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PT.PERTAMINA

制御システムの更新を定修と同時に実施。生産への影響を最小限に抑え、今後の省エネルギーにも貢献

インドネシア内の産業や人々の暮らしにエネルギーを安定的に供給しているPT.PERTAMINAでは、老朽化したDCSの更新をプラントの定修のタイミングに合わせて実施。システム更新作業による生産量低下を最小限に防ぎ、リニューアルを実現しました。今後は環境対策にも取り組んでいく予定です。

PT.PERTAMINA

PT.PERTAMINA

工場・プラント分野 石油・石油化学 安定稼働 老朽化対策 海外 運転監視・制御システム&ソフトウェア

導入製品・サービス

稼働から20年が過ぎ、制御システムの更新が課題

PT.PERTAMINA(プルタミナ)は、1957年に石油とガスを安定的に供給するためにインドネシア政府が設立した石油関連企業です。そして2001年11月、エネルギー資源のさらなる有効活用を目的に民営化され、現在では国内最大規模の石油・ガス関連企業へと成長してきました。同社はインドネシア各地に石油・天然ガスの採掘基地を持ち、ガソリンや軽油・重油から液化天然ガス(LNG)、ジェット燃料などの各種燃料の製造をはじめ、アスファルトやコークスなどの非燃料系製品、ベンゼンやパラキシレンといった石油化学製品まで、幅広い石油製品を扱っています。インドネシア国内はもちろん、海外での知名度も向上しており、2015年を目標に東南アジアを代表するトップ企業に成長するため、コスト削減や環境対策などに取り組むなど社内の意識改革にも挑戦しています。

現在、プルタミナは6つの製油所を所有しています。特にチラチャップにある第4製油所は34万8千バレル/日の生産能力を誇り、ガソリンや航空機の燃料、ディーゼルオイル、液化石油ガス(LPG)などの燃料をはじめ、パラキシレンや潤滑油のベースとなるオイル、サルファ(硫黄)を生産するなど、国内外への石油製品の供給を担う、戦略的にも重要な拠点として存在しています。

「チラチャップの第4製油所には1971年と1983年に稼働開始した2つの石油精製プラントに加え、1990年から稼働しているパラキシレンのプラントがあります。今回、課題として浮上したのが、このパラキシレンプラントの運転管理を行うDCS※1の老朽化対策でした。そこでこの課題を解決するために複数の企業に提案をお願いしたのです」(Sundhoro R氏)

システム更新を定修に合わせ、短期間で更新が完了

パラキシレンプラントに導入されたHarmonas-DEO。

パラキシレンプラントに導入されたHarmonas-DEO™

パラキシレンプラントでは老朽化したシステムの更新に際し、短期間での施工を条件に提案を4社に依頼。システム更新に起因する工期遅延による生産量低下のリスクを軽減するため、遅延が発生した場合はベンダーにペナルティを課すという厳しい要求を行いました。そして各ベンダーのプランを綿密に検討した結果、山武と山武の現地法人アズビル・ベルカ・インドネシア(ABID)がパートナーとして選ばれたのです。

「現在、インドネシア国内をはじめ、台湾などの周辺諸国でもパラキシレンの消費量は増え続けており、メーカーである私たちには製品を安定供給できる体制を整えることが求められています。そのため、システム更新に際してもプラントの停止期間を必要最小限に抑えることが責務だったのです」(Ibnu Zaenal氏)

そこで山武とABIDは、プラントの部分定修※2と並行してDCSを更新するプランを提案しました。具体的には、更新作業工程のうち、プラント稼働中に一部を切り替えるHCO※3を実施し、プラントの停止が必要な切替え作業(CCO※4)のみをプラントの生産が停止する部分定修のタイミングに合わせて実施するというものでした。切替え作業に要した期間は2日間でしたが、部分定修期間中の切替え作業であったため実質的な停止期間をゼロに抑えることができました。

「HCOとCCOを組み合わせるこの方法ですが、実は1990年代後半、ここチラチャップにある2つの石油精製プラントのDCS化にも採用した方法で、通常の切替え作業に比べ停止時間を大幅に削減することができました。そのときのパートナーが山武でした。突発的な状況にも柔軟に対応できる高いエンジニアリング力など、過去の実績も考慮して今回の採用を決定しています」(Dadi Sugiana氏)

