する価値、実現を目指すところ

環境課題 提供する価値 実現を目指すところ
脱炭素化 省エネルギー設計、機器や設備運用の高効率化の実現およびそれらにつながるメンテナンス(保守)等による、お客様の現場でのCO2削減への貢献 社会全体の
カーボンニュートラル
資源循環 省資源設計、リサイクル可能な設計の実施および適切なメンテナンス(保守)の実施 社会全体の資源の有効活用
生物多様性保全
(環境汚染防止)
製品含有化学物質管理および環境法規制遵守・環境汚染防止のための、ソリューション提案、適切なメンテナンス(保守)の実施 地球環境の汚染防止

なお、JIS Q 14040などの規格では、「製品」には「サービス」も含まれると定義されていますが、azbilグループでは、「製品」と「サービス」を区別して定義し、両方を合わせて「商品」と呼んでいます。

環境配慮製品

「環境配慮製品」とはJIS Q 62430で定義される「環境配慮設計」に基づいて開発された製品を指します。azbilグループではこれに相当する製品を「サステナブルな製品」と呼称し、地球環境へ配慮した製品の開発を推進しています

環境配慮設計

概要と目的

1997年に環境に配慮した製品の設計および評価制度を構築し、運用を開始しました。また、2023年度にはそれらの評価制度を全面的に刷新し、脱炭素化、資源循環、生物多様性保全に貢献する製品の創出・提供を目指した「サステナブルな設計」と位置付け、推進体制の強化を進めてきました。当社では、以下の7項目に基づき製品設計を行っています。 それらは、「製品ライフサイクルCO2の算定」、「資源消費削減」や「資源循環」に関わる指標や、「脱炭素化」、「資源効率利用」、「環境汚染防止」、および「情報開示」に関わる評価項目です。

リサイクルへの取組み

azbilグループでは、環境配慮設計の一項目である、資源の循環性を考慮した製品設計に力を入れています。
下記の「リサイクルへの取組み」を参照してください。

リサイクルへの取組み

製品環境アセスメント

経済産業省や業界団体のガイドラインでは「製品アセスメント」と記載されていますが、当社では「製品環境アセスメント」と呼称し、環境配慮に関する評価であることを明確化しています。地球環境に配慮した製品の創出・提供を促進するため、新製品の製品環境アセスメントを実施しています。この制度では、独自のアセスメント項目に基づく評価や、製品ライフサイクルCO2の算定を行っています。これにより、開発企画・設計の初期段階から、調達、製造、輸送、使用、廃棄に至る、製品のライフサイクル全体における地球環境への影響を評価しています。

アセスメント項目

以下の8項目に基づき、評価を行っています。

  • リユース・リサイクル:リユース・リサイクルが可能な部品・材料の選択、解体分離が容易な構造、分別の容易性。
  • 処理容易性:製品の回収・運搬の容易性、破砕の容易性、処理時の安全性。
  • 環境保全性:特定有害物質の使用廃止、環境汚染物質を含む部品類の分離性、製造段階での有害物質の使用回避、環境負荷の少ない材料の使用。
  • 省資源化:製品の小形化・軽量化、リサイクル材の利用、消耗品の消費削減、生産工程の廃棄物削減、省配線。
  • 省エネルギー性:省エネルギー設計、生産工程とエンジニアリングでの省エネルギー削減。
  • 長期使用性:グレードアップ性、修理と保守の容易性、耐久性。
  • 包装材:包装材の削減、リユース・リサイクル、特定有害物質の使用廃止。
  • 情報提供:製品取扱者への適切な情報の提供。

ライフサイクルアセスメント(LCA)の取組み

ISO14040(JIS Q 14001)、およびISO14044(JIS Q 14040)を参照し、ライフサイクルアセスメント(LCA)を実施しています。
以下に、当社製品の傾向を記載します。調達段階と使用段階のCO2排出量が多い傾向があります。

