HOME > アズビルについて > 会社PR > 会社紹介資料 > azbil Technical Review > 2026年発行号 > バルブ・アクチュエータの進化と今後

バルブ・アクチュエータの進化と今後

キーワード:調節弁(バルブ),耐キャビテーション技術,低騒音化技術,流量計測制御機能,グローバル展開

アズビルは1936年に国産初の調節弁製造を開始し,独自の耐キャビテーション技術や低騒音化,流量計測技術などを開発し,流量計測制御機能付きアクティバル™シリーズや工業用調節弁6000シリーズなどの高性能製品を展開してきた。また,国際標準対応の試験設備を新設することによりグローバル市場や新市場への対応の強化を図っている。今後は省エネルギー,信頼性,長寿命化,社会的要請への対応をさらに進め,持続可能な社会の実現に貢献していく。

1.はじめに

近年,産業プラントや建物空調における省エネルギー化,快適性・安全性の向上,さらには環境負荷低減への要求が高まっている。こうした社会的要請に応えるため,空調・プロセス制御分野では流体制御の中核を担う調節弁の役割が一層重要となっている。調節弁は冷温水や蒸気,各種流体の流量や圧力を精密に制御することで,空調機器や生産設備の安定運転と高効率化を支えている。

アズビル株式会社(以下,弊社)は,長年にわたり建物空調や産業用途向けに多様な調節弁を開発・提供してきた。特に,電動操作器一体型のロータリー形調節弁や流量計測制御機能,耐キャビテーション・低騒音化技術を搭載した調節弁は,国内外の多くの現場での顧客価値を実現している。

本稿では,調節弁の歴史的な発展と技術革新の流れを概観し,弊社が取り組んできた耐キャビテーション技術や低騒音化技術,流量計測制御機能付きバルブの開発,メンテナンス性向上のための設計・運用手法,今後の展開について紹介する。

2.バルブ(調節弁)の歴史

弊社(旧・山武商会)は米ハネウェル社との提携以前から工業用調節弁を手掛けており,提携後も日本側独自に開発を進めてきた。1964年に世界初のケージ形調節弁,その後Vシリーズ,CV3000シリーズ,アルファプラスシリーズを開発・販売した(図1)。さらなる海外市場の販売強化のため,2025年10月より前述の3シリーズを統合した調節弁6000シリーズの販売を開始した。

建物空調用調節弁としては,1967年にV506xシリーズを開発し,1992年にはアクティバル™シリーズを開発,2007年には流量計測機能及び流量制御機能を調節弁に一体化したアクティバル™を開発した。

これらの製品開発を確実に実施するため2007年には建物空調用の流量試験設備を構築し,2008年には流量騒音試験設備を増設した。さらに2014年に流体の温度制御機能を追加したことで建物空調向けの温度範囲を全てカバーできる試験設備となった。

2022年には世界市場における競争力強化を目指し,アズビル京都株式会社内に産業用の調節弁流量試験設備を建設し,国際規格準拠の高差圧領域での性能試験も可能となった。

2.1 工業用調節弁の歴史

弊社は1936年に我が国で初めて調節弁の製造を開始した。当時,計器の調節弁のほとんどが輸入品であり,当該調節弁も輸入品を参考に設計した。1952年に米ハネウェル社と技術援助契約を締結し,1953年に米ハネウェル社からの資本参加を得て合弁企業(旧・山武ハネウエル)となったが,調節弁事業は日本側が主導した。1959年に調節弁事業部が発足し,独自設計による製品系列が完成した。

1964年には米ハネウェル社のアイデアをヒントに,従来の「トップアンドボトムガイド形」とは異なるケージ形調節弁を世界で初めて製品化し,1965年にはVシリーズを製品化した。1973年には調節弁の専門工場として寒川工場(現・湘南工場)を竣工し,1985年にCV3000シリーズ,1995年にアルファプラスシリーズを製品化した。1994年には中国大連市に大連山武機器有限公司(現・アズビル機器(大連)有限公司)を設立し,調節弁の加工組立を開始した。

