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ニューノーマルな働き方や業務の変革を支援する 現場でつくる作業記録サービス

キーワード:人の作業のデジタル化,クラウドサービス,サブスクリプション,マイクロサービス,ノーコード/ローコード開発,リモートワーク,ペーパーレス/ハンコレス

アズビルのクラウドによるソフトウェアアプリケーションサービスとして2020年7月に現場でつくる作業記録サービス(以下、本サービス)をリリースした。これは紙に手書きしていた記録業務をデジタルに置き換えるサービスである。様々な現場では人とモノが一緒に働いており、現場で起きていることを正しく把握するには「人とモノ」両方の情報が必要である。しかし、IoT化が進むモノと比べて、人の情報のデジタル化は遅れており、その情報を活用することが困難であった。本サービスはITスキルを問わず、作業を容易に編集・管理し、継続的な業務改善を支援するものであり、人の作業データを簡単にデジタル化し、他のコンピュータシステムデータやIoT機器データなどと組み合わせて扱えるようにするものである。本サービスはクラウドサービスとして迅速かつ継続的に新しい価値をお客さまに提供することを目指しており、本稿では、その開発コンセプトと技術要素、特長と機能および適用業務、そしてコロナ禍以降の新しい働き方への適用の可能性について報告する。

1.はじめに

2020年2月以降,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が急激に拡大した。このような状況下での事業継続のため,あらゆる企業で業務の進め方,働き方が急速に見直されてきた。

リモートワークもその1つだが,コロナ禍をDX実現の機会と捉えている企業も多くある。

DX(Digital Transformation)とは2004年にスウェーデンのウメオ大学教授のエリック・ストルターマン氏が提唱したとされる概念で「われわれ人間の生活に何らかの影響を与え,進化し続けるテクノロジーであり,その結果,人々の生活をよりよい方向に変化させる」と定義されている。つまり,ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でよい方向に変化させるという考え方だが,企業活動においては「デジタル技術を用いて自社を変革する」ことに尽きる。

すなわち,これまで言われてきたDigitization(デジタル化,例えば紙の帳票をExcelに変える,人の作業をRPA注1に変える)やDigitalization(デジタルによる最適化/生産性向上)のように,情報のデジタル化や作業の自動化を目的としたものではなく,新しい価値を創造するための取組みである。

IoT化が進むモノと比べて,人の情報のデジタル化は遅れており,その情報を活用することが困難であった。

本サービスは様々な現場に数多く残る,作業の結果を人が紙に記録するという業務,すなわち人の情報をデジタルに置き換えるサービスであり,本サービスで記録した人の作業データを他のコンピュータシステムデータやIoT機器データなどと組み合わせることで,現場の真の姿をデータで表し,業務に対する思い込みや勘・コツからの脱却を図る,正にDXを支援する基盤として,現場の方が身近な業務を見直せるような活用を想定したクラウド型のアプリケーションソフトウェアサービスである。

注1  RPA(Robotic Process Automation)とはソフトウェアロボットによる業務自動化のこと。主にデータの転記や集計などのパソコン上の定型作業に適用すると効果が高い。

2.開発コンセプト

(1) 品質不正問題への対応
本サービスの開発の発端は2017年~2018年にかけて数多く発覚した日本の製造業におけるデータ改ざんや無資格検査などの品質不正問題である。製造業における重要なこの問題に対し,検査などで不正を起こさせないように,人の作業の5W1Hを正しく記録できることを目指した。

(2) クラウドへのこだわり
アズビルは持続可能な社会の実現に向けて「,計測と制御」の技術・製品を基盤とした新しいソリューション/新オートメーション領域の商品開発を進めているが,クラウドサービスはその1つである。
企業におけるこれからのITシステムは,事業環境の変化に対する柔軟性が求められる。
柔軟性とは,必要なときにすぐに始められる手軽さや,ハードウェア資産を持たず,自社に運用者を要しないことであり,これはクラウドサービスの利点の一部である。クラウドサービスを利用することで,例えばDXで新たな取組みを始める場合でもシステム開発や体制構築にかかる時間とコスト,要員を大幅に削減でき,手軽に始めることができるようになる。
近年,基幹系やOA系システムではクラウド利用が急速に進んできたが,工場での生産/製造など,現場業務に関わるシステムについても近い将来はクラウドにシフトすると考えている。

