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日本トーカンパッケージ株式会社 厚木工場

消費動向の見える化で、法令を遵守する電力削減対策の立案を支援

段ボール・紙器製品の供給により流通を支える日本トーカンパッケージでは、電気事業法第27条に基づく夏季の電力使用制限を契機に、製造現場における電力消費動向の"見える化"に取り組みました。可視化された情報に基づいた電力削減の対策が可能になったことで、政府からの電力使用制限の要件を問題なくクリア。今後のエネルギー全般の見える化に向けた足がかりを築くことにもつながりました。

日本トーカンパッケージ株式会社 厚木工場

日本トーカンパッケージ株式会社 厚木工場

工場・プラント分野 その他(市場・産業) 省エネルギー 運転監視・制御システム&ソフトウェア 調節計(温調計)/記録計

導入製品・サービス

電力需給最適化支援 ENEOPTpers

計装ネットワークモジュールNX

計装ネットワークモジュールNX

震災に伴う電力使用制限を機に電力消費の"見える化"に着手

日本トーカンパッケージ株式会社は、2005年10月に東洋製罐(せいかん)グループのトーカンパッケージングシステムと、日本製紙グループの日板パッケージという包装容器メーカー2社が合併して誕生しました。主力製品である包装用の段ボール・紙器製品は、様々な商品を保護する資材として、流通においてはなくてはならない存在です。

同社の厚木工場は、日本トーカンパッケージが全国に展開する16の工場の1つで、段ボールの中でも厚さ1~1.7㎜のマイクロフルートと呼ばれる薄手の素材を使った紙器を中心とした生産を行っています。同工場が生み出すこうした紙器は、私たちが日々目にする、栄養ドリンク剤や缶ビールのマルチパック用包装箱などをはじめ幅広い領域で用いられています。

厚木工場では、東日本大震災に伴う夏季の電力需給対策として発令された電気事業法第27条を1つの契機として、生産現場における電力消費の"見える化"に着手しました。同法への対策について厚木工場では、同一敷地内で操業するグループ企業の2つの工場とともに、法の適用に際して認可された共同使用制限スキームを利用し、3工場合算で15%の削減を目指し、3工場の休業日を分散させてピーク時電力の削減に向けた対策を実施。併せて、各工場が所定の使用電力の制限値を設け、それを遵守することにしました。

「使用制限の遵守には、現在の使用電力の状況を正確に把握することが不可欠ですが、当時、厚木工場では電力会社との取引用メーターから検針データを取り込み、電力使用量を把握するためのシステムは導入されていたものの、そこで確認できるのはあくまでも過去の実績値にすぎませんでした」(田中氏)

既設社内LANの活用により、短期間での本格稼働を実現

事務所や他事業所など、社内のどこからでもイントラネットを通じてENEOPTpersの閲覧が可能。電力消費動向を速やかに確認できる。

事務所や他事業所など、社内のどこからでもイントラネットを通じてENEOPTpersの閲覧が可能。電力消費動向を速やかに確認できる。

折しも、厚木工場では既存システムが更新時期を迎えていたため、電力のみならず、製造現場で利用されている水や蒸気、エアーといったエネルギー全般の見える化に向けた検討を2010年から開始していました。今回の政府による電力の使用制限を受けて、各種エネルギーの中でもまず電力部分についての対応に先行着手。取組みを支援する見える化システムとして、山武の電力需給最適化支援パッケージENEOPT™pers(エネオプトパース)を導入することにしました。

「採用の決め手となったのは、電力消費の結果だけではなく、需要予測が行えることです。しかも、気温や湿度といった気象データを取り込んで算出するという山武独自の方法により、高精度で信頼できる予測が期待できました」(田中氏)

「また、既に取組みを進めていたエネルギー全般の見える化を実現するため、その調査の一環として2010年に山武の藤沢テクノセンターで開催された省エネ工場見学会に参加しました。そこで山武自身が実践している省エネ活動を目の当たりにしたことも大きかったといえます。そうした活動の中で蓄積されたノウハウが注ぎ込まれているENEOPTpersなら安心だという思いがありました」(東家氏)