2000年代以降は製品の追加・改良などシリーズ製品の補強を行い,2013年にはアズビルサウジアラビア有限会社を設立し,調節弁の製造・販売・輸出を開始した。2017年には従来の3シリーズ製品の統合を目指してリニューアル開発に着手し,2025年に販売を開始した。

図1 工業用調節弁

図1 工業用調節弁

2.2 建物空調用調節弁の歴史

1967年に建物空調用調節弁V506xシリーズを開発し,ハネウェル社アクチュエータを国産化したモジュトロールモータを搭載した。1992年には電動回転弁であるアクティバル™シリーズを開発した。1994年には中国大連市に大連山武機器有限公司を設立し,調節弁の加工組立を開始した。2002年以降はアクティバル™スプリングリターン,小型アクティバル™,高差圧対応などシリーズ強化の開発を行い,建物空調用回転弁の品揃えを拡大した。2004年にはV506xシリーズ用アクチュエータとして長年使用したモジュトロールモータの置き換えとなる電動操作器MY3000・ECM3000を開発した。2007年にはインテリジェントコンポをテーマに流量計測機能及び流量制御機能を調節弁に一体化した流量計測制御機能付アクティバル™を開発した。

また弊社は室内空気環境の厳密なコントロールが求められる病院や製薬工場,化学薬品などを扱う研究施設などにおいて活用されているヒュームフード注1に着目し,1998年に風量・室圧制御用ベンチュリーバルブの国内独占販売を開始した。

2009年にはsavic-net FX™に接続して運用情報を収集することができるコントローラと,ベンチュリーバルブを組み合わせた一体型の製品として風量制御コントローラ付きベンチュリーバルブ Infilex™ VNの開発・販売を開始した。また2021年には建物内の狭小空間や中小規模施設における高精度な気流制御を目的とした小口径型ベンチュリーバルブの開発・販売を開始した。(1)

図2 建物空調用調節弁

図2 建物空調用調節弁

注1 ヒュームフードとは,化学実験などで有害な気体が発生するときや,揮発性の有害物質を取り扱うときなどに作業者の安全を確保するために用いられる箱型の局所排気装置。

3.技術開発

弊社では,新製品開発を進める際,顧客価値向上を目指して製品仕様を定め,必要な要素技術を開発し,製品に適用することに努めている。これまでに確立した要素技術として,工業用調節弁の耐キャビテーション技術や,空調用制御弁の静音化技術など特徴ある技術を保有しており,その内容を紹介する。

3.1 耐キャビテーション技術

調節弁は産業用プラントや建物空調など,さまざまな用途で使用されている。特に高圧・高温・多相流体といった過酷な条件下ではキャビテーション現象が大きな課題となる。キャビテーションは,弁内部の圧力が流体の飽和蒸気圧を下回ることで気泡が発生し,その崩壊時に発生する衝撃により,弁のトリム部や本体に壊食(エロージョン)を引き起こす。この現象は,弁の「締切機能」や「制御機能」の低下,さらには圧力容器としての機能喪失にもつながるため,耐キャビテーション技術の開発は極めて重要である。

弊社では,キャビテーション壊食の実態把握のため,透明アクリル製の弁室を用いた可視化実験や,20MPa級の高圧水流による壊食試験を実施し,キャビテーション発生パターンや壊食進展のメカニズムを詳細に解析(2)している。これらの研究から,キャビテーションの発生位置や進展速度は弁形式や開度,流体条件,材料特性など多くの因子に依存することが明らかになった。

耐キャビテーション弁の設計においては,多段減圧構造や多孔ケージの採用,トリム部への高硬度材料の適用が有効であることが実証されている。例えば,多段減圧構造や多孔ケージの形状によって,圧力を段階的に低減させることでキャビテーションの発生を抑制し,壊食や騒音の低減,長寿命化を実現している。 

