azbilグループCSR調達ガイドライン

7 健康と安全

7.1 職務上の安全

  • 職務上の安全に対するリスクを把握し、事故や労働災害を未然に防止する必要があります。
  • 特に妊娠中の女性・育児中の母親への合理的な配慮を行う必要があります。

7.2 緊急時の備え

  • 災害・事故等の緊急事態から人命・身体の安全を守るため、緊急時の対策を準備し、災害時にその行動がとれるように教育・訓練を実施する必要があります。

7.3 労働災害および疾病

  • 労働災害および労働疾病の状況を把握し、適切な対策および是正措置を講じる必要があります。

7.4 産業衛生

  • 職場において人体に有害な化学的、生物学的、物理的リスクを把握し適切に管理する必要があります。また、労働者に適切な教育を実施する必要があります。

7.5 身体的負荷のかかる作業への配慮

  • 身体的に負荷のかかる作業に対して、身体への影響を考慮し適切に管理する必要があります。

7.6 機械の安全対策

  • 業務上使用する機械装置について安全上のリスクがないか評価し、適切な安全対策を実施する必要があります。

7.7 衛生設備、食事、および住居

  • 労働者に提供する施設(寮・食堂・トイレ等)には、適切な安全衛生を確保する必要があります。

7.8 安全衛生のコミュニケーション

  • 職務上の危険について、適切な安全衛生情報の教育・訓練を労働者が理解できる言葉・方法で提供する必要があります。

7.9 従業員の健康管理

  • 法令に定める水準以上の健康診断を実施し、疾病の予防と早期発見に努める必要があります。
  • メンタルヘルス等のケアついて十分に配慮する必要があります。

7.10  働き方改革とワークライフバランスの実現

  • 多様で柔軟な働き方を進めることで、労働者の働きがい向上につながります。
  • 法令に定める以上の休暇を与えることで、労働者の心身の健康確保につながります。

補足説明

7.1 職務上の安全
職務上の安全に対するリスクとは、電気その他のエネルギー、火気、乗物・移動物、滑りやすい・つまずき易い床面、落下物などによる、就業中に発生する事故や健康障害の潜在的なリスクを指します。
職場における危険を、発生の可能性も含めて特定し、労働者に対する安全対策を実施することが必要です。
さらに、妊娠中の女性および授乳期間中の母親への合理的な配慮には、重量物の持ち上げ、感染症への曝露、鉛への曝露、有毒化学物質への曝露、無理や負担のある姿勢での作業、放射性物質への曝露、暴力による脅し、長時間作業、極端な高温、過度の騒音などがあげられます。

7.2 緊急時の備え
緊急対策とは、例えば、緊急時の報告、労働者への通知、避難方法の明確化、避難施設の設置、分かり易く障害物のない出口、適切な退出設備、緊急医療品の備蓄、火災検知システムの設置、消火器・防火扉・スプリンクラーの設置、外部通信手段の確保、復旧計画の整備などを指します。職場内への周知徹底も必要です。これには、例えば労働者への緊急対応教育(避難訓練を含む)の実施や、緊急時の対応手順書などの職場内で容易に手の届く場所への保管・掲示があげられます。

7.3 労働災害および疾病
労働者の身に起きた労働災害および労働疾病は、記録し、必要な治療を提供し、事故の調査、原因の特定と除去および予防対策の実施、管理、報告を含めた是正措置を実施する必要があります。
適切な対策とは、労働者による通報の促進、災害・疾病の分類や記録、必要に応じた治療の提供、災害・疾病の調査、原因排除に向けた是正対策の実行、労働者の職場復帰の促進などを可能にする制度や施策のことを指します。
また、法令の定めに応じた行政に対する必要な手続きの実施、労災保険への加入なども含まれます。

7.4 産業衛生
有害な影響を与えるものには、毒劇物、放射線、慢性病を引き起こす物質(鉛、アスベストなど)などが含まれます。これらは、煤煙、蒸気、ミスト、粉塵などの状態で存在することもあります。騒音や悪臭なども著しい場合には人体に有害なものとみなされます。
また、適切な管理とは、例えば、管理基準の制定および運用、労働者への適切な教育・訓練や適切な個人保護具の提供などを指します。

7.5 身体的負荷のかかる作業への配慮
身体的に負荷のかかる作業には、手作業による原材料の取り扱い、手動での重量物運搬作業などの重労働のほかにも、力の必要な組み立て作業やデータ入力などの長時間にわたる反復作業・連続作業、長時間の不自然な姿勢による作業などが含まれます。
また、適切な管理として、人間工学にもとづく作業環境の整備、定期的な小休止、作業補助具の提供、複数作業者での分担や協力などがあげられます。

7.6 機械の安全対策
適切な安全対策とは、就業中に発生する事故や健康障害の防止のための管理を指し、例えば、フェイルセーフ、フールプルーフ、インターロック、タグアウトなどと呼ばれる安全機構の採用、安全装置や防護壁などの設置、機械装置の定期的な検査と保全の実施などがあげられます。

フェイルセーフ:故障や誤動作、誤操作等が生じても、常に安全に動作するような配慮
フールプルーフ:操作を誤っても危険な状態にならないような仕組み
インターロック:一定の条件が整わないと他の動作ができなくなるような仕組み
タグアウト:ヒューマンエラーによるロック解除を防止するため、操作禁止を明示する札の設置

7.7 衛生設備、食事、および住居
安全衛生の確保としては、施設の清潔・衛生を保つととともに、以下のような点に留意する必要があります。

  • 飲料水:法規制に準拠した水質検査、安全な飲料水(ウォーターサーバーなど)
  • 衛生的な食事の提供:調理人の服装・健康診断、害虫駆除、食品の適温管理、食堂事業の認定証など
  • トイレ:人数に対する十分な数の清潔なトイレ施設、トイレットペーパーの提供など
  • 寮:火災対策、緊急避難路(出口)、個人所持品の安全な保管施設(鍵付きロッカーの提供)、居室の十分な広さ、換気、温度管理、適切な照明など

7.8 安全衛生のコミュニケーション
労働者が曝露することになるあらゆる特定される職場の危険(機械、電気、化学、火災、および物理的危険を含むがこれに限定されません)について、適切な職場の安全衛生情報と教育・訓練を提供する必要があります。
安全衛生関連の情報は、施設内に明確に掲載されるか、労働者が参照できる場所に置かれるものとします。また、労働者の理解できる言語で提供する必要があります。教育・訓練は、作業の開始前にすべての労働者に、それ以降は定期的に提供する必要があります。 また、労働者側から安全上の懸念を提起することが奨励されます。教育・訓練の項目には、個人保護具の正しい使い方、緊急時対応、機械の安全操作、有害な環境に入る前の準備などが含まれます。

7.9 従業員の健康管理
適切な健康管理とは、少なくとも法令に定める水準において健康診断などを実施し、従業員の疾病の予防と早期発見を図ることを指します。
あわせて、過重労働による健康障害の防止やメンタルヘルスなどのケアについても十分に配慮していく必要があります。

7.10 働き方改革とワークライフバランスの実現
日本では内閣府が定めた、仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章において、「誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、子育て・介護の時間や、家庭、地域、自己啓発等にかかる個人の時間を持てる健康で豊かな生活ができるよう、今こそ、社会全体で仕事と生活の双方の調和の実現を希求していかなければならない。」と宣言されています。
また、内閣府による行動指針には、「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)が実現した社会の姿」として具体的な3つの社会が実現するために必要な条件をあげています。

  • 就労による経済的自立が可能な社会
  • 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
  • 多様な働き方・生き方が選択できる社会