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山口朝日放送株式会社

熱源設備の更新ときめ細やかな省エネ施策により
大幅な省エネルギーとコスト削減を実現

山口県をサービスエリアとするテレビ朝日系列のテレビ局として知られる山口朝日放送。同社では、環境省、及びNEDOの省エネ対策事業にかかわる補助金を活用して、本社社屋の熱源設備の更新をはじめとする省エネ施策に着手。運用開始後3カ月で当初の目標を大幅に上回る約19%の省エネ率を達成するとともに、空調の運用改善で効果を上げ、経費削減も実現しました。

山口朝日放送株式会社

山口朝日放送株式会社

建物分野 その他(市場・産業) 省エネルギー エネルギーマネジメント 稼働改善 老朽化対策 中央監視システム バルブ(電動弁)・操作器 建物のエネルギーマネジメント

導入製品・サービス

社会的責任を全うすべく環境問題に真摯に取り組む

山口朝日放送株式会社は、2008年10月に開局16年目を迎えた、山口県をサービスエリアとするテレビ朝日系列のテレビ局です。キー局制作の番組放映のほか、地元向けニュース番組や情報番組の制作・放映や、各種関連イベントの主催、共催に当たるなど、地域密着型の事業を展開しています。

その一方で同社は、テレビ局という社会的に責任ある立場から、環境問題への取組みを真摯に実践している企業としても知られています。社内横断のプロジェクトチームを立ち上げ、週1回のノー残業デーや月1回のノーマイカーデーを実施したり、社屋の窓面周囲にゴーヤの苗を植えて"緑のカーテン"を育てるといった活動を展開するなど、様々な面で全社一丸となった省エネ施策を推進しています。

そうした取組みの一環として、先ごろ、地上3階建、延床面積3251m2の本社社屋の熱源設備の更新をはじめとする省エネ施策を実施しました。

「直接の契機は、開局時に設置した熱源設備の能力が経年劣化によって低下してきていたことです。加えて、重油を燃料とする熱源機器を使っていたことから、原油価格の高騰によってコスト面での負担も増大していました」(長谷川氏)

「特に放送局の場合、数多くの放送機器が24時間稼働している上、2003年ごろからは、従来の機器に比べて排熱量が大きい地上デジタル放送対応の機器の導入が進んでいます。その結果、中小規模の建物でありながら大規模ビルと同等のエネルギー使用量がありました」(中嶋氏)

設備更新だけではない省エネ施策提案が決め手に

流量計測制御機能付電動二方弁ACTIVAL。各フロアに設置された空調機ごとの冷水/温水の流量を計測することで、実際に必要な量だけの冷水/温水を作る、自動制御の要となる機器。

流量計測制御機能付電動二方弁ACTIVAL。各フロアに設置された空調機ごとの冷水/温水の流量を計測することで、実際に必要な量だけの冷水/温水を作る、自動制御の要となる機器。

守衛室に設置された中央監視装置savic-net FX。このモニタ画面を通して、社屋内の空調・熱源設備の状況を集中的に把握できる。

守衛室に設置された中央監視装置savic-net FX。このモニタ画面を通して、社屋内の空調・熱源設備の状況を集中的に把握できる。

こうした課題を解消するため、山口朝日放送では、まず熱源設備のみの更新を念頭に、2007年7月、数社に対して提案を依頼しました。

その際、山武は熱源設備更新だけではなく空調計装の見直しも視野に入れたビル全体の省エネ施策を行うことで、より高い省エネ効果が得られるという提案を行いました。しかし、ビル全体の設備・計装を見直すとなると、当然、投資額も大きく膨らみ、当初計上していた予算では賄いきれないという問題が発生しました。これについても山武は、NEDO※1の『住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業(BEMS※2導入支援事業)』を活用し、工事費用の1/3を補助金として受給する方法を提示しました。検討の結果、当初考えていた熱源設備更新だけではなく、唯一、補助事業を活用する山武の提案を採用。改めて補助事業申請のための準備を進めました。また山武は、さらにきめ細かい省エネ対策を施すことで環境省の『温室効果ガスの自主削減目標設定に係る設備補助事業』へも申請を行い、同社の負担が最小限に抑えられる方法を提案しました。

そこで山口朝日放送は、まず、環境省の補助事業について山武を共同事業者に選定し申請を行いました。

「山武の省エネルギーに対するノウハウをベースに、山口朝日放送と山武の協働により具体的な省エネ施策メニューを決定しました」(長谷川氏)

NEDOの補助事業については採択後、こちらも山武が受注することとなりました。そして2008年10月には、省エネルギーのための設備工事が開始される運びとなったのです。