また,材料面では,SUS440Cやコバルトクロム合金,セラミックスなどの高硬度材料をトリム部に適用することで,壊食耐性を大幅に向上させている。(3)

さらに,キャビテーション診断技術の開発も進めている。例えば,空調用調節弁においては,弁の縮流部前後の圧力比と騒音レベルの関係を利用し,キャビテーションの発生状態をリアルタイムで診断する技術を開発している。圧力比テーブル方式や騒音の周波数分析(1/3オクターブバンド分析)を組み合わせることで,設置条件の影響を受けにくく,精度の高いキャビテーション診断が可能となっている。(4)

図3 キャビテーションエロージョンによる調節弁の損傷事例

図3 キャビテーションエロージョンによる調節弁の損傷事例

図4 圧力比\(X_F\)と騒音レベルの関係

図4 圧力比\(X_F\)と騒音レベルの関係

3.2 低騒音化技術

調節弁の騒音は,キャビテーションや乱流,ジェット流の発生など,弁内部の流体挙動に起因する。特に建物空調用途では,調節弁がホテル客室や病院など居住空間近くに設置されるため,低騒音化が強く求められる。これまでファンコイルで使用されてきたグローブ型調節弁は,中間~低開度でキャビテーションが発生しにくく,騒音レベルも低いという特徴があるが,異物噛み込みによる固着や設置スペースの問題が生じた。一方,回転弁(ボール弁)は小型化や操作性,耐異物性に優れるものの,構造上キャビテーションが発生しやすく,騒音レベルが高いという課題があった。

弊社では,数値流体力学(CFD)を活用し,圧力分布や乱流エネルギー分布,Powellの音源項などを解析することで,騒音発生メカニズムを可視化し,設計段階での騒音予測手法を確立した。これにより,キャビテーションや乱流騒音の発生領域を特定し,構造最適化による騒音低減設計が可能となった。(5)

具体的な低騒音化技術の一番目としてボール内部にくし歯状の流路を設ける構造とした。これによりジェット流を微細化し,乱流エネルギーの高い領域を縮小する。この結果,実使用圧力範囲内でグローブ型調節弁と同等以下の騒音レベルを達成している(特許出願済)。

図5 一般的なボール弁の構造とくし歯ボールの構造

図5 一般的なボール弁の構造とくし歯ボールの構造

図6 実流量試験による検討結果

図6 実流量試験による検討結果

φ=25%おけるΔP-LPAの騒音特性<br>図7 騒音試験結果

φ=25%おけるΔP-LPAの騒音特性
図7 騒音試験結果

また,図8に示すように一般ボールの場合は流体の絞りが1次側・2次側にあり流線が曲がっているため,一次側の絞りにてキャビテーションが発生するとボール壁面への気泡の衝突および気泡同士の衝突による騒音が発生する。これに対し,具体的な低騒音化技術の二番目として,ボール内部に副流路を持つ構造とした。これにより,流体の絞りが2次側のみで流線もほぼ直線的となるため,流体の衝突が発生しにくくなる。このような効果により騒音低減を実現することができる。

アクチュエータの低騒音化ではギヤの材質や構造の最適化,制振効果のあるプラスチックカバーの採用,ワンウェイクラッチの組み込みなどにより,駆動音や伝達音の低減を図っている。これらの技術により,弊社の調節弁は,キャビテーションや乱流騒音の発生を抑えつつ,設置環境や用途に応じた最適な騒音性能を実現している。(6)

図8 副流路付きボール弁

図8 副流路付きボール弁

4.製品の紹介

製品開発を行う際は,3章で紹介した要素技術などを活用し,顧客への提供価値を日々高めることに努めている。顧客価値を明確にするため,市場調査を行い,機能思考(VE)をとることでオンリーワンとなる製品開発を目指している。