図1 お客さまのニーズに応える2領域への注力


アズビルでは,クラウドネイティブなアプリケーションの開発/実行基盤を整え,ここで動作するアプリケーションを開発し,運用も含めて提供することを計画し実現に向けて進めてきた。

(3) 誰にでも扱えること
「人を中心としたオートメーション」を掲げ「,お客さまとともに,現場で価値を創る」アズビルならではのサービスとして, IT部門やITベンダーの力を借りず,現場の方々だけで作り上げていける仕組みを目指した。このため,プログラミングやデータベースの定義といった専門的なITスキルを必要としない,誰にでも扱えることをサービスのコンセプトとした。
2018年9月に経産省が発行した「DXレポート」の中でも日本企業のIT人材の少なさが述べられており,これに対する解の1つとしても有効であると考えている。

(4) 素早い開発と継続した改良
本サービスが提供するのは,これまでになかった新しい支援を行うアプリケーションである。様々な業種/業務に適用できることを目指しているが,適切な機能や使い勝手は実際に使いながら改善していくこととし,まずは速やかに形にして早く使える状態にする必要があった。
サービスを提供したらそれで終わりではなく,継続して改善リリースを積み重ねて育てていくことが重要である。

3.アーキテクチャと開発環境

ここでは,クラウドサービスの迅速な開発と継続した改良を実現するためのアーキテクチャと開発環境を紹介する。

3.1 アーキテクチャ

(1) マイクロサービス
クラウドネイティブな環境に適合したアーキテクチャとして,マイクロサービスアーキテクチャを採用している。マイクロサービスアーキテクチャは,2000年代前半から広まったサービス指向アーキテクチャ(SOA)をクラウド/ネットワーク/セキュリティ/コンテナ化といった現代の技術によって再構築したものといえるが,マイクロサービス化することは,これまで主流であった,すべての機能を1つのプロセスとして開発し, 稼働させるモノリシックなアプリケーションに比べて小さく独立した,お互いが疎結合なサービスを連携させて,1つのアプリケーションを構築していく構造を取りやすくする。
この構造で作られたアプリケーションをマイクロサービスアプリケーションと呼ぶ。

図2 アプリケーション構造の違い


マイクロサービスによるアプリケーション開発は,すべての要件や仕様が固まる前に,特定部分の小さなサービスから,設計/実装を行い,迅速にサービスをリリースすることを可能にする。その後のサービスの更新や追加を小さなサイクルで行うことも容易になる。
つまり,モノリシックアプリケーションでは長い時間をかけていた仕様作成からリリースまでの連続した開発プロセスを,マイクロサービスでは必要なサービス単位で並行して進められるということである。
アズビルではマイクロサービスによるクラウドアプリケーションの開発基盤と動作/運用基盤を開発した。基盤開発もアプリケーション開発と同様に継続した改良を続けており,開発からセキュリティ,運用に関わるすべての工程について,従来のやり方を見直し,いわゆるDevSecOps注2の実現を進めている。

(2) コンテナ
マイクロサービスの実装形態としてコンテナを採用した。コンテナの特長として

・ OSに依存しない
・ コンテナ間の独立性が高い
・ 起動が高速
・ バージョン管理機構が整っている
コンテナを利用したアプリケーションの特長として
・ 同一コンテナを複数起動できる(負荷分散)
・ 冗長化構成が可能
・ CPU,メモリの割当変更が容易
・ ストレージの割当変更が容易
・ ネットワーク設定(セキュリティ,ロードバランス)の自由度が高い
・ アプリケーションのスケーリングが可能
・ アプリケーションを無停止で更新できる
このようなものが挙げられるが,これらはクラウド上での動作を前提としたアプリケーションに適したものである。
これらの特長はアプリケーションを構成するマイクロサービスごとに独立した設計/実装を行うことも容易にしている。
コンテナ化されたマイクロサービスは,前述した動作/運用基盤上で各々が連携しながら動作し,高い可用性/機密性/完全性を実現している。

注2  ソフトウェア開発手法の1つ。開発(Development)担当と運用(Operation)担当が連携した開発手法であるDevOps(デブオプス)にセキュリティ(Security)担当を加えたもの。

