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空間の価値を高めるsavic-net™ G5 入退室管理システム

1.はじめに

アズビルは様々な建物にビルディングオートメーション(以下,BA)システムを提供するとともに,ビルセキュリティ事業に取り組み,入退室管理システムも提供している。

このたび,建物の省エネルギー・省CO2を実現するオープンなBAシステムであるsavic-net G5 に入退室管理機能を融合する開発を行い,販売開始した。savic-net G5入退室管理システム(以下,G5入退室管理システム)は入退室管理の機能を強化するとともに,人の情報を自動制御に活用して空間の価値を高めることを目指す。

2.製品のビジョン

G5入退室管理システムは,「人とつながるBAシステム」ならびに「利用者・管理者双方の要望に柔軟に対応する入退室管理」をビジョンに掲げている。

「人とつながる」とは,人の情報を中心としたサービスにより,省力・省エネルギーに貢献するとともに,利用者1人ひとりの快適性向上や安全確保を支援することである。

人流や人の位置情報を活用し,設備を最適運転することで管理者の負担低減と省エネルギーに貢献するほか,位置情報を可視化して混雑緩和や災害時対応を支援する。また利用者の好みに応じた空気環境を提供できるようにし,快適性を向上するシステムを目指している。

3.製品概要

このたび,ビジョンを達成するための足掛かりとして,入退室管理機能をsavic-net G5に融合する開発を行った。

3.1 システム構成

図1 G5入退室管理システムのシステム構成

G5入退室管理システムは,入退室管理機能を融合した統合コントローラと,電気錠を制御する入退室コントローラ,およびカードリーダ等の入退室認証装置で構成される。入退室コントローラおよび入退室認証装置としてsavic-net FX™セキュリティシステム(以下,FXセキュリティシステム)の製品を接続し,統合コントローラは同時開発したゲートウェイデバイスを介して入退室コントローラを監視,制御する。

FXセキュリティシステムでは自動制御と入退室管理を別々の機器が担っており,相互に連携した制御は限定的であった。G5入退室管理システムでは統合コントローラが両機能を併せ持つことで機能の融合が果たされ,連携した制御を実現しやすくなった。また入退室管理専用のPCと無停電電源装置を設置する必要があったFXセキュリティシステムに比べて,制御盤内の機器を削減できる。

3.2 機能

G5入退室管理システムの主な機能について紹介する。

3.2.1 入退室ユーザ管理

入退室する人の情報を登録し,入退室コントローラに情報を展開して入退室を制御する機能である。登録できる人の件数をFXセキュリティシステムの10万件から12万件に拡張した。登録した人の情報を一覧表示することができ,抽出機能を用いて一部の人だけを表示することもできる。ファイル入出力によって大量の情報を一括登録する機能を持ち,登録作業の負荷を軽減できる。

3.2.2 ルーム管理機能

入退室制御の対象とする部屋の情報を登録する機能である。部屋の情報を一覧表示し,抽出機能を用いて一部の部屋だけを表示することもできる。入退室ユーザ管理機能と組み合わせることで,個人を特定して入退室を制御できる。また,個人を特定せずに,部屋ごとの暗証番号のみによって入退室を制御することもできる。

3.2.3 入退室ログ管理機能

入退室の履歴を保管し,閲覧やファイル出力できる機能である。毎日の決まった時刻に,ファイル出力を自動で行うこともできる。設備の状態変化履歴と入退室の履歴をまとめて表示し,時系列に沿って確認することができる。抽出機能を用いて入退室の履歴のみを表示することもできる。

3.2.4 在室者管理機能

特定の部屋に在室している人の情報や,在室人数を表示できる機能である。退室操作を忘れて退勤してしまった人について,FXセキュリティシステムでは画面操作により退室扱いとすることができたが,G5入退室管理システムでは画面操作に加えて,所定の時刻に自動で退室扱いにすることもできる。

G5入退室管理システムでは,在室人数の情報をグラフィック画面に表示して監視することができる。在室人数の推移をグラフに表示したり,最大・最小・平均値を集計してレポート出力することもできる。また,在室人数を制御の入力値として利用し,人数に応じて設備の運転を切り替えることが可能となった。

図2 在室人数の画面表示・レポート出力例

3.2.5 アンチパスバック制御

定められた正しい経路で入退室を行わない場合に,入退室を禁止する機能である。経路を誤ったことは画面上に警報として通知できるほか,savic-net G5のオプション機能である警報Eメール機能を利用して外部に送信することもできる。

4.おわりに

今回開発したsavic-net G5入退室管理システムについて,機能を中心に紹介した。今後は機能を順次拡充し,自動制御と入退室制御の融合で新たな価値を創出していく所存である。

<商標>
savic-net,savic-net FXはアズビル株式会社の商標です。
ETHERNETは富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の日本または他の国における商標です。

<著者所属>
岡田 慧 アズビル株式会社 ビルシステムカンパニー開発本部開発3部

この記事は、技術報告書「azbil Technical Review」の2024年04月に掲載されたものです。