4.1 工業用調節弁6000シリーズ

石油精製・化学品製造市場向けの基幹製品として,国際規格IEC60534注2に準拠した調節弁「調節弁6000シリーズ」は,CFD解析を活用した最適な設計により,制御性能を大幅に向上させるとともに,設備コスト削減,省スペース化,メンテナンス性向上など,プラントのライフサイクル全体での生産性向上に貢献する。

調節弁は生産プロセスでの流体制御を担う重要な機器である。特に石油・石油化学などのプロセスオートメーション領域で使用される調節弁には高い制御性能と長期安定性が求められる。加えて,グローバル市場における競争力を高めるためには,国際標準への適合も不可欠である。さらに,お客様の生産現場では働き方改革や労働人口構造の変化に対応するため,調節弁のような生産設備においても,プラントのライフサイクル全体を通じて生産性向上に貢献することが期待されている。こうした市場のニーズに応えるべく,「調節弁6000シリーズ」が開発された。主な特長として,CFD解析による精密なシミュレーションを用いて内部構造の設計を行ったことが挙げられる。さらに国際規格に準拠した流量試験設備による実測評価を実施し,その結果としてバルブ性能を表す代表指標の定格\(C_V\)値注3は弊社単座弁比129%,弊社ケージ形調節弁比125%の向上を実現したことを確認した。

従来製品と比較して最大で高さ約40%の小型化を実現しながら,同等以上の性能を保持している。一台で幅広い流量を安定して制御でき,設備コストの削減と省スペース化を同時に実現している。小型でも高い締切性能を発揮し,空気消費量の低減や作業性の向上など,現場での運用効率が大きく改善できる。

特殊工具が不要な構造や部品の共通化をはじめ,メンテナンス性に配慮した設計により,保守作業の効率化と部品管理の簡素化を実現した。お客様の作業負荷軽減と長期的な運用コスト低減に貢献する。

図9 調節弁6000シリーズのCFD解析結果

図9 調節弁6000シリーズのCFD解析結果

注2  IEC60534(工業プロセス調節弁の国際規格)

注3  流体の流れやすさを示す容量係数のこと。

4.2 流量計測制御機能付バルブFVY51シリーズ

近年,建物空調においては,エネルギー管理や省エネルギーの推進が強く求められており,空調機ごとの熱量計測や流量制御の重要性が増している。弊社では,こうしたニーズに応えるため,流量計測および制御機能を備えた電動二方弁アクティバル™シリーズを開発・展開している。(7)

このバルブは,従来の開度制御ではなく,バルブ自身が計測した流量を用いて流量制御を行うことができるため,空調機への過流量を抑制し,熱源やポンプの搬送動力を削減することが可能である。また,配管内の圧力変動があっても,常に最適な流量を維持できるため,室内の快適性向上にも寄与する。

流量計測には差圧式を採用し,バルブ内部の絞り部前後の差圧と,開度ごとに実験から求めた\(C_V\)値テーブルを用いて,リアルタイムで流量を演算する。大口径モデルでは,プラグとステムの締結部構造やシャフトのねじれ補正アルゴリズムなど,計測精度向上のための独自技術も開発している。これにより,±5%RD(最大設定流量の10~100%範囲)という高い流量計測精度を実現している。(8)

さらに,圧力センサや温度センサを一体化し,バルブ単体でエネルギー管理が可能となる省スペース・省施工設計も特徴である。これらの技術は,国内外の建物空調用冷温水制御に多数採用され,省エネルギーや快適性向上に大きく貢献している。

流量制御機能付バルブでは,自己診断機能や機器データの蓄積・活用による劣化予知やフォルト検知も進んでおり,現場保全作業の効率化や異常状態の早期発見・回避が可能となる。これらの技術は,今後のバルブメンテナンスの高度化・最適化に大きく寄与する。