3.2  開発環境

アプリケーション開発はフロントエンドアプリケーションと呼ばれる,UI(ユーザーインターフェース)により利用者が直接操作する部分の開発と,バックエンドアプリケーションと呼ばれる,WebAPIとして構成され,フロントエンドアプリケーションや他のサービスからの呼び出しにより,データベースアクセスや演算処理といったビジネスロジック(対象業務独自の処理)を実行する部分の開発に分けられる。

開発者が注力すべきはアプリケーション独自のUIでありビジネスロジックである。そのためにはデータベースアクセスや例外処理,ログ出力といった汎用処理や統一したUIデザインなどは,開発者が意識することなく実装できるようにしたい。そこで,独自に開発したテンプレートやライブラリ,ソースコードの自動生成などを開発環境に用意し,開発効率の向上と品質の均質化を図っている。共通した設計思想を開発者に示し,これを引き継ぐことを助けることにより,継続して改善リリースを積み重ねていく中で,担当者が代わっても品質低下を招くことなく開発を継続できると考えている。

図3 開発環境概略

本サービスはIoTのような「モノ」ではなく「人の作業」を対象としてデータ化するため,簡単で,迷わず,ストレスを感じずに操作できるようなユーザビリティが重要になる。たとえ高機能であっても,使いにくさや見た目などの印象の悪さを利用者に与えてしまうと,徐々に使われなくなったり,入力が適当になったりしてしまい,収集できるデータの質と量が低下し,結果としてデータを活用しなくなることに繋がる。

機能を実現するだけではなく,利用者に受け入れられて,使われ続けるアプリケーションでなくてはならない。テンプレートとライブラリを利用することで,統一したデザインのもと,機能と使いやすさを両立させたアプリケーションを実現した。

アプリケーションが増えることで得られるソフトウェア資産やノウハウを開発環境に反映させていくことで,開発効率やアプリケーション品質をさらに向上させていきたい。

4.サービス(商品)の特長

企業が導入するシステムの多くは自社のIT部門やITベンダーに依頼し開発しているであろう。このような場合,依頼先のスケジュールに少なからず影響を受けてしまう。また,将来を見据えたしっかりとしたものにしたいとの考えが強くなることもある。この場合にはプロジェクトを起こし,綿密な導入計画を立てることから始めることになり,システムに求める要求も増え,大規模/長期間の開発になることも多いだろう。

しかし自社/自部門を取巻く状況は社内外を問わず,絶えず変化するものであり,開発終了時には状況が変わり,稼働したシステムが使い物にならない,もしくは改修が必要だということにもなりかねない。

本サービスは後述する特長のとおり,誰でも簡単に人の作業を記録するシステムを構築できるため,身近な「やってみたい/見てみたい」ぐらいの小さな規模で始めることができ,自分たちで,自分たちのペースで,自分たちに合った形に変えていける。これはDXについても同様で,求められる大きな変革に対しても,小さく素早く進めていける,スモールスタートで始めるDXが状況変化の激しい今の時代にフィットする。本サービスはこのような目的達成に適した特長を持つものである。

4.1  誰でも使える

最も重要な特長が「誰でも使える」ことである。

記録するという業務だけでなく,記録システムの構築においても誰でも使えることを重視した。

(1) プログラミング不要
QRコード/バーコード読取り,端末のカメラで撮影した写真の記録など,モバイルならではの入力フォーマットを活用した記録部品をドラッグアンドドロップと文字入力で組み合わせるだけで記録システム(画面)をすぐに作成できる。

(2) 現場での使いやすさ
アズビルは,長年,数多くの現場でお客さまと接してきたが,この現場ノウハウを使いやすさに活かしている。
例えば,記録作業の画面をタブレットやスマートフォンでの利用を前提として開発したが,これは作業場所や作業者の状態を考慮した結果である。つまり,製造記録や製品検査のような製造ラインでも設置が容易なことや,巡回点検などの移動しながらの仕事でも軽く, 操作性がよく,作業者の負担にならないことを条件としている。操作画面は,初めてでも迷わず使えることや,現場作業をしながらでも間違えずに操作できるなど,直観的でわかりやすいUIを目指した。

4.2  インストール不要

WEBブラウザで動作するため,端末にはWEBブラウザ以外のプログラムをインストールする必要はない。このことはWindowsやiOS,AndroidプラットフォームといったOS(オペレーティングシステム)に依存せずに端末を選べることを意味する。必要なWEBブラウザはOSにより異なるが,WindowsとAndroidプラットフォームはChromeブラウザ,iOSはSafariブラウザを対象としている。