運転効率の向上が今後の事業運営の課題

今回のシステム更新では切替え時間を短縮し、コストを大幅に削減するため、現場に設置されたセンサやバルブ、ターミナルパネルなど、問題なく稼働している設備は極力現状のまま有効利用をし、DCSのみを置き換えることで対応しています。新しいDCSには山武の監視・制御システムHarmonas-DEO™を採用。使い勝手はそのままに、システムの置き換えを実施しても通常と変わらない操作性・生産性を実現しています。

「DCSの更新はプラントの部分定修でシステムが停止するタイミングで行います。そのため、DCS更新のタイミングが定修の進行状況に応じて変わってしまうという事情がありました。繰り返されるスケジュール変更にもかかわらず、DCSの置き換え作業は滞りなく当初の予定どおりに作業を終えることができました」(Erfan Gafar氏)

現在、インドネシアではユドヨノ大統領が2025年までにCO2排出量の18%削減を言及しており、国内の主要産業に対してもCO2排出量削減対策を求めています。それに呼応するため、プルタミナでもCO2およびエネルギーコストの削減に取り組んでいます。

「パラキシレンプラントがインドネシア政府と締結しているパフォーマンス契約の1つにエネルギー消費量の最適化があります。我々は炉の最適化や熱源のロスを削減することでその実現を目指しています」(Imam Udiantoro氏)

「石油精製業界で一般的な評価指標としてソロモンアソシエイツ社のベンチマークがありますが、プルタミナでは7つある製油所のすべてで上位25%以内の獲得を目標に取り組んでいます。現在、我が社の最上位はチラチャップの製油所で上位30%にいます。このスコアアップにも力を入れていく予定です。これからも制御技術で定評の高いazbilグループの支援に期待しています」(Dadi Sugiana氏)

※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。

用語解説

※1 DCS(Distributed Control System)

分散制御システム。プラント・工場の製造プロセスや生産設備などを監視制御するための専用システム。構成する各機器がネットワーク上で機能を分散して持つことで、負荷の分散化が図れ、安全でメンテナンス性に優れている。

※2 定修

各種生産施設やプラントで定期的に実施される大規模な点検・修理作業。定期修理。

※3 HCO(Hot Cut Over)

プラントを稼働させたまま各種システムの交換、あるいは更新を行うこと。

※4 CCO(Cool Cut Over)

プラントを完全に停止させた状態で各種システムの交換、あるいは更新を行うこと。

お客さま紹介

PT.PERTAMINA Engineering & Development Manager Dadi Sugiana氏
PT.PERTAMINA
Engineering & Development
Manager
Dadi Sugiana氏
PT.PERTAMINA Project Engineering Deputy Section Head Erfan Gafar氏
PT.PERTAMINA
Project Engineering
Deputy Section Head
Erfan Gafar氏
PT.PERTAMINA Facility Engineering Sundhoro R氏
PT.PERTAMINA
Facility Engineering
Sundhoro R氏
PT.PERTAMINA Paraxylene Section Head Ibnu Zaenal氏
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Paraxylene
Section Head
Ibnu Zaenal氏
PT.PERTAMINA Paraxylene Deputy Section Head Imam Udiantoro氏
PT.PERTAMINA
Paraxylene
Deputy Section Head
Imam Udiantoro氏

PT.PERTAMINA

PT.PERTAMINA

PT.PERTAMINA

  • 本社所在地/Jl. Medan Merdeka Timur 1A, Jakarta 10110
  • 設立/1957年12月
  • 事業内容/石油・ガスとその加工品の製造と販売、地熱発電をはじめとする地熱エネルギー事業、液化天然ガスの生産
Refinery Unit IV, Cilacap(Paraxylene refineries.)
  • 所在地/Jl. Letjen Haryono MT. 77 Lomanis, Cilacap Jawa Tengah 53221
  • 操業開始/1990年12月

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2012年03月号に掲載されたものです。

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