SK energy Co., Ltd.
生産の監視・制御プロセス統合により、運転効率向上と人的リソースの最適配置を実現
韓国最大の総合石油&石油化学会社として知られるSK energy(エスケー エナジー)。同社では、生産現場における運転効率化と人的リソースの最適配置の実現を目指し、石油化学製品の生産にかかわる監視・制御プロセスの統合化を実施。その結果、運転員1人当たりが監視・制御できる範囲が大幅に拡大。より少ない人員での運転が可能となり、所期の目的を達することができました。

SK energy Co., Ltd.
工場・プラント分野 石油・石油化学 安定稼働 稼働改善 海外 運転監視・制御システム&ソフトウェア
導入製品・サービス

製造現場での運転効率化を目的に、監視・制御プロセスの統合化を推進
SK energy Co., Ltd.は、1962年に国営企業として設立された大韓石油公社に起源を持つ、韓国最大の総合石油&石油化学会社です。ガソリン、灯油、液化石油ガス(LPG)などの石油製品に加え、合成樹脂やスチレンモノマー、エチレンなど、多様な石油化学製品をグローバルな市場に供給しています。また近年では、地球温暖化防止の観点から急速に高まるCO2排出削減の要請に応えるべく、太陽電池やリチウムイオン電池といったクリーンエネルギーの分野でも積極的に事業を展開。例えば、同社の提供するリチウムイオンバッテリーは、日本の商用車メーカーの生産するハイブリッドカーにも採用されるなど、その高度な品質で幅広い市場のニーズに応えています。
SK energyでは、ここ数年来、生産にかかわる監視・制御プロセスの統合化を推進するという取組みを全社規模で展開しています。
「最大の狙いは、生産現場での運転を効率化し、人的リソースの最適配置を可能にすることにあります。当社がグローバル市場において競争力を維持・強化していく上で、そのことがまさに不可欠な要素であると捉えているのです」(Kang氏)
2008年ごろにはその一環として、DCS※の老朽化に伴う更新を契機に、従来、複数のベンダーのDCSで監視・制御していた3つの生産設備を、単一ベンダーのDCSに統一、オペレータインタフェースを統合化することを決定しました。具体的には、ヘプタン、ベンゼン/トルエン/キシレン、パラキシレンという3つの石油化学製品の生産にかかわる、監視・制御プロセスの統合化を目指すことにしたのです。
過去の実績に基づく信頼感と将来に向けた柔軟な拡張性が決め手
プロジェクトの立ち上げに当たり、SK energyでは当該の3つの生産設備にDCSを供給していた各ベンダーに提案を依頼。各社の提案内容を綿密に検討した結果、今回のプロジェクトのパートナーとして選定されたのが山武の現地法人 アズビル韓国(AKR)でした。
「当社では、30年以上も前からDCSをはじめとする山武の製品を、様々な生産設備において採用してきたという経緯があります。そうした実績を通して、我々は山武製品に対して非常に堅牢で壊れにくいという印象を強く抱いており、また山武やAKRの各担当者のワークマンシップ(働きぶり)についても高く評価していました。さらに、AKRがプラントのある蔚山(ウルサン)にオフィスを構えており、常にスピーディな対応が期待できることも、今回、AKRをパートナーに選定した重要な決め手となりました」(Park氏)
「具体的な提案内容に関しても、これまで利用してきたコントローラやオペレータのスキルといった既存資産をそのまま活用できること、そして何よりも、将来的に当社が目指すさらなる生産プロセスの統合化に向けた拡張性がしっかりと確保され、そのための具体的なロードマップが示されていることなどがAKR採用の評価ポイントとなりました」(Noh氏)

計器室内にラウンド状に配置されたAdvanced-PS™ APS5000。中央ですべてのモニタが見渡せるので、どこで何が起きているのか容易に確認できる。

監視・制御画面には、Windowsベースのヒューマンマシンインタフェース IOUS 500を採用。大型の液晶ディスプレイを用いるとともに、上下2段に重ねるなどディスプレイの設置にも工夫を施し、運転員1人当たりの監視・制御範囲や情報量を劇的に拡大している。
ソリューションプロバイダとして将来にわたる提案・支援を期待

第1アロマティクス製造チーム 部長 Seo Hyun Joo氏。「グレーの背景色で構築された監視・制御画面は、視認性にも非常に優れ、高齢のオペレータの目にも優しいのが特長。現場オペレータからも好評です」(Joo氏)
システムの構築は、2009年10月にAKRの採用が決定した直後から着手。老朽化したDCSを高度情報統合生産システム Advanced-PSに更新。これまで個別に実施していた3つの設備の監視・制御を1つの新システムに統合し、2009年11月に稼働を開始しました。
今回、統合化された新しいオペレータインタフェースであるIOUS™500を採用することにより、表示可能な情報量が従来に比べ3~4倍程度増えました。加えて、モニタ2台を上下に設置するなど物理的な配置についての工夫を施すなど、画面による監視のしやすさも徹底的に追求しています。
「特にAKRの提案に基づき、監視・制御画面の背景色にグレーを採用したことの成果は絶大で、視認性が想像していた以上に向上しました。担当のオペレータだけではなく、計器室の中央にいる責任者の位置からでも容易に設備や製造の状況を確認できるようになりました」(Noh氏)
「これらの施策の結果、運転員1人当たりが監視・制御可能な範囲やループ数が劇的に拡大し、より少ない人員での運転が可能となりました。こうした成果が、当社の目的であった生産現場の運転効率化と人的リソースの最適配置の実現に大きく寄与しています」(Park氏)
今後SK energyでは、今回構築したシステムをベースに、さらなる製造プロセスの統合化に向けてシステムを進化させていくことになります。
「そうした中で、運転支援自動化パッケージ Knowledge Power™やイベント情報解析ツール アラームアナリスト™といった優れた運転支援パッケージなども積極的に活用していければと考えています。AKRには今後も、顧客が満足するまで徹底的に仕事をやり遂げるというそのスタンスを貫きながら、単なるシステムのサプライヤではなく、ソリューションプロバイダとして、当社の取組みを強力に支援していってほしいと考えています」(Kang氏)
※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。
用語解説
※ DCS(Distributed Control System)
分散制御システム。工場の生産設備などを監視制御するための専用システム。構成する各機器がネットワーク上で機能を分散して持つことで、負荷の分散化が図れ、安全でメンテナンス性に優れている。
お客さま紹介

計器1チーム
部長
Min Ku Kang氏

化学製品設備技術
管理チーム
部長
Jeong Won Park氏

計器1チーム
エンジニア
Dong Joo Noh氏
SK energy Co., Ltd.

SK energy Co., Ltd.
SK energy Co., Ltd.
- 所在地/110, Kosa-dong, Nam-gu,Ulsan 680-130, Korea
- 設立/1962年10月
- 事業内容/石油製品、石油化学製品の製造、販売、流通
この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2010年09月号に掲載されたものです。