4.3  「クラウド」&「サブスク」

本サービスはクラウドサービスであり,利用者ごとの月額課金であるサブスクリプションサービスとして提供している。

1名でも利用でき,利用者の増減も可能なため,組織や業務の体制に合わせて柔軟に利用できる。

(1) 初期導入費無料
クラウドサービスのため,専用サーバーの購入,そのための設置場所の確保や運用要員を確保する必要がない。端末を用意する必要があるが,既存の端末を流用できる場合には,初期導入費用は不要である。

(2) 安全/安心なサービス運用
アズビル社内に開設したクラウド運用センター注3が本サービスを運用している。同センターは国際規格「ISO27001」に基づくISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証および国際規格「ISO27017」に基づくISMSクラウドセキュリティ認証を取得しており,お客さまには安全なサービスを安心してお使いいただくことができる。

注3 詳しくはTechnical Review 2021年5月発行号「安全・安心なサービスを提供するアズビルのクラウド運用基盤」をご覧ください。

5.機能紹介

本サービスは「人」のサービスを記録することを主な役割としているが,継続的な業務改善と作業結果の管理・活用を容易にする,そのために必要な以下の機能を有している。

・記録作業の定義
・記録作業の実施と結果の記録
・記録作業の中断と再開
・記録データの確認と編集
・記録データの出力
・ユーザー管理と作業グループ管理

5.1  記録作業の定義

作業者が行う記録手順を定め,保存したものを「定義」と呼び,「定義」は複数の「記録項目」を組み合わせて作成する。

「記録項目」は作業者が記録作業を行うときの最小入力単位であり,記録画面1ページに表示するものである。

図4 定義画面

定義の作成にはプログラミングやデータベースの知識は不要である。定義に必要な要素部品(記録項目)が用意されており,マウスによるドラッグ&ドロップとキーボードによる文字入力といった簡単な操作だけで画面をすぐに作ることができる。

5.2  記録作業の実施と結果の記録

前述のとおり,記録作業は現場で行うことを前提としスマートフォンやタブレットでの操作を前提としている(PCでの操作も可)。

図5 タブレット,スマートフォンの記録画面

ページをめくる感覚で,作業項目ごとにタッチ操作で結果を記録。すべての項目を記録し終えたらクラウドに登録。記録作業中のデータは端末に保持しており,ネットワークを使えない状況でも記録作業を行える(クラウドへの登録はネットワークを使える場所で行う必要あり)。

5.3  作業の中断・再開

記録作業を中断し,中断した記録作業をいつでも再開できる。ある記録作業を実施中に別の記録作業を実施し,その後,元の作業を実施するようなことや,記録作業を中断し,そこから別の人が別の端末で作業を再開する(引き継ぐ)ことができる。

図6 作業の中断画面と再開画面

5.4  記録データの確認・編集

登録済みの記録データを確認し,編集することができる。編集結果を登録すると,編集したデータだけでなく編集者,編集日時も記録され,編集前のデータとともに履歴管理される。

図7 記録データの一覧(登録日時と改番)

5.5  記録データの出力

日付または期間と定義を選択すると,選択条件を満たす記録データをCSVファイルに出力する。市販の表計算ソフトやBIツールに取り込むことで,帳票の作成や,可視化し分析することが可能となる。CSVファイルに出力するデータは,作業記録画面で入力したデータだけでなく,入力者,入力日時も含まれる。このほか,入力場所としてGPSによる緯度・経度注4も含まれる。

注4  端末のWEBブラウザ設定でGPSデータの取得を許可している場合に限る。

5.6  ユーザー管理と作業グループ管理

5.6.1 ユーザー管理

本サービスを利用するユーザーの登録や削除といったユーザー管理も,本サービスの管理者権限を持つユーザー自身が本サービス上で簡単に行える。

図8 ユーザー管理画面

5.6.2 作業グループ管理

本サービスの利用が進み,定義が増えてくると,目的や業務,組織などで分類や管理が必要になってくる。管理者権限を持つユーザーが作業グループを作り,グループごとにユーザー・定義を振り分けることで,各ユーザーには自身が属する1つまたは複数の作業グループの定義のみが表示されるようになるため,定義の管理が容易になる。

