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AGF鈴鹿株式会社

エネルギー利用の“見える化”により生産現場での省エネ対策を大きく加速

AGFブランドのコーヒー商品の生産で知られるAGF鈴鹿では、ますます高まる省エネルギーへの要求に対して、工場内で使われる蒸気やエアの消費動向の“見える化”に着手しています。その結果、これまで年単位でしか集計できなかったエネルギー使用量を月次や日次で捉えることが可能となり、生産現場での問題点の早期把握とその改善策の実施スピードアップを実現しました。

AGF鈴鹿株式会社

AGF鈴鹿株式会社

工場・プラント分野 食品 省エネルギー 運転監視・制御システム&ソフトウェア 流量計

3カ年計画に基づいてエネルギーコスト削減を推進

AGF鈴鹿がメイン工場として生産している、AGFの主力商品群

AGF鈴鹿がメイン工場として生産している、AGFの主力商品群

AGF鈴鹿株式会社は、AGF(味の素ゼネラルフーヅ株式会社)の生産関係会社として、「お客様に常に自信を持って商品提供できる安心品質の実現」を基本方針に、AGFブランドである「マキシム」や「ブレンディ」のレギュラーコーヒーやボトルコーヒー、インスタントコーヒー、スティックコーヒーなど各種コーヒー商品を製造しています。

AGFでは、商品開発から消費者に商品が届くまでのバリューチェーン全体において、地球環境の保全に配慮した取組みを展開しています。インスタントコーヒーやクリーミングパウダー商品分野においては、袋入り詰め替えタイプを業界に先駆け発売し、2009年6月にはエコマークを取得しています。

AGFの2009~2011年度3カ年計画では、地球環境の保全に配慮した取組みとして大幅なエネルギー削減を実施することになりました。このため主要生産拠点であるAGF鈴鹿では、それまでにも増して省エネルギーの推進が必要となりました。

エネルギーの見える化から着手し、確実な省エネ効果を蓄積する

プラント内のあらゆる場所から蒸気やエアの情報を中央管理室に設置されたHarmonasに集約し見える化を実現。

プラント内のあらゆる場所から蒸気やエアの情報を中央管理室に設置されたHarmonasに集約し見える化を実現。

AGF鈴鹿では、省エネ法などの社会的情勢の高まりや燃料コストの高騰などを背景に、AGF鈴鹿の前身であるAGFの鈴鹿工場時代から省エネルギーの取組みを進めてきました。鈴鹿工場は、1970年に竣工した工場であるため、電気配線や配管系統は新旧が混在し、分かりにくい状況となっていました。そこで、省エネルギーを推進するために、経験豊富な外部会社の協力を求めることにしました。

「省エネルギーを進めるためのパートナーとして、以前からAGF鈴鹿に各種計器やDCS※1などの監視・制御システムを導入し、現場を知っている山武を選定しました。省エネ診断の結果、エネルギー利用の可視化(見える化)が不十分であるという指摘を受けました」(山下氏)

今回、AGFでの3カ年計画を受け、AGF鈴鹿ではこれまでの見える化の取組みをさらに前進させることが重要であると捉え、まず2010年1月の定修※2に合わせて、蒸気とエアの利用に関する見える化を実施することにしました。

「蒸気は、コーヒー豆からコーヒーを抽出する際に必要となる温水の製造などに利用します。また、エアは生産機械や包装機械の駆動に利用しており、工場内で使用している電気エネルギーの中で非常に大きな部分を占めています。言い換えれば、これらのエネルギーについての省エネルギーを図ることができれば、それだけ大きな効果が得られるわけです」(乾氏)

工場内の蒸気流量計は、25年以上経過して老朽化した計器が多く精度に課題があったため、これらの老朽化した流量計を優先的に山武の蒸気流量計 STEAMcube™(スチームキューブ)に更新しました。STEAMcube選定のポイントは、設置場所の制約を受けにくい点でした。エアについても同様に老朽化した流量計を、エア管理用フローメータ AIRcube™(エアキューブ)に更新しました。同時に使用量が多いと思われる数カ所に新たに流量計を導入し、すべてのSTEAMcube、AIRcubeのデータを、生産設備の集中監視・制御用として活用している山武の協調オートメーション・システムHarmonas™で収集し、見える化できる仕組みを構築しました。

