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関東グリコ株式会社

食品トレーサビリティ、入退室管理の強化で
さらなる生産品質・安全の向上を目指す

グリコグループが東日本に展開していた生産会社3社を統合して誕生した関東グリコ。同社では生産する商品の品質保証と、生産工程におけるCO2(二酸化炭素)排出量削減など環境保護の取組みをさらに強力に推進すべく、食品トレーサビリティ、入退室管理、エネルギー管理を含む中央監視の各システムを導入しました。グループ内の他工場で導入して効果を上げてきたシステムを採用し、効率的な組織運営に大きな成果を上げています。

工場・プラント分野 食品 安全・安心 省エネルギー 品質管理 運転監視・制御システム&ソフトウェア

常に安全で高品質な商品提供と生産工程におけるCO2削減を目指す

埼玉県北本市に2011年1月に設立された関東グリコ株式会社は、東日本で展開していた北海道グリコ、東京グリコ、武生(たけふ)グリコの再編、統合により、グリコグループ生産部門の生産効率の向上と、競争力の強化を目指して誕生しました。工場見学者がお菓子について楽しく学べる「グリコピア・イースト」を工場敷地内に併設し、地域住民に愛される工場を目指す同社は、巨大な消費地である首都圏近郊の生産拠点として、江崎グリコ株式会社の主力製品であるポッキーやプリッツを製造。多様化する消費者のニーズに合わせ、多品種少量生産に対応できる体制を整えています。

「当社は設立当初から特に、品質保証と環境保護に力を入れて取り組んでいます。品質保証では、トレーサビリティの確保と徹底したフードディフェンス※1によって、お客さまに常に高品質で安全な商品をお届けすることを目指しています。一方の環境保護では、同規模の自社工場との比較でCO2排出量25%削減を目指しています」(松下氏)

グループ内で実績を上げてきた信頼あるシステムを各領域に導入

中央監視室に設置されたHarmonas(左)とEneSCOPE。Harmonasが製造ラインの機器の状態を監視し、EneSCOPEが電力使用量などの監視を行っている。

中央監視室に設置されたHarmonas(左)とEneSCOPE。Harmonasが製造ラインの機器の状態を監視し、EneSCOPEが電力使用量などの監視を行っている。

関東グリコは、江崎グリコ本社主導の下、品質保証と環境保護への取組みを支援するシステムを導入。品質保証にかかわるシステムとして入退室管理、食品トレーサビリティを、環境保護にかかわるシステムとしてエネルギー管理を含む中央監視システムの導入を決定しました。これらのシステムを提供するベンダーには、グリコグループ各社で既に効果を上げていたアズビル株式会社が選定されました。

入退室管理システムにはsavic-net™FX セキュリティシステムを採用。工場内の各所に設けられたカードリーダーや入退場ゲートに、IDカードをかざすことにより、認証された従業員でないと通過できないようにしています。

「社員やパート従業員の仕事内容やその重要度によって立ち入ることのできるエリアとそうでないエリアを権限設定して管理しています。監視カメラよりもさらに有効なフードディフェンスの強化を図っているのです」(馬場氏)

食品トレーサビリティには、既にグリコグループの8工場で導入され、標準システムとなっているアズビルの食品工場向けMES※2スーパー管理食™を採用しました。

「賞味期限管理と混合ミス防止を狙いにシステムを導入し、原材料の搬入から製品の出荷までをスーパー管理食で管理しています。各工程でバーコードを読み取ることで原料の受入れから、計量、混合といった作業の履歴が蓄積されます。社員だけではなく、パート従業員も利用するシステムなので、導入当初はちゃんと使いこなせるだろうかという心配もありましたが、簡単な勉強会や講習会を開催しただけで、誰もがスムーズに、問題なく使いこなせるようになりました」(藤井氏)

さらに、中央監視、エネルギー管理に関しては協調オートメーション・システムHarmonas™とエネルギー管理システムEneSCOPE™を導入しました。

「グリコグループでは、同様の仕組みを既に2カ所の生産拠点で導入しており、関東グリコでの導入が3カ所目になります。Harmonasを導入したことで、担当者が現場に出向かなくても、監視画面上でユーティリティ設備など機器の稼働状況をリアルタイムに把握できるようになりました。EneSCOPEは、月や週単位で設備のエネルギー消費動向をデータ化、グラフ化することができるため、そのデータを当工場内だけでなく本社からも確認できるのが大きなメリットです」(神氏)

