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イッツ・コミュニケーションズ株式会社

厳密な温熱管理が必要なサーバルームに気流制御を導入、空調機の稼働台数を削減し省電力と最適な温熱環境を実現

安定した回線インフラをベースに高品質なデータセンターサービスを提供するイッツ・コミュニケーションズでは、厳密な温熱管理が求められるサーバルームの省電力対策に着手。綿密な熱気流シミュレーションに基づく気流制御を導入し、サーバルームを利用する顧客向けのサービス品質を維持しながら、サーバルームの空調エネルギーの削減に成功しています。

イッツ・コミュニケーションズ株式会社

イッツ・コミュニケーションズ株式会社

建物分野 データセンター 省エネルギー 安定稼働 データセンター向け環境ソリューション

導入製品・サービス

データセンター向け環境ソリューション AdaptivCOOL

データセンター向け環境ソリューション AdaptivCOOL

震災後の電力使用制限を契機に、サーバルームの省電力化が課題に

都市型ケーブルテレビ局として1987年に開局したイッツ・コミュニケーションズ株式会社(当時、株式会社東急ケーブルテレビジョン、以下、イッツコム)。現在は、東急沿線のエリアを対象に、ブロードバンドネットワークを利用したテレビ、インターネット、電話を三つの柱とするサービスを展開し、地域住民の暮らしに「安心と快適さ」を提供しています。

そうした一般利用者向けサービスを展開する一方、横浜SCC(サーバーコロケーションセンター)をベースに、「iTSCOM.net for Businessハウジングサービス※1」と呼ばれる企業向けデータセンターサービスも手がけています。

サーバ機器や空調設備などを24時間・365日稼働させるデータセンターは、電力消費が大きい施設です。そのため、近年の節電要請の高まりを受け、事業者は何らかの対策が必要となっていました。横浜SCCでも、建物をゴーヤーなどのグリーンカーテンで覆ったり、葦簀(よしず)を利用したり、様々な施策を実施して省電力を進めてきました。

「東日本大震災を契機とする電力事情の悪化を受け、2011年夏季に、ピーク時間帯における電力を前年比で15%削減することを求める法制が発令されました。データセンターは5%削減という規定だったのですが、横浜SCCにはオフィス機能もあったため、一般事務所と同じ15%削減という値が適用されたのです」(名島氏)

顧客の大切なサーバを預かり、厳密な温度を維持し続けなくてはならないサーバルームを運営する横浜SCCにとって、これは、非常に困難な要請でした。そこで、オフィスの空調をやりくりし、さらにオフィスの一部をほかの事業所に移すことで何とか目標をクリアしました。

「それまでもサーバルームの省電力は取り組むべき課題と考えていましたが、お客さまに向けたサービスレベルを維持しなければならないため、なかなか着手できませんでした。この震災後の節電の取組みを機に、サーバルームの省電力は不可欠だとあらためて認識しました。そんなときにアズビル株式会社から提案されたのが、データセンター向け環境ソリューションAdaptivCOOLによる省電力対策でした」(青山氏)

高度なシミュレーションに基づく、合理的な提案に大きな説得力

早速、イッツコムではAdaptivCOOLの採用を決定しました。導入の大きな決め手になったのが、アズビルが示した熱気流解析の事例紹介でした。

それまでイッツコムでは、13台あるすべての空調機をフル稼働させて、サーバルーム内を一定の温度に維持していました。しかしそれでも、システムの稼働状況によっては、サーバルーム内に部分的な熱だまりが発生することがあり、そこに扇風機を置いて気流を調整し、熱だまりを解消していたといいます。

「アズビルの提案は、熱気流シミュレーション※2を用いてサーバルーム内の温熱環境を温度ごとに色分けして分かりやすく可視化し、問題のある部分を特定します。熱のたまりやすい部分に効率よく風を送るように気流制御を施し、最小限の空調機で温度ムラをなくし、サーバルーム内を一定の温度で維持する、という非常に合理的なもので説得力がありました」(青山氏)

「また、アズビルは提案した手法を用いることで、具体的にどれくらいの期間で、どの程度のコスト削減が可能か、具体的な数値で自信をもって提案してくれました。これも採用の大きな決め手になりました」(名島氏)