図10 流量制御機能付きバルブの製品校正

図10 流量制御機能付きバルブの製品校正

5. 京都試験設備

世界市場における競争力強化を目指し,アズビル京都株式会社内に調節弁流量試験設備を整備した。

5.1 設備の目的と概要

石油や石油化学などのプロセスオートメーション領域で使われている調節弁には,高い制御性能が求められる。こうしたニーズに対応し,さらなるグローバル市場の要求に適合した製品の研究・開発には,新たに設計した製品の特性を正確に検証・評価する必要がある。

そのため,流量計測機器の中核工場であるアズビル京都に調節弁の特性データの計測を効率的に実施できる試験設備を新設した。この試験設備では,国際標準に適合する試験(水ならびに空気)が実施可能である。既存の流量試験設備と合わせて,国内市場のみならずグローバル市場の要求にも対応できるようになった。

また新設した設備は,IECなどによる国際規格に準拠する評価試験手順が制御ロジックとして組み込まれており,弊社の協調オートメーションシステムHarmonas-DEO™による自動運転・自動計測を行うことができる。

5.2 設備の特徴

水用流量試験設備は,容量300トン規模の地下水槽を有し,口径に合わせた配管を使用して最大圧力3.25MPaで試験が可能である。

空気用流量試験設備は,10m³タンクを6基有し,最大圧力3MPaで試験ができ,また無響室内でバルブの騒音特性の計測も可能である。

国内では類例のない大流量対応の設備であり,試験プロセスの自動化による人的ミス防止のほか,遠隔地からの試験実施に向けた可能性も広がってくるものと期待している。

図11 調節弁の試験設備

図11 調節弁の試験設備

5.3 グローバル市場への対応

国際規格に準拠した試験により,グローバル市場で広く利用されるバルブ選定ツールにも実測による数値の開示が可能となり弊社のバルブの登録可能な環境が整った。またこの設備は,新規バルブ製品の開発や技術研究の検証にも活用され,より高度な価値を提供している。この設備の導入により,弊社は国内外の顧客ニーズに応える製品開発力と技術力をさらに強化し,グローバル市場での競争優位性を高めることが期待できる。

6.今後の取り組み

近年,社会全体で安全性・快適性・省エネルギー・環境負荷低減への要求が一層高まっており,調節弁をはじめとする流体制御機器にも,より高度な機能と信頼性が求められている。弊社では,これまでに培った耐キャビテーション技術,低騒音化技術,流量計測制御技術,メンテナンス性向上技術などを基盤としつつ,今後の製品開発・事業展開に向けて以下のような取り組みを進めている。

6.1 騒音・キャビテーション・摩食への技術対応

居住空間や静粛性が求められる用途では,騒音・キャビテーション・摩食対策が不可欠である。CFD解析や実験データに基づく騒音低減設計,耐キャビテーション構造・材料の開発,摩食耐性向上のための新素材・表面処理技術の導入など,引き続き基礎研究と応用開発を推進する。また,キャビテーション診断技術や流量・騒音の可視化技術の実用化を進め,現場でのトラブル未然防止や保全性向上に貢献していく。

6.2 省エネルギー・エネルギーマネジメント,スマート化への貢献

空調システムの省エネルギー化は,地球温暖化対策の観点からも重要なテーマである。流量計測制御機能付バルブは,流量制御による過流量抑制やエネルギー管理の高度化に大きく寄与しており,今後も計測精度のさらなる向上,IoT・BEMSとの連携強化などを図っていく。これにより,建物・工場などの多様な用途でエネルギー最適化を支援し,カーボンニュートラル社会の実現に貢献する。

さらに今後は,センサ・アクチュエータのインテリジェント化やデジタル通信,データ収集・解析機能の強化を通じて,設備全体の自動化・最適化を支援する。IoT・BEMS連携だけでなく,機器データの蓄積・活用による劣化予知・フォルト検知,遠隔監視・制御など,スマートビルディング・スマートファクトリー時代にふさわしい製品・サービスを展開していく。(9)