図9 作業グループ管理画面とグループ運用画面

ここまで,本サービスの機能を紹介したが,紙面上では実際の動きや使い勝手までをご理解いただくことは難しい。具体的なイメージは本サービスを紹介しているWEBサイト(https://www.azbil.com/jp/rcd/)や,同WEBサイトでご案内している2カ月の無料トライアルで実感していただきたい。

6.アズビルでの業務利用事例

これまでのアズビルのイメージや現場でつくる作業記録サービスという商品名から,製造業のお客さまが多いが,この他にも建設業,メンテナンス業,介護サービス業などからのお問い合わせもいただいている。当社では製造,サービス,営業など複数の部門で利用されている。

湘南工場では流量計製造ラインの製品検査工程に本サービスを導入しているが,ペーパーレスだけでなく,記録データを活用した品質の可視化や工程の最適化に効果を上げている。例えば,市販のBIツールと組み合わせることにより,月40時間ほどを要していた品質レポートの作成時間をほぼゼロにできたこと,品質不良の発生数と時間帯の関係や作業者ごとの品質の傾向といった,検査記録を紙で運用していたときには見えなかった「現場の真の姿」が見えるようになった,というような効果が現れてきた。このような効果が品質会議などで共有され,複数の製品製造ラインへの展開が進んでいる。

7.ニューノーマルな働き方への貢献

COVID-19が日本国内で確認されて1年数カ月が経つが,この感染症拡大により私たちの生活は大きく変わらざるを得なくなったことは周知のとおりである。感染拡大を防ぐために出社を控えたくても,どうしても出社を要する業務に就いている方も多いのが現実であろう。現場の作業は出社しないとできないが,作業の計画や指示,作業結果の確認や承認,このような業務は出社しなくてもよいケースも多いだろう。お互いの接触の機会を減らす工夫もしなくてはならない。そういった業務に対して,本サービスは非常に有効だと考える。

クラウドサービスの利用はサーバーメンテナンスのための出社を不要とし,インストール不要のWEBアプリケーションは,どこでも/どんな端末でも作業できる。手書きによる記録業務をデジタルに置き換えることで,手書きした紙のやり取りやファイリングによる接触がなく,記録結果を共有することができる。

本サービスは様々な現場における記録業務をデジタルに置き換えるサービスであり,適用先は,製造現場の検査記録業務や設備の点検記録業務に限らない。例えば我々の部署では,コロナ禍での在宅勤務率の登録/確認や止むを得ない外出の際の体温や外出先,経路などの記録にも活用している。社内利用を通じて,より多くの新しい働き方への適用を見つけていきたい。

8.今後の展開

記録に特化している本サービスがカバーしていない記録作業の計画や指示,記録結果の承認といった関連業務の領域をカバーする「計画管理サービス」を開発中である(執筆時点)。このサービスにより,どこにいても作業の計画,作業進捗の確認,作業結果の承認を行えるようになるため,より進んだペーパーレスやハンコレスを実現できるだろう。このほかにも,周辺業務や関連業務のサービスを拡充していく計画なので,ご期待いただきたい。

9.おわりに

本サービスを企画当初と比べると,企業におけるクラウドサービス利用の高まりもあり,私たちのサービスをクラウドでご提供することへの肯定的な意見が増えてきたと感じている。

コロナ禍により,新しい働き方やDXの取組みへの動きが急加速し,人の作業や紙の記録をデジタル化する本サービスへの注目や期待も高まっている。

現場でつくる作業記録サービスは成長するサービスであり,クラウドならではの特長を活かし,迅速に,きめ細かく改良を続け,お客さまのニーズに対応していきたい。

<商標>

Windowsは,米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
iOSはApple Inc.のOS名称です。
Androidは,Google LCCの商標です。
ChromeはGoogle LCCの商標です。
Safariは,Apple Inc.の商標です。

<著者所属>
鈴木 丈樹 アズビル株式会社 ITソリューション推進部
岸  勝 アズビル株式会社 IT開発本部 IT開発1部
奥山 剛 アズビル株式会社 IT開発本部 IT開発1部
尾形 知美 アズビル株式会社 IT開発本部 IT開発1部

この記事は、技術報告書「azbil Technical Review」の2021年05月に掲載されたものです。