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東京ガス株式会社

地震発生に備えた防災システムの構築で、ガス供給にかかわる「安全・安心・信頼」を追求

首都圏を中心とした地域への都市ガスの供給を通じて、住民の豊かな暮らしや産業の発展を支える東京ガス。供給エリア内に設置された4000カ所の地区ガバナすべてに地震センサを設置し、地震発生時におけるガス供給の自動停止や遠隔操作による遮断を実現する仕組みを構築しました。その結果、同社が目指すガスの供給における「安全・安心・信頼」の追求を大きく前進させています。

東京ガス株式会社

東京ガス株式会社

工場・プラント分野 電力・ガス 安全・安心 スイッチ/センサ

導入製品・サービス

都市ガスの継続的安定供給に向け、地震発生に備えた対策に注力

東京ガス株式会社は1885年の創立以来、120年余の長きにわたり、首都圏を中心とした地域への都市ガス供給を通じて、住民の豊かな暮らしや産業の発展を支えてきました。同社は、東京、神奈川をはじめとする1都6県のおよそ1050万件の需要家に対して、都市ガスに加え、電力・熱供給などエネルギーにかかわる付加価値を提供しています。また、1969年に国内に先駆けて都市ガスの原料として液化天然ガス(LNG)を導入したことでも知られ、今日では、家庭・産業分野における天然ガスの高度利用を通じて、低炭素化社会の実現に積極的に貢献しています。

一方、顧客の快適な生活を支える都市ガスを24時間365日安定して届けるため、「安全・安心・信頼」というブランド価値を長年にわたって追求し、地震などの緊急時に備えた防災システムの開発にも注力しています。その一環として、20年ほど前から供給エリア内の地区ガバナ※1のすべてに地震センサを設置してきました。

もともとの仕組みは、地震センサが一定以上の揺れを検知すると、自動的にガスの供給を停止するという振り子式センサを用いたものでしたが、1995年1月の阪神・淡路大震災を契機に、センサで検知したガスの圧力や流量、揺れの大きさなどの情報を、通信機能を使ってセンターで収集し、より的確な対応が行えるようなシステム構築の必要性を痛感。設置から時を経て、老朽化したセンサの置き換えに合わせて、そうした技術的ブレークスルーを実現できるインテリジェントなセンサの開発に向けて舵(かじ)を切りました。

「折しも、自動車に搭載されるABS※2やエアバッグなどの制御の分野を中心に、市場にはマイクロマシニング※3技術による高性能な加速度ピックアップが登場してきており、地震センサに利用できないものかと考えました。そして、様々なメーカーに相談をもちかけたところ、結果的に我々の共同開発の呼びかけに、唯一手を挙げてくれたのが、以前から地区ガバナに設置された各種計器類のデータをセンターに送信するための遠隔データ収集装置を提供していた山武でした」(清水氏)

※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。

自動遮断と遠隔遮断により震災時にガス供給を安全に停止

東京ガス、山武の共同開発の下、生み出されたのがインテリジェント地震センサSES™シリーズです。同製品では、地震の揺れの指標として一般的に用いられる「震度」や「加速度」ではなく、SI値※4による計測を行い、構造物の被害状況を推定できることが最大の特徴となっています。

現在、東京ガスでは、このSESシリーズを供給エリア内4000カ所の地区ガバナのすべてに設置し、約1Km²に1基という世界でも例を見ない高密度の地震センサネットワークを整備。地震による 一定以上のSI値を検知した際には、地震センサと併設されている自動遮断装置と連動して、顧客へのガスの供給を安全に遮断する仕組みが実現されています。さらに、地震発生時にはSESシリーズの最新版 SES60から山武の遠隔データ収集装置であるデータコレクタ DCX350を介して、揺れの大きさや遮断実行についての情報が、FOMA回線経由で、東京ガスの地震防災システムSUPREME(シュープリーム)に送信される仕組みも構築しています。SUPREMEには、地震発生後5分以内に情報が集められ、SI値を基に被害推定を行って、必要であればセンター側から遠隔操作で任意の地区ガバナにおけるガス供給を遮断することができるようになっています。

