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エヌケーケーシームレス鋼管株式会社

熟練者のノウハウをシステムで標準化 高品質な製品を生産

エヌケーケーシームレス鋼管では、同社が生産するシームレスパイプの製造工程において品質維持の上で重要なカギとなる加熱や再加熱、熱処理に際しての炉内温度制御の自動化に取り組みました。現場で培われた熟練オペレータのノウハウをDCS上に標準化することで、オペレータの熟練度に依存することなく、常に品質を保証できる生産を実現することができました。

エヌケーケーシームレス鋼管株式会社

エヌケーケーシームレス鋼管株式会社

工場・プラント分野 鉄鋼 安定稼働 稼働改善 運転監視・制御システム&ソフトウェア

高度な熟練ノウハウが求められる炉内温度のコントロール

エヌケーケーシームレス鋼管株式会社は、エネルギー関連産業にパイプ製品を提供するグローバル企業であるテナリスの日本における拠点として、シームレス(継ぎ目のない)パイプの製造・販売を行っています。

「石油や天然ガスなどを深度5千~1万mの地底や海底から掘り上げるためには、腐食・水圧などに強いパイプが不可欠です。当社では、そうしたニーズに応えるハイグレードなシームレスパイプの製造から品質管理までを一貫して行っています」(小田氏)

同社では、直径159~431㎜のパイプを製造する大径管工場、直径33~154㎜までのパイプを製造する小径管工場の2つの工場を、川崎市にあるJFEスチール株式会社東日本製鉄所敷地内で操業しており、その生産能力は年間27.5万トンに上ります

製品の製造工程については、JFEスチールから受け入れたパイプ製造用のビレット※1を、加熱、穿孔(せんこう)※2、圧延(あつえん)※3、再加熱(小径管のみ)、冷却、熱処理(焼入れ、焼戻し)といった一連のプロセスによって加工していくという形となります。

「工程の中でも、加熱や再加熱、熱処理を行う際の炉内温度のコントロールは、製品の品質を左右するとりわけ重要なポイントです。以前より当社では、その監視・制御についてアナログ計器盤を用いた手動で行っていましたが、その精度を維持するためには熟練オペレータが必要であるという課題がありました」(森崎氏)

製造情報を一括管理し品質と環境のデータを可視化

大径管工場の熱処理運転室に設置されたHarmonasの監視・制御用端末。ここでは、鋼管の焼入れ、焼戻しに関する炉内の温度が監視・制御される。

大径管工場の熱処理運転室に設置されたHarmonasの監視・制御用端末。ここでは、鋼管の焼入れ、焼戻しに関する炉内の温度が監視・制御される。

そこで、炉内の温度監視・制御の自動化を行い、オペレータの熟練度に依存することなく、常に製品の品質を保証できるような生産の仕組みを目指すことにしました。その実現に向けて、同社が選択したのが山武の提供する協調オートメーション・システム Harmonas™を利用したDCS※4化でした。

「ベンダー・製品の選定に当たっては、現場で培われた熟練オペレータの詳細なノウハウをいかに正確にシステム化できるかといった技術力や、我々が将来的なビジョンとして描く他システムとのインテグレーションに向けた拡張性など、様々な要素を総合的に検討しました。その結果、山武に依頼することが我々にとって最良の選択であると判断したのです」(小田氏)

同社が山武の採用を決定したのが2004年9月のこと。その約3カ月後の2004年末には、まず大径管工場の加熱炉において自動監視・制御システムが早くも稼働しています。

「システムの構築に際しては、山武が当社の製造現場のオペレーションを詳細にヒアリングし、持ち前の高度なノウハウで的確にシステム化してくれました。また、当社のオペレータが山武の伊勢原工場に行き、納品前のシステムテストの際に実機システムを使って操作性を検証し、我々の要望をその時点でシステムへ反映してくれました。そうした山武の手厚い対応もあり、稼働後には現場オペレータにも違和感なくスムーズになじんでいきました」(堀氏)

また、同社製品の品質を保証する上では、炉での熱処理を経て完成した製品本体についても詳細な温度管理を行う必要があります。これに関しては山武の提供するリレーショナル製造情報管理システムPREXION™(プレキシオン)を適用し、収集した品質データを確実に蓄積・管理できる仕組みを構築しています。さらに同社では、マルチクライアント環境での監視・制御を可能にする山武のTSS(Thin client Supervisory Server)サーバ/クライアントを導入して、監視画面を製造現場以外の事務所からも参照できるような環境も実現しました。

エヌケーケーシームレス鋼管では、この大径管工場の加熱炉を皮切りに、その後、小径管工場の再熱炉、熱処理炉、加熱炉、そして大径管工場の熱処理炉という順で、約半年のサイクルによって順次、各炉の温度監視・制御の自動化を実現してきました。

「炉の燃焼状況で窒素酸化物(NOx)の排出量が変化するため、直近で立ち上げた大径管の熱処理炉のHarmonasでは、NOxを算出するプログラムを作り込むことで環境データの可視化も実現しています」(堀氏)