6.3 高度化する社会的要請への対応

感染症対策や省エネルギー推進,カーボンニュートラル社会の実現など,社会的な要請は年々多様化・高度化している。例えば,病院や研究施設では,室圧・気流制御による安全・安心な空間の提供が強く求められており,小口径型ベンチュリーバルブなど新たな製品開発によって,従来適用が難しかった狭小空間や中小規模施設にも高精度な空調制御ソリューションを展開している。今後も,現場のニーズに即した製品ラインナップの拡充と,現場施工・運用の負担軽減に資する設計・サービスの強化を進める。

6.4 グローバル展開と新市場への挑戦

海外市場では,工業市場向けバルブにおける現地規格対応製品の開発・投入を進めている。今後も,各地域の法規制・市場ニーズに応じた製品開発と,現地サポート体制の強化を図り,グローバルに事業を拡大していく。

また,既存のバルブ市場に留まらず,新たな市場への挑戦を重要な戦略として位置付けている。その一環として,事業拡大や新規事業の立ち上げを目指し,ターゲット市場の検討や関連技術・製品の動向調査を段階的に進めてきた。対象市場にて必須となる新たな技術獲得を進め,新たな市場への参入を積極的に進めていく。

今後も弊社は,「人を中心としたオートメーション」の理念のもと,社会課題の解決と持続可能な社会の実現に向けて,技術革新と製品・サービスの高度化に取り組む。

<参考文献>

(1) 本間康正,神出智之,井坂威人,Withコロナ時代にも「安全と安心」を提供する小口径型(150A)定風量ベンチュリーバルブの開発,azbil Technical Review, 2021年, Vol.62, pp.8-13, アズビル株式会社

(2) 奥津良之,調節弁における耐キャビテーション技術の現状,azbil Technical Review, 1998年, Vol.39, pp.52-59, アズビル株式会社

(3) 篠崎隆司,奥津良之,高速流れ摩食環境における調節弁の使用事例~損傷解析と考察~,azbil Technical Review, 1999年, Vol.40, pp.40-49, アズビル株式会社

(4) 木下良介,角田真一,建物空調用調節弁のキャビテーション診断技術の開発, azbil Technical Review, 2013年, Vol.54, pp.54-59, アズビル株式会社

(5) 野間口謙雄,ファンコイルユニット用調節弁の騒音性能の予測, azbil Technical Review, 2005年, Vol.46, pp.70-75, アズビル株式会社

(6) 川端浩史,渡邉清彦,ファンコイル用電動ボールバルブの開発,azbil Technical Review, 1998年, Vol.39, pp.36-43, アズビル株式会社

(7) 古谷元洋,大谷秀雄,流量計測・制御機能付きバルブの開発,azbil Technical Review, 2009年, Vol.50, pp.42-49, アズビル株式会社

(8) 新谷知紀,松村剛宏,野間口謙雄,大口径流量計測制御機能付きバルブの流量計測精度向上技術,azbil Technical Review, 2019年, Vol.60, pp.32-37, アズビル株式会社

(9) 沖田孝雄,久保田秀雄,関根秀太,現場保全作業を効率化するセンサ/アクチュエータの開発,azbil Technical Review, 2008年, Vol.49, pp.18-22, アズビル株式会社

<商標>
アクティバルはアズビル株式会社の商標です。
savic-net FXはアズビル株式会社の商標です。
Infilexはアズビル株式会社の商標です。
Harmonas-DEOはアズビル株式会社の商標です。

<著者所属>
沖田 孝雄 アズビル株式会社 アクチュエータ開発本部
大谷 秀雄 アズビル株式会社 アクチュエータ開発本部
渡邉 清彦 アズビル株式会社 アクチュエータ開発本部

この記事は、技術報告書「azbil Technical Review」の2026年04月に掲載されたものです。