まず、省エネ施策としては、従来の重油焚(だき)熱源機器から電気式の高効率ヒートポンプチラー※3や高効率電気ボイラに置き換え、空調に関するCO2削減とエネルギー効率の向上を図りました。また、社屋の外壁を覆うガラス部分に遮光フィルムを導入して、太陽光による屋内の温度上昇を抑制するという対策も実施。併せて、ダウンライトを省電力型のLEDに換えるなど、各側面から数々の工夫を凝らしました。

「遮光フィルムの導入により、体感でその温度差の効果を実感しています」(長谷川氏)

またエネルギー管理に関しては、中央監視装置を従来のシステムから建物管理システム savic-net™ FXに更新するとともに、流量計測制御機能付電動二方弁 ACTIVAL™(アクティバル)を新たに導入。各フロアに設置された空調機ごとの冷水/温水の流量を計測しながら、実際に必要な量だけの冷水/温水を作ることを実現するなど、先進的な対応が随所に施されています。

「改修工事に際しては、騒音や停電など、放送事故につながるような事態にならないように、事前に綿密な計画を立てて実施しました。おかげで、2009年3月末までに両補助事業の工事を無事故のうちに完了できました」(中嶋氏)

熱源設備の電化で増大が予想された電力消費量が逆に大幅削減

口朝日放送では、一連の環境問題への取組みが、自社の社会的な企業イメージの向上につながったことを高く評価。今回の省エネ施策、補助事業の申請を支援した山武に対して感謝状を贈った。山口朝日放送の増田信二社長(中央)と山武のスタッフ。

山口朝日放送では、一連の環境問題への取組みが、自社の社会的な企業イメージの向上につながったことを高く評価。今回の省エネ施策、補助事業の申請を支援した山武に対して感謝状を贈った。山口朝日放送の増田信二社長(中央)と山武のスタッフ。

山口朝日放送では、設備更新後の2009年4~6月の実績として、NEDOの補助事業申請時に掲げたエネルギー削減率4.16%を大幅に上回る18.93%を達成しました。また、環境省の補助事業については、年間318tのCO2削減を見込んでいます。このことは、コスト面での大きな成果にもつながっています。

「重油から電気へのエネルギー転換を行った分、電気使用量は増えるだろうと予想しましたが、逆に前年比20%削減という成果が得られました。高効率の熱源機器導入や空調機単位での流量計測による冷水/温水の自動制御が効果を上げているものと考えます。また、熱源機器の電化により冷却塔が撤去されたため、そうした効果は水道代や設備のメンテナンス費用削減にもつながりました。さらに空調制御の運用改善も功を奏し、コスト全体で見れば37%以上の削減が実現できました」(長谷川氏)

今回の山口朝日放送の熱源設備更新をはじめとする省エネルギーの取組みは、放送業界としては初の先進的な活動として注目を集めています。今後、同社では、今回得られた成果をベースにさらなる省エネ施策を積極的に展開していく考えです。「そうした我々の取組みを、スポンサーをはじめとする外部の企業の皆さまに広く告知し、環境問題への対応を呼びかけていくというのも放送局としての重要な使命だと捉えています」(長谷川氏)

「常に新たな省エネ施策にチャレンジしていくことは、我々にとって不可欠です。この分野における山武の豊かな知見が、今後も長きにわたって当社を強力に支援してくれるものと大いに期待しています」(中嶋氏)

※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。

用語解説

※1 NEDO

独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

※2 BEMS(Building and Energy Management System)

ビルや工場、地域冷暖房といったエネルギー設備全体の省エネルギー監視・制御を自動化し、建物全体のエネルギー消費を最小化するシステム。

※3 ヒートポンプチラー

冷媒の冷凍サイクルを利用し、蒸発時に水が周囲から熱を奪う作用を冷房に、冷媒が凝縮する際に放出する熱を暖房や温水に利用する設備。

 

お客さま紹介

山口朝日放送株式会社 総務局 経理部長 長谷川 正氏
山口朝日放送株式会社
総務局
経理部長
長谷川 正氏
山口朝日放送株式会社 技術局 技術部 主任 中嶋 健聖氏
山口朝日放送株式会社
技術局
技術部
主任
中嶋 健聖氏

山口朝日放送株式会社

山口朝日放送株式会社

山口朝日放送株式会社

  • 所在地/山口県山口市中央3-5-25
  • 設立/1992年11月20日(1993年10月1日開局)
  • 事業内容/テレビ放送事業、放送番組・各種映像ソフトの企画・制作・販売、イベント事業の企画・運営

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2009年11月号に掲載されたものです。

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