HOME > 納入事例 > 大多喜ガス株式会社

大多喜ガス株式会社

ガスメーターの検針作業の自動化で業務負荷を軽減
使用データの見える化でも顧客満足度を向上

茂原市をはじめとする千葉県内、約16万件にガスを供給する大多喜ガスは、一部の大口顧客に対して遠隔から検針を行うシステムをリニューアルしました。これにより、課題となっていた訪問検針業務の軽減、ガス料金の締め日に対する顧客からの要望に応えることができました。さらに、ガス使用量の明細を月報にまとめて顧客に提供する仕組みを構築したことでも、顧客満足度を向上。併せて、顧客に最適提案を行うためのデータとしても活用できるようになりました。

工場・プラント分野 電力・ガス コスト削減 稼働改善 ガスメーター

導入製品・サービス

ガス使用量帳票自動作成・転送システム

膨らむ検針員の負担増と顧客ニーズへの対応が課題に

千葉県は国産天然ガスを生産できる数少ない地域として知られています。地下に広がる南関東ガス田から産出される天然ガスは高純度、高熱量で、これを「千産千消(地産地消)エネルギー」として県内に供給しているのが大多喜ガス株式会社です。同社は、この天然ガスに加え、海外から輸入した液化天然ガス(LNG)※1やBOG(ボイルオフガス)※2やオフガス※3など複数のガス源を活用し、茂原市をはじめ、市原市、千葉市(中央区、緑区)、八千代市、山武(さんむ)市などのエリアで約16万件の顧客に向けてガスを安定供給しています。

大多喜ガスは、1999年に工場や病院などの大口顧客を対象にロードサーベイシステム※4を導入。万一、設置された大容量ガスメーターが故障しても、流量監視によってセンター側に収集されたデータに基づいて、顧客のガス使用量を確定できる仕組みを構築していました。当時は携帯電話が普及していなかったため、有線方式の送受信機をメーターの近くに設置し、顧客の構内内線を経由してフリーダイヤルでデータセンターにつなぎ、データを収集していました。

「導入したロードサーベイシステムは、将来的には自動検針にも利用するつもりでした。しかし、回線の敷設費用がかかることや、構内内線だと通信が一方通行になり、データセンター側からは呼び出せないなど、使い勝手が悪く、自動検針を実現できずにいました」(秦野氏)

同社では、大口顧客の検針は、月末に担当者が1件ずつ訪問して実施しています。そんな中、原油高騰を背景に重油などから天然ガスへ燃料転換を行う顧客が急増しており、いずれ訪問検針を行う人員が足りなくなることが予想されました。さらに、訪問検針日がガス料金の締め日となっていたのですが、顧客からは電気料金と同じように月末の24時、つまり1日の0時できっちりガス料金を締めてほしいとの要望も寄せられるようになりました。

ガス使用量を月報として提供。顧客のエネルギー可視化を支援

大多喜ガス本社オフィスに設置されたロードサーベイ・検針システムのセンター側パソコン。

大多喜ガス本社オフィスに設置されたロードサーベイ・検針システムのセンター側パソコン。

このような課題に頭を悩ませていたとき、大多喜ガスは業界紙で自動検針が可能なロードサーベイ・検針システムを知りました。

「有線ではなく無線通信網を通じて、デマンドメーターやガスメーターの情報を収集・管理できる点に大きな魅力を感じました。早速、アズビル金門株式会社に問い合わせて、実機を借り、2件のお客さまの設備に設置して、当社の本社オフィスをセンターにした試験運用を開始しました」(大野氏)

試験運用は2006年6月に始まり、1年強の検証を経て同社は、アズビル金門のロードサーベイ・検針システムの採用を決定しました。2007年12月からは、大口顧客との実取引に同システムの適用をスタートさせ、顧客側にパルス発信機能付きガスメーター、通信機能付きデマンド計、伝送端末機を設置。大多喜ガスのオフィスに置かれたセンターパソコンから携帯電話網(FOMA*1経由で、顧客のガス使用量を1日1回、夜間に自動収集しました。月々の検針も、同じくセンターパソコンから自動で問い合わせできるようになり、月末の24時を締めとした検針が可能となりました。

「アズビル金門の協力の下、毎月のガス使用量が確定した後、お客さまに対して、その月のガス使用量のサマリと1時間ごとの使用量の明細を月報にまとめ、FAXやExcel*2形式のデータでお届けするシステムも開発しました。2007年12月からは、ガス使用量を見える化するサービスも併せてお客さまに提供しています」(大野氏)

