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成田国際空港 第2旅客ターミナルビル

高度なノウハウを利用した省エネ施策の展開で快適性維持と電力などの消費エネルギー低減を両立してエコ・エアポートの実現に貢献

1978年の開港以来、30年以上にわたり日本の空の表玄関として重要な役割を担ってきた成田国際空港。同空港では、これまでも運用実績を評価し、積極的にムダを省くことで省エネ対策を実施してきました。2008年以降、BEMSに収集・蓄積されている各種データをより一層活用することにより、省エネ対策のさらなる強化に着手。高度なノウハウを利用した各種施策により大きな成果を上げています。

写真提供:成田国際空港株式会社

写真提供:成田国際空港株式会社

建物分野 空港 快適 省エネルギー 中央監視システム

導入製品・サービス

ビルマネジメントシステム

ビルマネジメントシステム

建物管理システム savic-net FX

BEMSに収集・蓄積された情報をさらに有効活用し、施策を強化

成田国際空港は、東京から40分ほどの千葉県成田市に位置し、日本の表玄関として37の国と地域、100都市と結ばれています(2011年10月現在)。1145ヘクタールの空港敷地内には、第1旅客ターミナルビル、第2旅客ターミナルビル、貨物ターミナルビルなどの諸施設があり、年間延べ3000万人を超える人々に利用されています(2010年度)。同空港では「WORLD SKY GATE_NARITA」の名の下、首都圏および東アジアの国際拠点としてのさらなる進化を目指し、国際航空ネットワークの拡大に向けた取組みに注力しています。2010年には、地元との合意の下、年間発着枠を将来的に30万回にまで拡大していくことが決定。また、ローコストキャリア※1専用ターミナルの建設も予定されており、空港機能の増強が行われています。多様化する航空ニーズに応えるために、さらなる空港施設の利便性向上が目指されています。

「空港施設を利用されるお客さまの快適性の追求は重要な視点です。その一方で、近年、省エネルギーに向けた社会的要請もますます高まりつつあり、いかに空港施設内の快適性を維持しながら、電力などのエネルギー消費を低減させていくかが、重要な課題となっています」(田代氏)

この課題に対して第2旅客ターミナルビルでは、2008年に空調設備などの運用・管理を行っていたアズビル株式会社の建物管理システム savic-net™ 50からsavic-net FXへの更新を実施し、それを機にBEMS※2(savic-net FX BMS)を導入。エネルギーに関するデータの計測ポイントを増やし、より細かいエリア単位で、きめ細やかにエネルギー使用量の可視化ができるようになりました。

「BEMSの導入で、これまで把握できなかったエネルギー消費の詳細な実態を知ることができるようになりました。次のステップとして、これらのデータを活用したより効果的な省エネ施策の実践が求められています」(和泉氏)

「BEMSを導入しただけで省エネルギーが達成されるのではなく、あくまでも収集されたエネルギーに関するデータを人が検証し、適切な施策を講じていくことが必要です。それにはデータの評価方法や、それに基づく施策内容を検討していく高度なノウハウが不可欠です」(髙橋氏)

広い空港内の快適性を支える空調機運転の最適化を目指す

そうしたノウハウ獲得のために成田国際空港が行ったのは、建物の運用改善に関して高度なノウハウを持っており、1978年の空港開港から現在に至るまで、旅客ターミナルビルや関連諸施設の空調設備の運用・管理を支えてきたアズビルの省エネルギー支援サービスを活用するというものでした。成田国際空港の運営管理を行う成田国際空港株式会社、および施設の保守・管理を担当する株式会社成田エアポートテクノが施設運用の経験から省エネ施策を提案、またアズビルもビル管理のノウハウを活かした省エネ施策を提案し、これを検討、実践していくという協力体制を構築。具体的な施策を進めていくことになりました。

「施策展開の第1段階として、旅客ターミナルビルの特徴であり、大きなエネルギーを必要とする大空間向け空調設備に着目し、2010年から空調機ファンのインバータ設定値や外気導入量の見直しなどの省エネ手法を実施しました。BEMSによって収集された温度や湿度、CO2濃度などのデータを基に室内環境を分析、把握し、ファン動力や外気導入によるエネルギー損失を最小限に抑えることで快適環境を維持しながら空調設備の運転最適化を行いました」(藤代氏)

そのほか、航空機のフライト情報をsavic-net FXに取り込み、航空機発着の前後数十分間だけゲートラウンジやコンコースの空調を行うという制御のチューニングをエリアごとに環境影響を確認しながら実施。空調機の稼働時間を短縮しつつ、空港を利用されるお客さまが快適に過ごせる環境になっています。BEMS導入により詳細なデータを解析できるようになったことで快適さを維持した省エネ運用が実現できました。

