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株式会社 日本触媒 姫路製造所

製造現場における情報伝達を円滑化、重要度と情報活用を意識した仕事のやり方に変革

日本触媒 姫路製造所では、「ものつくり一新」活動の一環として、製造設備の運転にかかわる情報の正確かつ円滑な指示・伝達を可能にするためのシステム構築に着手。運転中に発生した事象に対する現在の状況、過去の経緯、重要度をまとめて管理できる仕組みを実現しました。その結果、生産現場の仕事のやり方自体に変革がもたらされています。

株式会社 日本触媒 姫路製造所

株式会社 日本触媒 姫路製造所

工場・プラント分野 化学 安定稼働 稼働改善 運転監視・制御システム&ソフトウェア

導入製品・サービス

操業知識ベースOperationKnowledgeBase

紙や口頭による引継ぎでは、運転情報の正確な伝達と把握は難しい

株式会社 日本触媒は、「テクノアメニティ」(テクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供する)を企業理念に事業を展開する化学メーカーです。播磨臨海工業地帯の西部に位置し、88万m²の敷地を有する姫路製造所は、同社の主力工場として、塗料や粘・接着剤など様々な用途に用いられるアクリル酸エステル、紙おむつなどのサニタリー用品に用いられる高吸水性樹脂をはじめ、精密化学品や機能性化学品、自動車触媒など幅広い製品を生産。国内のみならず世界各国の産業界からも高い評価を受けています。

「当製造所では、2007年以来、『超安心なものつくり工場の実現』を目指す『姫路ものつくり一新(HMI)活動』を展開。ものつくり基盤の強化と製造所全体の最適化を図るため、品質保全、総合安全、業務プロセス、オペレーション、設備保全、人財力といった領域ごとにチームを設置し、目指す姿の実現に向けた取組みを推進しています」(岡崎氏)

このうち、特にオペレーションの領域で課題として浮上していたのが、運転にかかわる情報の指示・伝達に関する問題でした。

「製造現場では、4直3交替を基本とするシフトオペレータと、常日勤オペレータによる勤務体制を敷いていますが、これまで勤務交替時の引継ぎやミーティングなどでは、運転日誌をベースとした紙や口頭による情報伝達を行っていました。しかし、トラブルや注意事項などの詳細な情報が正確に伝達されにくく、課員全員への周知という面では問題がありました」(宗近氏)

「引継ぎのミーティングに同席していない人、例えば、製造現場で発生している情報を取りまとめて管理する課長や、資料の作成に当たるスタッフなどが、後から運転日誌や記録類を見ただけでは、現場で発生した事象の内容や経過を明確に把握することができない、といった課題もありました」(野本氏)

フォーム画面のアレンジが容易に行えることが決め手

こうした課題を解決し、運転にかかわる情報の正確かつ円滑な指示・伝達を実現するために導入されたのが、山武の操業知識ベースOperation Knowledge Base™ (OKB)でした。

「OKB以外の製品の導入や自主開発による対応も検討しましたが、利用部門でフォーム画面のアレンジが容易に行えること、利用に際して高度なスキルを必要としないこと、などが選定の重要な決め手となりました」(岡崎氏)

姫路製造所がOKBの採用を決めたのが2008年9月のこと。その後、帳票設計が開始され、全体で1000種類以上あった運転日誌・記録類のうち、OKBで電子化する対象を95種類に絞り込んで、34種類のフォームに集約。これら標準化されたフォームをベースに、各製造部署がニーズに応じてカスタマイズを行うことにしました。そして、運用設計、試運用などの工程を経て、2009年4月から同システムは本格的に稼働を開始しました。

