健康管理の取組み
健康管理
1. azbilグループ健幸宣言
社員が健康で活き活きと仕事に取り組んでいけるようにする総合的な取り組みを「健幸経営」と定義し、総労働時間の削減、ハラスメント防止、ダイバーシティー推進、労働安全と心身の健康増進、働きがいや組織活力の向上などに取り組んでいます。2019年7月には「azbilグループ健幸宣言」として、労使が協働して快適で働きやすい職場環境づくり、心身の健康づくりに取り組むことを宣言しました。
azbilグループ健幸宣言
健康で幸せ、活き活きとした「働きの場と人」を創る
社員ひとりひとりの健康が企業活動の重要な基盤であるととらえ 、会社で働くすべての人々が安心・安全で、快適に、活き活きと、自分らしく健やかに働き、それぞれが持つ多様な能力を発揮し、公私ともに充実した人生を送ることが、生産性や業績の向上、イノベーション、社会への貢献につながると考えています。
健幸な「働きの場と人」を創るために、会社とそこで働く社員が協働し、快適で働きやすい職場環境づくり、心身の健康づくりに積極的に取り組むことを宣言します。
2. 安全衛生管理体制
azbilグループでは、代表取締役社長から任命されたazbilグループ総括安全衛生管理者(執行役員)が責任者となり、各事業所に安全衛生委員会を置き、安全衛生管理体制を整備しています。半期に1度、azbilグループ中央安全衛生委員会を開催し、安全衛生施策の方針決定や進捗確認を行っています。また、定期的に各拠点やグループ会社の活動計画や活動状況の内部監査を行います。
グループ安全管理部と人事部がそれぞれ主幹となり、各事業所の担当者が参加する安全専門部会、衛生専門部会を開催し、それぞれ安全管理、衛生管理の方針の審議や進捗管理を行っています。その他、月1回、常勤産業医・常勤産業看護職によるミーティングを開いて、各事業所の課題の共有や健康管理についての方針を審議しているほか、人事部とazbilグループ健康保険組合で月1回、定期的なミーティングを開くなどしてコラボヘルスの取組みを推進しています。
体制図は「安全衛生マネジメント推進体制」 をご覧ください。3. 健康管理に関する中期計画・年度計画・KPI・SDGs目標
健康管理に関しては、azbilグループ中央安全衛生委員会が、azbilグループの健康づくり方針を策定し、それに基づいて健康づくりの中期計画・年度計画を策定して取り組んでいます。また、SDGs目標に「働きがい・満足度」に関するものを掲げ、毎年実施している社員満足度調査を通じて、「azbilグループで働くことに満足している社員の比率を2030年度までに65%以上とする」という定量目標を定めています。
アズビルの健康づくりの中期目標の一例(抜粋)
中期目標(2020~2023年度) | 実績値(参考) | |||
---|---|---|---|---|
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
メンタルヘルス不調による長期休業の発生件数を 年間30人以下まで減少させる |
45人 | 54人 | 45人 | 62人 |
高血圧・糖尿病の重症者の割合を2.0%以下に減少させる | - | 4.5% | 4.5% | 4.1% |
40歳以上対する乳がん検診の受診率を80%以上とする | 68% | 69% | 65% | 75% |
子宮頸がん検診の受診率を80%以上とする | 65% | 63% | 61% | 66% |
からだの健康管理の取組み
4. 健康診断・がん検診
法定の一般定期健康診断の項目に、胃部レントゲン検査、便潜血検査、乳房X線検査、乳房エコー検査、子宮頸部細胞診検査などのがん検診の項目を任意項目として追加して受診を促しています。定期健康診断の受診率はほぼ100%で、各種がん検診の受診率は下表のとおりです。また、2018年度には胃がんリスクを調べるABC健診を実施し、97%の社員が検査を受けました。2018年度以降に入社した社員についてはABC健診の自己採血キットを配布して検査を継続しています。
5. 女性の健康課題への対応
特に、乳がん検診・子宮頸がん検診の受診率の向上をめざして、各事業所の健康診断の受診方法を改善する、勤務時間内の受診を認める制度を設けるなどの取組みを行っています。また、乳がん検診、子宮頸がん検診の受診率向上のために、各事業所でセミナーなどを実施しているほか、全社員にむけた解説動画を作成し、社内イントラネットに案内するなど、社内の啓発を行っています。2021年度は婦人科健診を定期健康診断と同時に受診できる事業所を増やした結果、受診率が向上しました。
一般定期健康診断の受診率
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|---|
一般定期健康診断 | 100% | 98.3% | 99.9% | 99.9% |
各種がん検診の受診率(健康診断受診者に対する割合)
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | ||
---|---|---|---|---|---|