中央監視室に設置された建物管理システムsavic-net FX。

中央監視室に設置された建物管理システムsavic-net FX。

ターミナルビルのエネルギー消費実態の可視化には、savic-net FXのBEMS機能(savic-net FX BMS)を採用。このデータを活用し、一連の省エネ施策が実施されている。

ターミナルビルのエネルギー消費実態の可視化には、savic-net FXのBEMS機能(savic-net FX BMS)を採用。このデータを活用し、一連の省エネ施策が実施されている。

省エネ施策のノウハウを震災に伴う節電対策にも活用

こうして、想定どおりの成果を得ることができた第2旅客ターミナルビルは、翌2011年から次の段階として、ほかのエリアに施策を広げ、さらに省エネ効果を積み上げる構想を描いていましたが、その直後に東日本大震災が発生しました。

「震災による電力不足の影響で、快適性の点などでお客さまにご協力を仰ぐなど、かなり厳しい節電対策を断行せざるを得ませんでした。そうした局面で、取り組んできた省エネ施策の成果が大いに活かされることになりました」(田代氏)

「具体的な節電対策としては、空調設定温度や外気導入量の変更、トレンチ(共同溝)の送排風機運転時間短縮などの施策を行いました」(永瀬氏)

震災に伴う緊急時対応が一段落し、電力需要が切迫する夏季に合わせて第2旅客ターミナルビル全エリアに施策の実施を拡大。それによって、多大な省エネルギーの成果が得られたということです。

「一連の施策の展開を通して、アズビルには随時、成果報告をしてもらっていますが、その際に提示される資料はグラフなどを多く取り入れた大変分かりやすいもので、省エネ効果や課題を即座に理解できる点も高く評価しています」(水田氏)

「トラブル発生時にも、連絡をすれば昼夜を問わず迅速に駆けつけて対応に当たってくれるアズビルには大きな安心を感じています」(鈴木氏)

「対策を始めた当初は目に見える効果が表れますが、対策を進めていくにつれて、往々にして効果の高い対策がなくなっていき、成果は必然的に小さくなっていく傾向があります。今後も、アズビルには、その持ち前の高度な運用改善ノウハウで、我々の取組みを強力に支援してくれることを期待しています」(田代氏)

用語解説

※1 ローコストキャリア(Low-Cost Carrier)

運航効率の向上やサービスの簡素化などによって運航費用を低く抑制し、低価格で航空輸送サービスを提供する航空会社。

※2 BEMS(Building and Energy Management System)

ビル、工場、地域冷暖房といったエネルギー設備全体のエネルギー監視・制御を自動化し、建物全体のエネルギー使用量を最小化するためのシステム。

お客さま紹介

成田国際空港株式会社 空港運用部門 施設保全部 機械グループ マネージャー 田代 敏雄氏
成田国際空港株式会社
空港運用部門
施設保全部
機械グループ
マネージャー
田代 敏雄氏
成田国際空港株式会社 空港運用部門 施設保全部 機械グループ 副主幹 和泉 達也氏
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副主幹
和泉 達也氏
成田国際空港株式会社 空港運用部門 運用計画部 技術安全計画グループ マネージャー 水田 拓也氏
成田国際空港株式会社
空港運用部門
運用計画部
技術安全計画グループ
マネージャー
水田 拓也氏
成田国際空港株式会社 空港運用部門 運用計画部 技術安全計画グループ 主席 藤代 和宏氏
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空港運用部門
運用計画部
技術安全計画グループ
主席
藤代 和宏氏
株式会社成田エアポートテクノ 技術管理部 技術第1課長 髙橋 審氏
株式会社成田エアポートテクノ
技術管理部
技術第1課長
髙橋 審氏
株式会社成田エアポートテクノ 第2保全部 機械課 主任 鈴木 卓也氏
株式会社成田エアポートテクノ
第2保全部
機械課
主任
鈴木 卓也氏
株式会社成田エアポートテクノ 第2保全部 機械課 主任 永瀬 宏幸氏
株式会社成田エアポートテクノ
第2保全部
機械課
主任
永瀬 宏幸氏

成田国際空港 第2旅客ターミナルビル

写真提供:成田国際空港株式会社

成田国際空港株式会社

  • 本社所在地/千葉県成田市古込字古込1番地1(成田市成田国際空港内 NAAビル)
  • 設立年月日/1966年7月30日(新東京国際空港公団)
    2004年4月1日(成田国際空港株式会社)
  • 事業内容/成田国際空港の運営事業、商業施設の整備などのリテール事業、施設貸付事業、鉄道事業

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2012年04月号に掲載されたものです。

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