サーバルーム内の各所に設置されている床冷却ファン(グリルパネルの下)。その配置は、アズビルの熱気流シミュレーションに基づく分析により決定されており、二つのサーバルームに計34台のファンが設置されている。

サーバルーム内の各所に設置されている床冷却ファン(グリルパネルの下)。その配置は、アズビルの熱気流シミュレーションに基づく分析により決定されており、二つのサーバルームに計34台のファンが設置されている。

グリルの下に設置されている床ファン HT-410。

グリルの下に設置されている床ファン HT-410。

気流制御による空調機の最適運転で省電力と熱だまりの解消を実現

熱気流シミュレーション実施後、AdaptivCOOLの導入工事を経て、2012年3月から新たな空調環境でのサーバルームの運用が開始されました。室内の気流を適正にコントロールすることで空調機13台のうち5台を停止させ、残り8台で700m²のサーバルームの最適な温熱環境を実現。熱だまりの問題を解消したのです。さらに、データセンターの空調はサーバの安定稼働を実現するために24時間・365日稼働しています。5台の空調機を停止させることができたことは、省エネ効果にも大きく貢献しています。それに加え、バックアップ用空調機を確保できるという利点にもつながりました。

「AdaptivCOOLを導入したことで、安定した温熱環境が維持され、システムを安心して運用できるようになったことは、弊社の大きなアピールポイントとなっています」(岩田氏)

その後、これらの成果を高く評価したイッツコムでは、別フロアのサーバルームにもAdaptivCOOLを導入。2013年3月から稼働を開始しました。この150m²のサーバルームでは、4台稼働していた空調機のうち2台を停止しながらも、室内の温熱環境を維持することができています。

しかし、サーバルームの温熱環境は、サーバ機器の入れ替えなどを行うたびに変化していきます。そこで、イッツコムでは、アズビルとの間でAdaptivCOOLにかかわる保守契約を締結しました。機器の保守を行うと同時に、熱気流解析を含む診断を行ってサーバルームの温度状況をレポート。必要に応じて対策を講じて、常に温熱環境を維持していける体制を整えています。

「これからも当社では、サーバルームだけではなく、オフィス環境も含めたさらなる省電力、省エネルギーを強力に推進していきます。今後もアズビルには、持ち前の技術力とノウハウを活かし、我々の取組みを支援してくれる提案を大いに期待しています」(名島氏)

顧客から預かったサーバを設置するラック(手前)とサーバから出る熱を冷却するための空調機(奥)。

顧客から預かったサーバを設置するラック(手前)とサーバから出る熱を冷却するための空調機(奥)。

ラック上部には温度センサが取り付けられている。

ラック上部には温度センサが取り付けられている。

※AdaptivCOOLは、Degree Controls社の商標です。

用語解説

※1 ハウジング

利用者のサーバ設備やネットワーク機器などの設置場所をデータセンター内に提供するサービス。

※2 熱気流シミュレーション

数値流体力学によるコンピュータシミュレーション。アズビルのノウハウと併せてサーバルーム内の熱だまりの状態をシミュレーションする。

お客さま紹介

イッツ・コミュニケーションズ株式会社 技術本部 技術・ソリューション部 部長代理 名島 正彦氏
イッツ・コミュニケーションズ株式会社
技術本部
技術・ソリューション部
部長代理
名島 正彦氏
イッツ・コミュニケーションズ株式会社 技術本部 技術・ソリューション部 電気設備チーム マネージャー 岩田 健治氏
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技術本部
技術・ソリューション部
電気設備チーム
マネージャー
岩田 健治氏
イッツ・コミュニケーションズ株式会社 技術本部 技術・ソリューション部 電気設備チーム 青山 厚夫氏
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技術本部
技術・ソリューション部
電気設備チーム
青山 厚夫氏

イッツ・コミュニケーションズ株式会社

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イッツ・コミュニケーションズ株式会社

  • 所在地/東京都世田谷区玉川2-21-1 二子玉川ライズ・オフィス9F(本社)
  • 設立/1983年3月2日
  • 事業内容/一般放送事業、電気通信事業、情報システムに関するサービス提供・開発およびコンサルティング事業など

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2013 Vol.5(2013年10月発行)に掲載されたものです。

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