がん検診 | 肺がん検診(全年齢) | 99% | 100% | 100% | 100% |
胃部レントゲン(50歳以上) | - | 72% | - | 71% | |
ABC検診(全年齢) | 97% | - | - | - | |
大腸がん検診(40歳以上) | 95% | 93% | 92% | 93% | |
乳がん検診(40歳以上) | 68% | 69% | 65% | 75% | |
子宮頸がん検診(全年齢) | 65% | 63% | 61% | 66% |
6. 職場復帰支援・治療と就労の両立支援
病気やケガなどで長期休業をしている社員や、がん治療などを行いながら就業を続けている社員に対して、定期的に産業医との面談を行い、治療や復職、就業に関する不安の軽減を図るとともに、円滑な職場復帰や治療と就労の支援のために各職場にて必要な業務調整を行っています。産業保健体制の整備とあわせて、2019年度に長期休業者の職場復帰支援における社内のプログラムを見直しました。職場復帰支援や治療と両立支援に関する社員向けの資料を作成し、社内制度の周知をはかるとともに、病気やケガをしても安心して働ける職場環境づくりを進めています。
がん治療と就労の両立支援に関する社員向けの説明資料(抜粋)

7. 生活習慣病対策
健康診断結果にもとづく産業医や産業看護職による保健指導や受診勧奨、病状の悪化や作業中の事故を防ぐための業務調整などを行ってきていますが、2020年度からは「収縮期血圧が 160mmHg以上」、「拡張期血圧が100mmHg以上」、「HbA1cが7.5%以上」のいずれかに該当する社員に対して、共通の就業制限(時間外労働の制限、夜勤・車両運転・高所作業等の禁止など)を実施するルールを導入しました。全国一律の標準的な運用によって、血圧や血糖値の高い社員の治療の動機づけにもつながっており、高血圧や糖尿病などの重症化リスクを低減しています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|---|
血圧ハイリスクに該当 | 2.5% | 2.8% | 3.1% | 2.7% |
糖尿病ハイリスクに該当 | - | 1.7% | 1.6% | 1.5% |
上記のいずれかに該当 | - | 4.5% | 4.5% | 4.1% |
8. 健康づくりプログラム
azbilグループ健康保険組合と連携し、全国どこからでもスマートホンやPCなどで利用できる健康づくりプログラムを社員に提供し、健康増進を広く呼び掛けています。毎日の食事のメニューを報告することで栄養士から個別のアドバイスが得られるプログラムや、睡眠の質の改善を目標に睡眠に関する学習コンテンツと生活習慣のアドバイスが得られるプログラム、また、肩こりや腰痛の改善を目的とした運動支援のプログラム、社内の参加者と一緒にウォーキングに取り組めるプログラムなどを提供しています。
健康づくりプログラムの利用者数
プログラム | 2020年度の利用実績等 | 2021年度の利用実績等 |
---|---|---|
食生活改善プログラム | 78名 | 30名 |
睡眠習慣改善プログラム | 90名 | - |
腰痛予防プログラム | 100名 | 189名 |
トレーニング動画の視聴 | 2カ月間の総視聴回数6256回 | - |
ウォーキングプログラム | - | 266名 |
9. 受動喫煙防止対策
社内の受動喫煙防止対策を2013年度より本格化し、屋内の全面禁煙など空間分煙の対策や、禁煙に関する社内の情報提供や個別の保健指導などを行ってきました。2020年度には中期的な取組みに「2023年度からの就業時間内禁煙の実施」を掲げ、各事業所で禁煙タイムを設けるなど段階的な取組みを開始しています。また、2020年度から医療機関で禁煙治療を行った社員への費用補助や、ニコチンガムの試供など、禁煙を応援する取組みを実施しています。こうした取組みを通じて社員の喫煙率は、年々減少しています。
社員の喫煙率
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|---|
社員の喫煙率 | 24.8% | 23.9% | 22.1% | 21.5% |
10. 高年齢化対策
社員の高齢化に伴う、持病の悪化による労働損失、体力の低下に伴う事故や災害などの予防対策として、転倒事故防止のための体力測定(『転倒等災害リスク評価セルフチェック(中央労働災害防止協会)』を元にしたプログラム)を実施しています。2020年度はコロナ禍によるテレワークの推進により、在宅勤務を行っている社員が増えたため、社内で実施する体力測定の実施率が低下しましたが、2021年度からは、在宅勤務でも安全に実施できるプログラムに変更して実施しており、実施率が向上しました。
また、2020年度には常勤産業医・常勤看護職によるワーキンググループを組織し、約1年間をかけて、高年齢社員の健康問題について議論し、予防対策の立案を行いました。体力測定(セルフチェック)の実施率を向上させることで、健康管理や体力づくりのきっかけとしてもらうほか、今後、体力の低下の状況に応じた保健指導や就業上の配慮等、個別の健康管理にもつなげていく予定です。