製品群によるライフサイクルCO2の割合

製品開発の流れ

詳細な設計が始まる前に、製品環境アセスメントの一部帳票を用いて仮評価を行い、環境配慮性としてクリアすべき課題の見える化と、環境目標(開発目標)の設定を行う流れとしています。これにより、実際に開発される製品の環境配慮性の向上が見込まれます。

環境ラベルと表彰制度

2001年4月に、ISO14201 (JIS Q 14021)の自己宣言型環境ラベルを制定しました。製品環境アセスメントの結果が、当社基準を満たした製品に対して、環境ラベルの記載を許可しています。
その中でも特に評価結果が優れた製品は、業務貢献賞として表彰を行うことで、開発者のモチベーション向上にもつなげています。

製品事例

環境に配慮した製品設計を行い、製品環境アセスメントを実施した結果、自社基準を満たした製品を、「サステナブルな製品」と呼んでいます。以下に事例を紹介します。
また、アズビルグループの技術開発に関する論文集「azbil Technical Review」を年に一度発行していますので、そちらも参照ください。

LCA活用で消費電力を低減「汎用光電センサHP7シリーズ」

光電センサとは光を媒体として物体の有無を検出し、電気的なオン/オフ信号を出力するセンサです。投光部と受光部で構成され、投光された光が物体により、遮光または反射した状態を受光部が検出・信号処理し、出力します。
新製品開発にあたり、旧来製品のLCAを実施した結果、製品使用時※1の電力消費の影響が大きいことが分かりました。そこで、電流消費の多い箇所を特定し、(1)投光電流の削減、(2)電圧駆動による削減、(3)専用ICの消費電流削減、(4)新バラツキ設計の導入と、それぞれの方策を実施することで、光電センサの消費電力を旧来製品との比較で約1/2にできました。

※1 製品使用条件は、1日24時間使用、使用期間は10年

省エネルギー性など環境上の課題解決の詳細、および環境面以外の製品の特徴については、技術報告書「azbil Technical Review」(2013年4月発行号)をご覧ください。

自動感度調整機能が付いた汎用光電センサの開発 (2,702KB)

製品の仕様については、アズビル株式会社 工場・プラント向け製品・サービスをご覧ください。

専用設計ソレノイドで消費電力を大幅削減「デュアルバルブTX」

アズビルTACO株式会社のデュアルバルブが大きな進化を遂げました。新しいデュアルバルブTX(形TX-A)は、世界トップクラスの性能と環境にやさしいモノづくりを目指して開発されました。新しく設計したパイロットバルブにより応答時間を短縮し、これまでにない流路設計により高速排気・故障時低残圧を実現しました。従来よりもさらに高いデュアルバルブTXのパフォーマンスは、安全なプレス機械に要求される「確実に止める」をより確かなものとします。
環境配慮設計においては、プラスチック成型部品やアルミダイカスト部品を積極的に採用することで22%の軽量化を実現するとともに、専用設計されたソレノイドが消費電力を50%も削減しました。
1979年の発売以来、当社デュアルバルブはアジアのプレス機械メーカーを通じて全世界に輸出されています。新しいデュアルバルブTXは、世界をリードするクオリティでお客様の安全と地球環境の保全に貢献します。

製品の仕様については、アズビルTACO株式会社 製品情報をご覧ください。

ライフサイクル全体の環境負荷を削減「オープンPLCリンカ:DOPLⅡS」

※2015年度グッドデザイン賞受賞

DOPLⅡS(形HD-PLBS4)は、Harmonas-DEOシステム及びAdvanced-PSにおいてプログラマブルロジックコントローラ(PLC)を統合するコントローラです。
従来製品に比べ、部品の低消費電力化、電源最適化設計と効率改善により消費電力を37.5%削減しました。さらに、使用部品点数の20%以上削減、内部配線の削除、及びCPUボードへの拡張、ボード機能の取込みなどにより、41.2%の小型軽量化を実現しました。また、長寿命化に向けた有寿命部品の削減、内部構造のモジュールによる拡張性の向上などにも取り組みました。環境設計アセスメント評価における総合改善度は39.6%改善し、LC-CO2も大きく削減され、azbil独自の環境ラベル認証基準を達成しました。