姫路製造所内には計300台のPCが設置されているが、そのいずれからでもOKBにアクセスが可能。運転情報のユビキタス化が実現されている。

姫路製造所内には計300台のPCが設置されているが、そのいずれからでもOKBにアクセスが可能。運転情報のユビキタス化が実現されている。

ミーティングの際には、必要に応じてOKBの画面をプロジェクタで映し出し、参加者が内容を確認しながら進められる。

ミーティングの際には、必要に応じてOKBの画面をプロジェクタで映し出し、参加者が内容を確認しながら進められる。

仕事のやり方自体に変革がもたらされる

OKB導入の成果は、既に様々な局面において表れています。まず挙げられるのが、伝達する情報を所内共通指針に沿って標準化されたフォームに入力する形となったことで、部署や個人による記載事項のバラつきが解消され、例えば"5W1H"といった運転情報を伝達する上での必須事項が確実に記録されるようになったことです。

「しかも引継ぎに際して、現在どのような作業があり、そのステータスが未処置、処置中、処置済みといった形で明確に示されるほか、緊急を要する項目が黄色で示されるなど重要度によって色分けされるようになりました。その結果、オペレータには重要なものから確実に、そして漏れなく作業を実施していくという意識が定着。そうした意味では、仕事のやり方自体に変革がもたらされたといえます」(宗近氏)

「発生した事象に関する一連の経緯が常にリンクされた状態で管理されるので、課長やスタッフなどによる資料や月次実績報告書をまとめる際の業務負荷が大幅に軽減しました。また、オペレータがシステムに蓄積したデータから、発生した事象に関する過去事例の検索が電子化により早く漏れなくできるようになりました。これにより定量的には、年間で4500時間の削減につながっています。加えて、記入スペースの限られた紙の日誌からOKBに変わったことで記入スペースが増え、今まで紙には書ききれなかったオペレーション内容や現場状況を付加することができるようになりました。運転情報をナレッジとして活用できるような仕組みも整い、今後のさらなる活用が期待されています」(野本氏)

「その一方で、設備保守部門の作業効率向上にも貢献しています。OKB導入前は、現場の運転日誌を見る機会はほとんどありませんでした。しかし、OKB導入後は、例えば、ある設備で障害が発生した際などにも、その運転状況を事前にOKBで確認するようになってきています。今後は、トラブルシューティングに際しての製造現場とのやりとりがスムーズに行えるように、さらに利用する機会を増やしていきたいです」(後尾氏)

姫路製造所では、今後もOKBを活用して、製造現場におけるさらなるコミュニケーションの円滑化によって、オペレーションにかかわる安全・安心の確保、管理作業の効率化に向けた取組みを強化していく構えです。

「それに向けては、若手オペレータに対する、情報伝達の際の文章表現指導などをはじめとする運用改善を継続的に実施しているところです。山武には、製品のユーザー会など、他社の事例を含めてOKBのより高度な使いこなしについての情報・意見交換をできる場を積極的に提供してもらいたいと考えています」(岡崎氏)

※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。

お客さま紹介

株式会社日本触媒 姫路製造所 化成品製造部 製造第2課 主任技術員 宗近 史郎氏
株式会社日本触媒
姫路製造所
化成品製造部
製造第2課
主任技術員
宗近 史郎氏
株式会社日本触媒 姫路製造所 ファイン製造部 製造第1課 1係長 野本 耕治氏
株式会社日本触媒
姫路製造所
ファイン製造部
製造第1課
1係長
野本 耕治氏
株式会社日本触媒 姫路製造所 エンジニアリング部 電気計装課 課長 後尾 勝之氏
株式会社日本触媒
姫路製造所
エンジニアリング部
電気計装課
課長
後尾 勝之氏
株式会社日本触媒 姫路製造所 HMI推進室 兼 生産管理センター 主任部員 岡崎 和人氏
株式会社日本触媒
姫路製造所
HMI推進室
兼 生産管理センター
主任部員
岡崎 和人氏

株式会社 日本触媒 姫路製造所

株式会社 日本触媒 姫路製造所

株式会社 日本触媒 姫路製造所

  • 所在地/兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992-1
  • 開設/1960年
  • 事業内容/基礎化学品、機能性化学品、環境・触媒製品の研究開発および製造

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2011年01月号に掲載されたものです。

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