「人的な遮断作業は、従来であれば担当者が現場に駆け付けるほかなく、阪神・淡路大震災クラスの地震では、交通網の麻痺(まひ)などの問題もあって40時間程度かかるものと想定していました。これに対し、遠隔遮断をシステム的に実現したことにより、現在では10分程度で作業を完了させることができる体制が整い、保安レベルが大きく向上するという成果が得られています」(山本氏)

※FOMAは、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモの商標です。
※SUPREMEは、東京ガス株式会社の商標です。
※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。

東日本大震災においても想定どおりの動作を確認

地区ガバナステーションに設置されたインテリジェント地震センサ SES60。

地区ガバナステーションに設置されたインテリジェント地震センサ SES60。

SES60およびDCX350を中核に構築されたこのシステムは、東京ガスの供給エリアにおいて震度5弱~6強の揺れが観測された、2011年3月11日の東日本大震災に際しても想定どおりの動作が確認されています。

「4000カ所の地震センサからは漏れなく、そして正確なデータが送信されてきたほか、感震時の自動遮断についても、あらかじめ設定された地震動を検知したところでは100%正しく動作しました。不要なところでの誤遮断といった問題も一切発生していません。また、SES60では加速度波形から液状化の有無を検知して警報を出す機能も搭載していますが、その妥当性についてもこの震災において確認することができました」(山本氏)

今後、この地震防災システムのより一層の強化を図りながら、ガスの供給にかかわるさらなる「安全・安心・信頼」を追求していくことになります。

「直近で取り組もうとしている強化ポイントとしては、感震により自動遮断されたケースにおいて、ガス管や設備などに被害がないことが確認された場合、現状では担当者が当該の地区ガバナの場所に出向いて供給を再開するという作業を行っていますが、この作業の効率化のための、センシング・モニタリングの開発を推進し、早期供給再開ができるような仕組みもぜひ実現したいと考えています」(乗藤氏)

「今後も山武には、工場をはじめとするクリティカルな現場で培ったその持ち前の高度な計測・制御にかかわる技術力とノウハウをベースに、良きパートナーとして当社の取組みを強力に支援してくれることを期待しています」(清水氏)

※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。

用語解説

※1 地区ガバナ

ガスの消費量の増減に合わせてガスの圧力を自動的にコントロールする機能を持つガバナ(整圧器)により、工場から高い圧力で送出された都市ガスを安全な圧力に変換して需要家に供給するための設備。東京ガス管内の多くの地区ガバナではazbilグループの金門製作所製N-AFVガバナが設置されており、同システムを通じて保安の向上に貢献しています。

※2 ABS(Antilock Brake System)

急ブレーキまたは低摩擦路でのブレーキ操作において、車輪のロックによる滑走を防止する装置。

※3 マイクロマシニング

微細加工技術。小型で高機能な部品を組み立てられた状態で一括形成できる加工技術。

※4 SI値(Spectral Intensity)

米国のハウスナー(G.W.Housner)によって提唱され、地震によって一般的な建物にどの程度の被害が生じるかを数値化したもの。

お客さま紹介

東京ガス株式会社 防災・供給部 部長 清水 善久氏
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防災・供給部
部長
清水 善久氏
東京ガス株式会社 防災・供給部 防災・供給グループ マネージャー 山本 貞明氏
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防災・供給部
防災・供給グループ
マネージャー
山本 貞明氏
東京ガス株式会社 防災・供給部 防災・供給グループ 防災チーム 乗藤 雄基氏
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防災・供給部
防災・供給グループ
防災チーム
乗藤 雄基氏

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  • 所在地/東京都港区海岸1-5-20
  • 創立/1885年10月1日
  • 事業内容/ガスの製造・供給および販売、ガス機器の製作・販売およびこれに関連する工事、エネルギーサービス

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2011年10月号に掲載されたものです。

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