体力測定の実施率
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|---|
体力測定の実施率 | 49% | 54% | 30% | 67% |
11. アルコール依存症対策
2020年度よりコロナ禍のストレスや在宅勤務等を背景に、アルコールによる健康障害の問題が発生するようになりました。そこで、2021年度に、事例が生じた時の社内の対応手順などをガイドラインとして定め、各事業所で適切な対応ができるよう、担当者への教育を実施しました。また、社員にも対してもアルコールによる健康障害の予防についての啓発や情報提供を継続的に実施していく予定です。
12. コラボヘルスの取組み
人事部とazbilグループ健康保険組合とで月1回の定期的なミーティングを行い、それぞれの活動計画や活動内容についての意見交換を行っています。特定健康診査、特定保健指導、健幸づくりプログラム、がん検診の受診率の改善、禁煙サポート施策、健康診断項目の見直しなどについての議論を行っています。
こころの健康管理の取組み
13. 長期休業者の職場復帰支援
こころの健康問題によって休業した社員の職場復帰支援の社内プログラムを2019年度に見直しました。休業中の定期的な産業医面談、生活記録表を用いた復職可否の判断、復職後6カ月間の業務計画づくりなどを取り入れ、社員が安心して治療に専念できる取組み、安心して復職できる取組み、復職後の再発を防止するための取組みを行っています。これらの取組みを通じて2020年度には再発による休業者の減少が見られています。また、オンライン会議システムを用いた産業医面談なども取り入れ、社員の健康相談や、休職者・復職者のサポートを行っています。
長引くコロナ禍の影響で2021年度はメンタルヘルス不調による休業者が増加しており、今後、メンタルヘルス不調の予防対策をさらに強化していく予定です。
メンタルヘルス不調による長期休業者の状況
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|---|
初回の休業者数 | 22 | 24 | 31 | 44 |
再休業者数 | 23 | 30 | 14 | 18 |
合計 | 45 | 54 | 45 | 62 |
※集計年度内に休業を開始した人数を集計。メンタルヘルス不調による長期休業がはじめての場合は「初回」、過去に長期休業歴がある場合は「再休業」と分類。
14. ストレスチェック・社員意識調査
毎年、社員意識調査・ストレスチェックの結果を職場ごとに分析・評価し、職場のマネジメント層と人事部等で、ストレスの少ない職場づくり、ハラスメントのない職場づくりに向けた対策の検討を行い、職場環境の改善に取り組んでいます。
ストレスチェック受検率、高ストレス者割合
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|---|
ストレスチェック受検率 | 90.5% | 84.1% | 85.9% | 96.9% |
高ストレス者割合 | 8% | 8% | 7% | 8% |
15. 管理職向け・社員向けのメンタルヘルス研修
メンタルヘルス教育として、年1回、管理職向けのeラーニング(全員)、オンライン研修(任意参加)、社員向けのオンライン研修(任意参加)を実施しています。管理職向けの研修では、部下の不調への気づきのポイントと、適切な社内窓口へのつなぎ方、ストレスの少ない活き活きとした職場を作るためのマネジメントの仕方などを扱っています。全社員を対象とした研修では、主にストレス対策や働きがいを高める工夫などを取り上げています。
その他の健康管理の取組み
16. 過重労働対策
社員一人ひとりの総労働時間の削減と適正な労働時間管理に取り組んでいます。2016年度には社長を本部長とする「働き方改革本部」を設置し、取組みを加速することで、1カ月の残業時間45時間を超える社員数が大きく減少しています。
17. 海外勤務者の健康管理
海外赴任中の社員と帯同家族に対して、海外赴任中も年に1度、健康診断を行っています。また、赴任者には定期的(赴任から3カ月後、以後6カ月ごと)に、産業心理職による電話相談を実施し、体調面・生活面・心理面のサポートを行っています。過重労働者への面接指導についても、国内と同様の基準で実施しています。
18. 新型コロナウイルス感染症対策
新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、アズビルでは事業の継続と社員の安全を第一に考え、これまで一部の社員に導入していた柔軟な勤務時間の制度と在宅勤務をほぼすべての社員に拡大し、積極的な利用を推奨しています。2020年4~6月にかけては、定期的に社員へのアンケート調査を行い、社員のストレスなどについてのモニタリングを実施しました。ワクチン接種についても、就業時間内の接種を認めるほか、接種当日~翌日の副反応による特別休暇(有給)の制度を設けました。