厚木工場では、2011年6月20日にENEOPTpersの採用が正式に決定し、工事に当たっては、電力会社との取引用メーターから電力パルスを取得している既存の電力パルス検知器を有効活用し、工事を最小限にとどめています。また、電力パルス検知器に接続した山武の計装ネットワークモジュール NXから専用回線を通じてENEOPTpersの専用サーバーにデータを収集。蓄積される情報の閲覧には既設の社内LANを利用しました。これにより、採用決定から本格稼働まで短期間での導入が実現しました。

省エネルギーに向けた意識醸成にも"見える化"の実現が貢献

ENEOPTpersの導入は、厚木工場が政府による電力使用制限への対応を問題なく乗り切る上で、大きな貢献を果たしました。ENEOPTpersでは、あらかじめ設定された値を超える使用電力が予測された際に、警報をモニタ画面上に表示するとともに、メールで関係者の携帯電話などに送信する仕組みが用意されています。警報を受けた際には、状況に応じて設備の稼働状況を調整するなど、必要な対処を速やかにとることが可能となりました。

「警報メールは、工場長をはじめ各部門の責任者に送信されるようにしています。警報発生時に携帯電話でメールを受け、出張先の他工場から社内LANを介してENEOPTpersにアクセスして状況を確認し、現場に対して必要な処置を速やかに指示することができたという例もあります」(田中氏)

また、ENEOPTpersが見られるパソコンを生産現場に1台設置していますが、現場担当者が日常的にその画面を目にすることで、エネルギーの消費動向への関心も高まり、省エネルギーに対する意識の醸成も図れたといいます。

「省電力のために日々の生産にかかわるピーク時間帯をずらすという対策も行いました。それに伴い従業員の勤務体制も変則的なものとなりましたが、その際にも、ENEOPTpersが収集している電力消費状況についてのデータを、従業員に数値で具体的に示すことで協力についての理解も得ることができました」(東家氏)

2011年夏の政府による電力使用制限は既に終了していますが、これからも厚木工場ではENEOPTpersによる電力消費の見える化に基づく、省電力活動を継続的に進めていく構えです。特に今回の施策の中では政府が設定した電力削減義務も達成しており、今後は設備ごとのエネルギー消費状況の分析および制御も行い、さらなる省電力に向けた最適な生産のあり方を追求していきたいとしています。もちろん、そうしたことが電力会社との契約電力を下げることにもつながり、それによるコストメリットも期待されています。

「今後は、今回の成果を礎(いしずえ)として、当初の予定どおり、電力だけではなく水や蒸気、エアーといったエネルギー全般についての見える化を推進していきたいと考えています。それに向けても、現場での実践の中で培われた豊富なノウハウに基づく山武のソリューションには大いに期待しており、なお一層の積極的な提案を山武には望みたいと思います」(田中氏)

※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。

用語解説

※ 電気事業法第27条(概要)

東京電力、東北電力管内の契約電力500kW以上の大口需要家に対し、電力需要が増加する2011年7月1日~9月22日(東京電力管内)の、平日9時~20時の使用最大電力を、前年の同期間・同時間帯比で15%削減することを要請。

 

お客さま紹介

日本トーカンパッケージ株式会社 厚木工場 製造グループ グループリーダー 田中 友一(ともかず)氏
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製造グループ
グループリーダー
田中 友一(ともかず)氏
日本トーカンパッケージ株式会社 厚木工場 製造グループ 生産技術チーム 東家 亮(とうや あきら)氏
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生産技術チーム
東家 亮(とうや あきら)氏

日本トーカンパッケージ株式会社 厚木工場

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  • 所在地/神奈川県綾瀬市小園841
  • 設立/2005年10月1日
  • 事業内容/段ボール製品、紙器製品の製造

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2012年02月号に掲載されたものです。

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