「既存の流量計は過去の生産設備の能力に合わせて選定されていたので、現在の生産能力には合わないものが多い状態でした。新たに流量計を導入する場合には、レンジなどの仕様も改めて検討し直さなければなりません。これに対して山武は、生産現場に精通した豊かな知見を活かして最適な仕様の製品を提案してくれました」(乾氏)

殺菌機への蒸気送出パイプに設置された<br />蒸気流量計STEAMcube。

殺菌機への蒸気送出パイプに設置された
蒸気流量計STEAMcube。

コンプレッサ出口に設置されたエア流量計AIRcube。生産ラインで使用しているエアの流量管理を行っている。

コンプレッサ出口に設置されたエア流量計AIRcube。生産ラインで使用しているエアの流量管理を行っている。

日々発生する問題点の早期把握と改善施策のスピードアップを実現

以上のような取組みの結果、AGF鈴鹿の生産現場では、省エネ成果が出始めています。

「現在では、電気、蒸気、エアのエネルギー使用量データが自動で収集され、Harmonas上で分かりやすく確認できるようになりました。その結果、日々発生している問題点の把握や、その改善に向けた対応も速やかに行えるようになりました。収集された情報はHarmonasからCSVデータとして取り出すことも可能なので、社内でのデータ共有や会議資料の作成時などの手間がかからなくなりました」(藤川氏)

蒸気、エアの見える化と同時に、都市ガス使用量についても、それまでの現場表示のみの計器から2011年1月に山武の流量計を新たに導入、Harmonasへデータを取り込むことによって見える化を実現しました。これら一連の見える化をベースとした取組みの結果、2010年度には前年度比で7%のエネルギー(原単位)が改善されました。

「これまで作業負荷の観点から1年に1度という形でしかできなかったエネルギー使用量の集計が、見える化の実現により月次、日次で行えるようになったことが大きく省エネ効果の実現に貢献したと思います。見える化を進めてきましたが、まだまだ不足していると思っています。今後も継続して見える化を行い、より細かくリアルタイムにエネルギー使用量を把握することで、さらなるエネルギー効率改善のための仕組みを構築していきたいと考えています。こうした仕組みには、省エネルギーに対する個人の意識改革も含めて検討したいと考えており、山武にはますます積極的な提案を期待しています」(山下氏)

※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。

用語解説

※1 DCS(Distributed Control System)

分散制御システム。プラント・工場の製造プロセスや生産設備などを監視・制御するための専用システム。構成する各機器がネットワーク上で機能を分散して持つことで、負荷の分散化が図れ、安全でメンテナンス性に優れている。

※2 定修

各種生産施設やプラントで定期的に実施される大規模な点検・修理作業。定期修理。

お客さま紹介

味の素ゼネラルフーヅ株式会社 生産技術戦略部 鈴鹿エンジニアリンググループ AGF鈴鹿改善グループ (兼務) 主査 乾 比呂志氏
味の素ゼネラルフーヅ株式会社
生産技術戦略部
鈴鹿エンジニアリンググループ
AGF鈴鹿改善グループ
(兼務) 主査
乾 比呂志氏
AGF鈴鹿株式会社 第二製造部 エネルギー管理 グループ 統轄マネージャー 山下 昭二氏
AGF鈴鹿株式会社
第二製造部
エネルギー管理グループ
統轄マネージャー
山下 昭二氏
AGF鈴鹿株式会社 第二製造部 エネルギー管理グループ エネルギー管理係 藤川 徹也氏
AGF鈴鹿株式会社
第二製造部
エネルギー管理グループ
エネルギー管理係
藤川 徹也氏

AGF鈴鹿株式会社

AGF鈴鹿株式会社

AGF鈴鹿株式会社

  • 所在地/三重県鈴鹿市南玉垣町6410
  • 設立/2006年4月1日
  • 事業内容/レギュラーコーヒー、インスタントコーヒー、ボトルコーヒーなどの製造・包装

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2011年06月号に掲載されたものです。

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