スーパー管理食の指示に従い、該当する原材料の計量を行う。計量が済むとラベルが印刷され、そのラベルに印刷されたバーコードを読み取ることで後工程の処理が続けられる。

スーパー管理食の指示に従い、該当する原材料の計量を行う。計量が済むとラベルが印刷され、そのラベルに印刷されたバーコードを読み取ることで後工程の処理が続けられる。

現場生産プロセスを踏まえた省エネ施策の立案につなげる


包装材が入っている段ボールのバーコードを読み取り、どれぐらいの量の包装材が使われたかなどもスーパー管理食が管理している。

包装材が入っている段ボールのバーコードを読み取り、どれぐらいの量の包装材が使われたかなどもスーパー管理食が管理している。

これらのシステムは、2011年11月に入退室管理、12月に中央監視とエネルギー管理、2012年2月に食品トレーサビリティ管理という順で導入され、その後の運用を経て、既にそれぞれの領域で成果が得られています。

「エネルギー管理では、EneSCOPEで蓄積されるエネルギーの使用動向のログをHarmonasに記録されている機器の稼働状況と併せて分析することで、現場の生産プロセスを踏まえながらの省エネ施策立案ができるようになりました」(神氏)

「省エネ施策を実施した際にすぐにデータとして見ることができ、エネルギーが削減された実感を得ることができるのは有益です。また、蓄積された過去のデータは製品の品質を検証する際にも有効で、品質や環境を保ちながら省エネルギーを推進していくことができそうです」(馬場氏)

「食品トレーサビリティによって、生産品にいずれかのロットで問題が発生したとしても、生産工程をさかのぼり問題が発生した時点を洗い出せるようになりました。以前、原料搬入の時点で、40ケースの原材料の中に本来の品種とは異なるものが2個だけ混入していたことがありました。バーコードの読み取りで確実にはじかれ、事故を未然に防止することができました」(藤井氏)

「入退室管理は、単にセキュリティの強化という点だけではなく、勤怠管理の参考データとしても活用しています」(馬場氏)

今後も関東グリコでは、これら一連のシステムのさらなる活用を通じて、商品の品質管理、環境保護対策を強化していく構えです。

「食品に対する安全性の意識が高まり、消費者が食品メーカーに向ける目も厳しくなっています。当社では、今後もそれに十分に応えていくために取組みを強化していきます。そのためにもアズビルには、品質管理や環境保護の支援システム提供の面でより一層期待しています」(松下氏)

フォークリフトで製品を搬出する際に、フォークリフトの天井に取り付けられたICチップと無線受信部が連携し開口部の開閉を行う。

フォークリフトで製品を搬出する際に、フォークリフトの天井に取り付けられたICチップと無線受信部が連携し開口部の開閉を行う。

用語解説

※1 フードディフェンス

食品防御。原料調達から販売までのすべての段階において、食品への人為的な異物混入を防止するための取組み。

※2 MES(Manufacturing Execution System)

製造業における受注から製品の製造、出荷に至る生産活動のトータルな最適化を支援するシステム。製造状況の把握や実績の記録のほか、作業手順の標準化といった面でも役立てられ、現場作業の効率化や品質向上に貢献する。

お客さま紹介

関東グリコ株式会社 代表取締役社長 松下 明信 氏
関東グリコ株式会社
代表取締役社長
松下 明信 氏
関東グリコ株式会社 代表取締役社長 松下 明信 氏
関東グリコ株式会社
生産管理課
課長
藤井 英彦 氏
関東グリコ株式会社 技術課 課長 馬場 渉 氏
関東グリコ株式会社
技術課
課長
馬場 渉 氏
関東グリコ株式会社 技術課 生産支援係 係長 神 一之 氏
関東グリコ株式会社
技術課
生産支援係
係長
神 一之 氏

関東グリコ株式会社

関東グリコ株式会社

  • 所在地/埼玉県北本市中丸9-55
  • 設立/2011年1月11日
  • 事業内容/菓子製造

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2014 Vol.3(2014年06月発行)に掲載されたものです。

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