「検針作業にかかる負担が大幅に軽減されたことはもちろん、以前からの課題だった検針日に対する要望にも柔軟に応えられる体制が整いました」(早川氏)

ラント内に分散して設置しているインテリジェント地震センサ SES60(箱内)。3システム設置のため、合計9台のセンサが稼働中。
顧客側の機器設置例。取引用のパルス発信機能付きメーターの近くに伝送端末を設置。流量の計測を通信機能付きデマンド計が行い、伝送端末機から本社のセンターシステムへデータを送信する。

顧客側の機器設置例。取引用のパルス発信機能付きメーターの近くに伝送端末を設置。流量の計測を通信機能付きデマンド計が行い、伝送端末機から本社のセンターシステムへデータを送信する。

*1:携帯電話網(FOMA) : FOMAは、株式会社NTTドコモの商標です。
*2:Excel : Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびそのほかの国における登録商標です。

顧客の最適な契約内容は何か、データの活用で提案が可能に

毎月月初にエネルギー使用量に関する月報を各顧客にFAX配信するサーバー。

毎月月初にエネルギー使用量に関する月報を各顧客にFAX配信するサーバー。

こうしたデータの見える化は、顧客企業と大多喜ガスの双方にとって、大きなメリットがあったといいます。

「ガス使用量の月報は、多くのお客さまのエネルギー管理の資料やガス契約更改時の指標データとして、お役立ていただいています。一方、当社でもこれらのデータを、お客さまに対して最適な契約を提案するための基礎資料として活用しています」(志保澤氏)

大多喜ガスでは、既に各エリアの大口顧客向けに、このロードサーベイ・検針システム適用を完了。今後も新規顧客に対して順次適用していきます。

「アズビル金門とは昭和30年代からの長いお付き合いです。ガス会社に対して小回りの利いた対応をしてくださっており、その延長線上で今回のシステムの試用から導入、立ち上げ、FAX送信を行うシステムの開発まで一緒にかかわってもらえたのが大変よかったです」(大野氏)

「今後、顧客が増加すると、月報のFAX送信を行うサーバーの負荷が増大することなども予想されます。そのときは、単純にサーバーを増設するだけではなく、システム自体を適切にチューニングしていくといった方法も検討していきたいと考えています。そうした面も含めて、アズビル金門にはこれからも当社のパートナーとして、さらに強力な支援を期待しています」(秦野氏)

用語解説

※1 液化天然ガス(LNG)

天然ガスを冷却して液化したもの。

※2 BOG(ボイルオフガス)

液化天然ガスを輸送・貯蔵する際に、一部がタンク内で気化して発生するガス。

※3 オフガス

石油・天然ガスの生産・処理設備、天然ガス液化プラント、製油所、石油化学工場などで副生するガス。

※4 ロードサーベイシステム

ガス会社や電力会社が大口需要家側に設置されたメーター類を、有線/無線により遠隔からモニタリングするシステム。

お客さま紹介

大多喜ガス株式会社 営業本部 エネルギー営業部 産業営業グループ マネージャー 秦野 兼次 氏
大多喜ガス株式会社
営業本部
エネルギー営業部
産業営業グループ
マネージャー
秦野 兼次 氏
大多喜ガス株式会社 経営企画部 主査 大野 和弘 氏
大多喜ガス株式会社
経営企画部
主査
大野 和弘 氏
大多喜ガス株式会社 営業本部 エネルギー営業部 契約管理グループ 主任 志保澤 秀樹 氏
大多喜ガス株式会社
営業本部
エネルギー営業部
契約管理グループ
主任
志保澤 秀樹 氏
大多喜ガス株式会社 営業本部 エネルギー営業部 産業営業グループ 主任 早川 慶 氏
大多喜ガス株式会社
営業本部
エネルギー営業部
産業営業グループ
主任
早川 慶 氏

大多喜ガス株式会社

大多喜ガス株式会社

  • 所在地/千葉県茂原市茂原661
  • 設立/1956年8月13日
  • 事業内容/ガスの供給・販売、ガス機器等の販売

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2014 Vol.2(2014年04月発行)に掲載されたものです。

工場・プラント分野の納入事例

コスト削減の納入事例

稼働改善の納入事例

ガスメーターの納入事例