製品の仕様については、アズビル株式会社 工場・プラント向け製品・サービスをご覧ください。

従来比50%の小型化を実現「小型デジタルマスフローコントローラ」

小型デジタルマスフローコントローラ (形F4H)は、従来機種の応答性や制御性を維持しながら、電気電子部品の製造装置や理化学分野の各種分析装置・培養装置などに求められる機能に絞り込むことで、体積を従来機種比で50%に削減し、省資源化を実現しました。これにより、マスフローコントローラを搭載する装置の小型化を支援し、お客様の環境負荷低減にも貢献します。

製品の仕様については、アズビル株式会社 工場・プラント向け製品・サービスをご覧ください。

従来比50%以上の小型化と消費電力低減を実現「サファイア隔膜真空計」

サファイア隔膜真空計(形SPG)は、マイクロマシニング技術などのazbil独自の技術開発により小型化を実現したサファイアセンサの採用で、製品の小型・軽量化を実現、省資源化で57.1%改善しました。さらに、センサの小型化が消費電力削減につながり、省エネ性が53.3%向上しました。 これらの取組みの結果、製品のLC-CO2も大きく削減することができました。

製品の仕様については、アズビル株式会社 工場・プラント向け製品・サービスをご覧ください。

第三者にも認められた省エネ性能「流量計測制御機能付アクティバル」

流量計測制御機能付アクティバル(形FVY51)は、優れた省エネ性により、一般社団法人日本バルブ工業会や、世界省エネルギー等ビジネス推進協議会世が主催する制度にも登録されています。
空調用制御バルブと温度・圧力・流量・熱量の計測機能の一体化を実現したことが特長です。空調機ごとのエネルギー使用量を可視化することでエネルギー管理の質を向上させ、さらに流量制御によって必要以上の流量供給を制御し省エネルギーを実現します。
従来はバルブの他に圧力計や流量計等を別途設置する必要がありましたが,これらの製品機能を本製品に集約したため,別の機器を購入する必要がなくなり,省資源化に大きく貢献しています。また,現場への設置や調整工数も本製品1つのみとなるため,現場作業者の工数も削減され,お客様の導入費用の抑制にも貢献します。

本製品はお客様のランニングコストの抑制にも貢献します。実際の導入事例で試算した結果では、一年間で約227,000KWhの電力量削減が期待できることを確認しています。こちらのページでご紹介しています。

製品の仕様については、アズビル株式会社 建物向けのバルブ(電動弁)・操作器をご覧ください。

環境配慮バルブ登録製品

自社基準での評価に加えて、「一般社団法人日本バルブ工業会」が主催する「環境配慮バルブ登録制度」にも登録された製品をご紹介します。

本制度は、環境配慮設計に取り組んだ製品の社内外へのアピールや、環境負荷の少ない製品の需要喚起・供給促進を目的として、2016年11月に開始されました。
本制度に登録される製品は、日本バルブ工業会が定める「バルブ製品アセスメントガイドライン」に基づき、自社の従来製品(従来製品が無い場合は新規設計目標値)との相対比較によって環境側面を自己評価しています。
制度の詳細は、日本バルブ工業会のHPをご覧ください。

各製品の概要は、一覧表の「製品名」をクリックすると確認できます。
同様に、改善した評価項目は、「登録情報」をクリックすると確認できます。

国際展開技術集への掲載製品

世界省エネルギー等ビジネス推進協議会(略称JASE-W)が発行している「国際展開技術集」に当社製品が掲載されているので紹介します。
本協議会は日本企業が有する優れた省エネルギー/新ネルギー/脱炭素の技術や製品を官民一体となって世界に普及させるために活動しています。当社の技術および製品の優れた環境配慮性は、第三者様からも高い評価をいただいています。

国際展開技術集に下記製品の特徴や原理、省エネ効果を紹介しています。

製品1 技術集File No E-55
「熱源設備/動力プラント全体最適化パッケージ U-OPT™」

製品2 技術集File No F-88
「流量計測制御機能付電動二方弁アクティバル™」