電力需給最適化支援 ENEOPTpers
国立大学法人 室蘭工業大学
大学の電力消費をリアルタイムで“見える化”し
教職員・学生の省エネマインドを醸成する
国立の理系単科大学として知られている室蘭工業大学。同大学は、水道光熱費の中でも特に大きな割合を占める電力の削減を展開するため、電力消費動向の“見える化”システムを導入しました。学内の教職員や学生はスマートフォンなどでWebサイトを介してリアルタイムに電力消費動向が見えるため、電力使用や省電力に対する関心を高めることができました。さらに、電力消費のピークとなる冬場を通しての省電力効果が大いに期待されています。

国立大学法人 室蘭工業大学
工場・プラント分野 その他(市場・産業) 省エネルギー 運転監視・制御システム&ソフトウェア
導入製品・サービス
建物管理システム savic-net EV model30
大学全体での省電力の推進には“見える化”システムの導入が不可欠

中央監視システムとして導入されているsavic-net EVmodel30。
支笏洞爺(しこつとうや)国立公園に隣接した自然豊かなものづくりの街、北海道室蘭市にキャンパスを構える室蘭工業大学。「創造的な科学技術で夢をかたちに」という理念の下、国立の理系単科大学ならではの特色を活かした、科学技術を中心とする教育と研究を展開し、社会で活躍する技術者・研究者を送り出しています。
同大学は、2009年に北海道環境マネジメントシステムスタンダード(HES)※1のステップ2の認証を取得するなど、環境保護・改善に向けた取組みを積極的に推進しており、その一環として電力削減活動にも注力してきました。
「本学は、省エネ法で特定事業者の指定を受けており、管理標準を定めて毎年1%のエネルギー削減を義務付けられています。大学の水道光熱費の中でも、電力の占める割合が特に高いため、東日本大震災に起因する夏冬の節電要請もあり、電力の削減活動をいかに大学全体で展開していくかが重要なテーマとなっていました」(永井氏)
10年ほど前にアズビル株式会社の建物管理システム savic-net™EVを導入し、以来、中央監視システムとして運用してきました。その中で、savic-net EVのデマンド(最大需要電力)制御機能を利用して、電力消費がデマンド契約値に近づくと学内に自動放送される仕組みを作り込んでいました。
「放送が流れた際には、それを聞いた教職員や学生が、使っていない機器や不要な照明などの電源を切るという対応を取るわけですが、彼らにしてみれば、どれだけデマンド値をオーバーしそうなのか、どれくらい節電をすればいいのかということが明確には分かりません。そこで、現在の電力消費状況を、管理者だけではなく、学内にいる様々な人たちに知ってもらうための“見える化”の仕組みが不可欠であると考えました」(江藤氏)
まさに“いま”の消費動向をほぼリアルタイムに参照できる
そこで室蘭工業大学では、電力消費を可視化するためのシステムの導入を検討。数社のベンダーに提案を依頼しました。そして、機能やコストなどを総合的に検討し、最終的に選定したのがアズビルの電力需給最適化支援パッケージ ENEOPT™pers(エネオプト・パース)でした。
「他社が30分から1時間後にエネルギー消費の“結果”を表示するというシステムであったのに対し、アズビルの提案では、“いま”の消費動向をほぼリアルタイムに見せてくれるということが特徴的でした。しかも、情報はWebで確認できるということで、その点も専用のシステムにログインして管理者用の画面で情報を閲覧しなければならない他社の提案とは大きく違っていました」(江藤氏)
加えて、選定の大きな要因となったのが、既存のsavic-net EVで監視をしている電力の計測ポイントをそのまま活かして、そこからの計測データをENEOPTpersに取り込めることでした。これなら、システムの導入に合わせて、一からポイントを新設する必要がなく、コストや手間、工期を大幅に削減できたからです。
室蘭工業大学が、ENEOPTpersの導入を正式に決定したのは2012年12月。その後、導入作業が進められ、2013年3月にシステムが稼働開始しました。その際、savic-net EVに電力データを送信する計測ポイントも増設。それまでの敷地単位で行っていた電力消費管理を、建物ごと、棟ごとに行えるようにしました。

施設グループに設置されたENEOPTpersの画面。学校全体の電力消費動向が分かりやすく可視化されている。また、ENEOPTpersの導入により、電力レポートの作成も従来に比べて格段にスピーディに行えるようになった。

室蘭工業大学のホームページ。左下部分に現在の電力使用状況や目標電力など、ENEOPTpersから抽出した情報が画像化されて埋め込まれている。
電力消費のピークとなる冬季を通して、大きな省電力効果を期待
“見える化”については、建物管理者はもちろん、教職員や学生など、誰もがWebを利用することでENEOPTpersの情報を見られるようになっています。また、同大学公式サイトのトップページの一部に、現在の学内電力使用状況や目標電力など、ENEOPTpersから抽出した情報を表示。学外からアクセスする人にも情報を提供しています。
「トップページの情報については、学外の閲覧者には単なる画像として表示していますが、学内からアクセスした場合には、画像をクリックするとENEOPTpersの画面に移動し、前日、当日、翌日の実績値や予測値などの詳細な情報を参照できるような工夫も施しています。また、学内であれば各自のスマートフォンからも同様の情報を見られる仕組みを構築しています」(江藤氏)
「電力の消費動向を学校全体に向けて“見える化”したことで、教職員や学生の電力使用や省電力に対する関心は確実に高まっています。システムの導入後、各学科や研究科、あるいは研究室、そして個々の職員や学生らの自発的な取組みを促すきっかけとなり、電力消費がピークとなる冬場を通して、高い省電力効果が得られるものと大いに期待しているところです」(栗林氏)
今後、室蘭工業大学では、ENEOPTpersが提供する電力消費の“見える化”をベースに学校全体での省電力、省エネ意識を高めていくことで、さらなる電力・エネルギーの消費削減につなげていきたいとしています。
「それに向けては、電力の計測・管理をより細かい単位で行えるよう、計測ポイントの追加なども順次進めていくことになります。さらに、電力だけではなく、ガスや水道の“見える化”も実現していければと考えています。これからもアズビルには、省エネルギー全般にかかわる良きアドバイザーとして、本学の取組みを支援していってもらえるよう期待しています」(永井氏)
用語解説
※1 北海道環境マネジメントシステムスタンダード(HES)
国際規格ISO14001を基本に、多くの中小企業や各種団体などの組織が容易に取り組める環境マネジメント規格として、一般社団法人北海道商工会議所連合会を中心に構築されたもの。ISO14001を簡素化したステップ1と、ISO14001相当のステップ2という2つのレベルが設けられている。
お客さま紹介

施設グループ(施設課)
マネジャー
(課長)
永井 雅彦氏

施設グループ(施設課)
コーディネーター(補佐)
栗林 幸徳氏

施設グループ(施設課)
電気ユニットリーダー(係長)
江藤 祥太氏
国立大学法人 室蘭工業大学

国立大学法人 室蘭工業大学
- 所在地/北海道室蘭市水元町27-1
- 設置/1949年5月31日
- 大学概要/工学部(昼間コース:4学科、夜間主コース:2学科)、大学院工学研究科(博士前期課程:7専攻、博士後期課程:5専攻)
この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2013 Vol.6(2013年12月発行)に掲載されたものです。