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柳井化学工業株式会社 柳井工場

多品種少量生産の現場で情報を取る目として安定操業に貢献

化学・医薬分野を中心としたメーカーからの委託を受け、化学品の製造を行う柳井化学工業。同社では先ごろ、さらなる生産量増大への対応を主な目的として、第二工場を新設しました。新工場においても既存工場で実現している信頼性、使い勝手の良さを継承するために山武のシステムを導入。オフィスに居ながら現場の状況が把握できるなど作業の効率化にも貢献しています。

柳井化学工業株式会社 柳井工場

柳井化学工業株式会社 柳井工場

工場・プラント分野 化学 安定稼働 稼働改善 メンテナンスサポート 運転監視・制御システム&ソフトウェア ライフサイクルサポート

化学・医薬などの顧客が持つ多品種少量生産のニーズに応える

柳井化学工業株式会社は、化学品の受託製造を行う企業です。顧客の提示した処方に基づいて化学合成を行い、一般化学品や医薬品の中間体を生産して納品するというのが同社の役割であり、顧客は化学、医薬をはじめ、自動車やコンピュータなど幅広い分野に広がっています。

「大手メーカーなどが新製品を投入する際、市場での需要が明確でない最初の段階においては、まず小さなスケールで生産に着手することになります。当然、その段階で、自社で設備投資を行うということには大きなリスクがあるため、お客さまに代わって、当社が化学品の試作や生産を行うのです」(有吉氏)

山口県柳井市にある同社工場には、そうした顧客の多様なニーズに応えられるよう、高い柔軟性を備えた生産体制が整えられています。これまでに第一工場、第三工場を稼働させ、多様な分野において顧客の多品種少量生産のニーズに応えてきました。先ごろ、同社が従来より特定の顧客から受注していた特殊な化学品についての生産量が増大したことへの対応を目的に、第二工場と呼ばれる新たな生産施設の設置に取り組みました。

長きにわたって生産を支えてきた高度な信頼性と使い勝手を評価

生産現場に設置されたHarmonasの運転管理用端末。現場担当者は、この画面上で生産設備の状況を確認し、必要な制御を実施する。

生産現場に設置されたHarmonasの運転管理用端末。現場担当者は、この画面上で生産設備の状況を確認し、必要な制御を実施する。

TSSサーバー/クライアントの導入により、オフィスをはじめ生産現場以外の様々な場所で生産状況の監視・制御が行えるようになっている。写真は、応接室からLAN経由で監視・制御画面にアクセスしているところ。画面を参照しながら、顧客との会議を実施するといったシーンも想定している。

TSSサーバー/クライアントの導入により、オフィスをはじめ生産現場以外の様々な場所で生産状況の監視・制御が行えるようになっている。写真は、応接室からLAN経由で監視・制御画面にアクセスしているところ。画面を参照しながら、顧客との会議を実施するといったシーンも想定している。

各種製造装置からの情報の収集、制御を行うためのフィールドコントローラHarmonas-FLeX。

各種製造装置からの情報の収集、制御を行うためのフィールドコントローラHarmonas-FLeX。

年間100種類にも及ぶ製品を顧客ニーズに合わせて小ロットで短期間に生産することが求められる柳井化学工業では、積極的に自動制御を採用せず、手動制御によるきめ細かい製造を行ってきました。手動制御を行うからこそ作業環境において各製造過程の温度などの情報を監視・管理することが求められます。このことから、第二工場の新設に当たっても既存工場のシステム形態を踏襲し、監視用途を主とした「現場の情報を取る目」として協調オートメーション・システム Harmonas™を採用しました。また、各種製造装置の制御と情報の収集を行うフィールドコントローラとして現場分散協調オートメーション Harmonas-FLeX™、さらには複数のPCを用いたマルチクライアント環境での監視・制御を可能にするTSS(Thin client Supervisory Server)サーバー/クライアントを導入しました。

「当社では、1997年に第一工場において製造装置の監視・制御を行うためのシステムとして山武製品を導入し、以来、第一工場、第三工場のDCS※1化、そして両工場のDCS統合などの取組みを通じて、順次システムを拡充してきたという経緯があります。このように10年以上にわたって、当社の生産活動をその高度な信頼性と使い勝手の良さで支えてきた山武製品を新設工場にも採用するというのは、やはり自然な流れであったといえます」(山口氏)