小径管工場の熱処理運転室に設置されたHarmonasの監視・制御用端末。異常発生時には問題の重要度に応じてアラームが赤、黄、青の各色で表示されるほか、その内容に応じたオンラインマニュアルの所定個所をワンタッチで参照できる機能なども備えられている。

小径管工場の熱処理運転室に設置されたHarmonasの監視・制御用端末。異常発生時には問題の重要度に応じてアラームが赤、黄、青の各色で表示されるほか、その内容に応じたオンラインマニュアルの所定個所をワンタッチで参照できる機能なども備えられている。

TSSサーバ/クライアントの導入により事務所のパソコンからHarmonasとPREXIONの画面を確認できるため、製造現場に赴くことなく炉内や製品の温度を随時監視できるようになっている。また、PREXIONの収集データを基に顧客へ提出する資料も作成される。

TSSサーバ/クライアントの導入により事務所のパソコンからHarmonasとPREXIONの画面を確認できるため、製造現場に赴くことなく炉内や製品の温度を随時監視できるようになっている。また、PREXIONの収集データを基に顧客へ提出する資料も作成される。

※伊勢原工場は、2019年6月をもって湘南工場に統合いたしました。
※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。

技術伝承をオートメーションで。安心して作業できる環境を実現

さらに炉を運転していくための技能を伝えていくため、Harmonasのオープン・ボイス※5やオンラインマニュアルを駆使し、若い人たちの技能レベル向上にも役立てています。

「自動化が進むことで作業内容がブラックボックス化し、いざというときに手動操作ができないのではないかということが心配でした。そこで、警報のたびに熟練の知識である"次に行うべき操作"をシステムが提示してくれる仕組みを作り込みました」(堀氏)

「こうした一連の取組みによって、炉内の温度監視・制御に関するオペレーションのノウハウがシステム的に標準化された結果、仮に経験の浅いオペレータであっても熟練者と同等のオペレーションを行うことが可能となり、オペレータの業務負荷も大きく削減できました。そのことが、当社の製品の品質向上に直結していることは言うまでもありません」(森崎氏)

今後、同社では大径管、小径管の両工場で個別に構築してきたDCSを連携させ、管理を工場横断的、集中的に行うといった方向性も目指していくとともに、炉以外のユーティリティ※6関係の運転・制御などでもDCSの可能性を追求していきたいと考えています。

「製造現場のオペレータの負荷が軽減され、安心して作業ができる環境が整いました。我々のコンセプトをしっかりと支えてくれる山武のオートメーションに今後も大いに期待しています」(小田氏)

※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。

用語解説

※1 ビレット(Billet)

金属を成分調整して円柱形に鋳造した鋳塊のこと。巨大なかまぼこ板のような形状をした「スラブ」などと区別される。

※2 穿孔

加熱した鋼材の中心に穴を開け、管形状にすること。

※3 圧延

加熱した鋼材に力を加えて押し延ばし、所定の厚みや形状に加工する作業。

※4 DCS(Distributed Control System)

分散制御システム。工場の生産設備などを監視制御するための専用システム。構成する各機器がネットワーク上で機能を分散して持つことで、負荷の分散化が図れ、安全でメンテナンス性に優れている。

※5 オープン・ボイス

Industrial-DEO、Harmonasシステムのオプション・ソフトウエア。システムがアラームを検出した際に、音声によりオペレータにメッセージを通知する。事前に登録された文字列をシステムが読み上げる方式なので、メッセージをユーザーが自由に登録/変更することができる。

※6 ユーティリティ

各種設備、装置を運転するために必要な電力、燃料、蒸気、工業用水、圧縮空気などを供給する設備の総称。

お客さま紹介

エヌケーケーシームレス鋼管株式会社 エンジニアリング部 部長 小田 龍晴氏
エヌケーケーシームレス鋼管株式会社
エンジニアリング部
部長
小田 龍晴氏
エヌケーケーシームレス鋼管株式会社 エンジニアリング部 室長 森崎 敏広氏
エヌケーケーシームレス鋼管株式会社
エンジニアリング部
室長
森崎 敏広氏
エヌケーケーシームレス鋼管株式会社 エンジニアリング部 マネジャー 堀 英範氏
エヌケーケーシームレス鋼管株式会社
エンジニアリング部
マネジャー
堀 英範氏

エヌケーケーシームレス鋼管株式会社

エヌケーケーシームレス鋼管株式会社

エヌケーケーシームレス鋼管株式会社

  • 所在地/神奈川県川崎市川崎区南渡田1-10
  • 設立/2000年8月1日
  • 事業内容/原油・天然ガス開発用油井管、ラインパイプ、精製所・発電所用鋼管、建設用鋼管、重工業・自動車産業用鋼管の研究開発、及び製造、販売

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2010年06月号に掲載されたものです。

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