さらに、信頼性の担保という観点で大きな貢献を果たしてきたのが、同社が山武との間で結んでいるISOP(イソップ)年間保守契約※2です。この保守契約を結ぶことにより、定期的な保守に加え、現場で不適合が発生した場合は、24時間365日山武の技術スタッフの派遣と代替品の供給などが行われます。

「定期的な保守が行われるので、機器の劣化に伴うトラブルもほとんど発生していません。以前、突然画面が映らなくなるということがありましたが、電話一本でサービス員が駆けつけてくれました。このような対応からも大きな安心感が得られています」(岩花氏)

一方、使い勝手という面では、ニーズに応じたシステムのカスタマイズが容易に行えるということが重要なポイントとなっています。事実、柳井化学工業では、システム構築や監視・制御画面の変更などは、同社の担当者が対応するという形を取っています。

また、TSSサーバー/クライアントの活用により、生産現場のほかにもオフィスなどの様々な場所で現場の状況や温度変化などのトレンド情報を確認することができます。このことが、同社システムの使い勝手の高さを支えている重要な要因となっています。

例えば、化学品を試作するような場合には、現在の温度やpH値などを随時確認して、処理の微調整を行う必要があり、そうした調整には同社のスタッフや管理職といった相応の経験を持つ人材が当たらなければなりません。従来、現場から離れなければならない場合は、オフィスから現場に電話をかけて状況を確認し、必要な指示を伝えるという形で対応していました。

「TSSの採用により、スタッフや管理職はオフィスに居ながらにしてPCの画面上で現場の状況を詳細に確認し、それに応じた制御をリモートで行うことが可能となりました。これによって、作業の効率性や精度、さらには安全性の向上といった成果が上がっていることは言うまでもありません」(山口氏)

人と自動化システムが協調できる生産体制を目指す

新設された第二工場は、2010年1月に竣工し、本格稼働を開始しています。その中で、既存工場の実績からも評価されていたシステムの信頼性や使い勝手といったメリットも確実に継承されています。

さらに今後はオートメーション(自動制御)を導入しても、機械やシステムにすべて頼るのではなく、人と自動化システムが協調できる生産体制を目指しています。

「今回の第二工場では、特定の化学品をある程度、長期的なスパンで生産していくことになることから、自動制御の実現という方向性も有力な選択肢として浮上してきており、現在、検討を進めているところです。そうした局面も含め、山武には今後も効果的な提案とシステム構築の支援を大いに期待しています」(有吉氏)

※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。

用語解説

※1 DCS(Distributed Control System)

工場の生産システムなどを構成する各機器に搭載された制御装置をネットワークで接続し、相互に通信、監視し合う仕組みを提供するもの。分散制御システム。

※2 ISOP(Industrial Services Operation Program)

計装システムを構成するすべての機器についての保守業務を、山武が顧客に代わって実施するプログラム。システムの規模やお客さまの保守体制に合わせて、保守業務を一括で請け負う、緊急保守をサポートする、システムの長寿命化を支援するなどの各種パッケージが用意されている。

お客さま紹介

柳井化学工業株式会社 柳井工場 執行役員 工場長 有吉 裕治氏
柳井化学工業株式会社
柳井工場
執行役員
工場長
有吉 裕治氏
柳井化学工業株式会社 柳井工場 品質管理部 次長 山口 良二氏
柳井化学工業株式会社
柳井工場
品質管理部
次長
山口 良二氏
柳井化学工業株式会社 柳井工場 製造部 施設課 課長 花 和宏氏
柳井化学工業株式会社
柳井工場
製造部
施設課
課長
岩花 和宏氏

柳井化学工業株式会社 柳井工場

柳井化学工業株式会社 柳井工場

柳井化学工業株式会社 柳井工場

  • 所在地/山口県柳井市柳井1582-4
  • 設立/1938年
  • 事業内容/化学品の製造・受託製造及び販売

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2010年04月号に掲載されたものです。

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