電力需給最適化支援 ENEOPTpers
国立大学法人 新潟大学
電力使用量の見える化により、節電意識の向上と継続的な節電行動に貢献
新潟県新潟市に立地し、環東アジア研究センターを設置するなど、東アジア地域における学術活動の拠点的存在でもある新潟大学では、東日本大震災に伴う電力使用制限を機に、学生・教職員の節電意識の向上を目的とした電力使用量の“見える化”に着手。可視化された情報を全学で共有することで、政府からの要請を問題なくクリアすることができました。また、電気事業法第27条の節電期間終了後も節電行動が継続するなど、節電への関心を高めることにも成功しています。

国立大学法人 新潟大学
建物分野 工場・プラント分野 その他(市場・産業) 省エネルギー 運転監視・制御システム&ソフトウェア
導入製品・サービス
電力使用量の"見える化"による節電意識の向上を狙う
国立大学法人 新潟大学は9学部と5大学院研究科に加え、2つの専門職大学院、2つの研究所、医歯学総合病院を持つ大規模総合大学です。本州日本海側唯一の政令指定都市である新潟県新潟市に立地し、国内のみならず、東アジア地域における学術活動の拠点的存在として機能しています。
また、新潟市は山と海に囲まれた豊かな自然環境を持つ田園型都市という側面を持っていることもあり、新潟大学では「地域共生型の環境調和」を基本理念に、環境保全に関する教育・研究活動を推進してきました。その1つが教育・研究活動による地域環境の負荷低減への取組みです。そして2011年7月、学生や教職員の節電意識の向上を目的にキャンパス内施設における電力使用量の"見える化”を実施。東日本大震災後に発令された電気事業法第27条※1を契機に、新潟大学の節電への新たな取組みが始まりました。
「2011年当時、新潟大学では政府からの使用最大電力の前年比15%削減という要請を遵守した上でこの災害に対して大学として何をすべきかを考えていました。そこで国の要請に5%を上積みした20%という削減目標を掲げました。万一停電にでもなれば、教育や研究はもちろん、医療サービスの提供も難しくなり、本学の役割を果たすことができなくなるからです。そして、この目標達成に欠かせないのが学生や教職員を巻き込んだ節電活動と考え、啓発活動の拡充に取り組みました。その一環として電力使用量の可視化とその公開を考えていたのです」(田中氏)
「節電の結果を具体的な数字として学生や教職員に公開することで、皆さんのやりがいを育て、節電意識の向上につなげたいという狙いもあります。また、全学の様子を伝えることで大学全体が一丸となって節電に取り組んでいる雰囲気が生まれる効果も期待していました」(齋藤氏)
既存システムを活用し、建物単位での電力使用量を公開
新潟大学の教育・研究活動は、主に新潟市郊外にある五十嵐地区と、市中心部に位置する旭町地区の2つのキャンパスで行われています。今回の見える化もこの両拠点を中心に、既存の建物管理システムを利用した電力使用量の可視化を実現するというものでした。
このとき浮上したのが両地区に導入されている既存システムのベンダーの違いでした。現状のままでは2つの地区の電力使用状況を同一画面上で表示することができません。しかも旭町地区の一部と旭町地区に隣接した西大畑地区にある建物は電力系統が独立しており、既存システムによる可視化が難しいことが判明したのです。一方で電力使用制限の開始まで時間がないこともあり、まずは建物単位での見える化から着手することにし、旭町地区の一部と西大畑地区については新たにアズビル株式会社の電力需給最適化支援パッケージENEOPT™pers(エネオプトパース)を導入することにしました。その結果、既存システムを活用した五十嵐地区、旭町地区、そしてENEOPTpersを新たに導入した旭町の一部と西大畑地区の3つの異なるシステムにより電力使用量の見える化がスタートしました。
「新潟大学では2011年の夏季節電を一過性のものとせず、環境保全活動の一環として今後も継続していく予定です。そこで今回の節電を総括する意味で学内を対象にアンケートを実施しました。その中で電力使用量の見える化について聞いたところ、各自の節電をサポートするツールとして使われている現状が見えてきました。例えば、実験装置を使う場合も、まずその必要性を考え、今の電力使用状況を確認してから使うようになったという声が上がるなど、各自がそれぞれの立場で考えて節電に取り組んでいる様子が見えてきました」(吉原氏)
「全地域を見比べるには3つのシステムの画面をそれぞれ個別に見なくてはならないものの、学部などの単位で電力使用量が分かるのがよかったのか、多くの方に見ていただいたことが分かりました。画面については、既存の建物管理システムが提供する五十嵐地区と旭町地区の両画面はもともと施設管理専用のものだったので画面の見方が難しかったのに対し、ENEOPTpersは見やすく扱いやすかったという声が多数寄せられました。一般の方への公開を意識した色使いや画面構成、操作性を持つENEOPTpersの良さを改めて実感しました」(井上氏)

学生や教職員だけがアクセスできる学内専用ネットワークで提供される電力使用量を“見える化”した画面。学部や研究科ごとに表示する。現在の電力使用量や1時間分の積算電力グラフなどを確認できる。
節電コミュニケーションツールとして、ENEOPTpersが貢献

旭町地区(新潟大学病院)を管理しているアズビルの建物管理システム savic-net™FX。管理している電力情報をENEOPTpersサーバーに送信している。
2011年夏季の節電は、学生や教職員の協力もあって新潟大学が計画した20%削減という目標を上回る23%削減という成果を出すことができました。しかも夏季節電が終わっても電力使用量が元に戻ってしまうこともなく、節電活動が継続しています。この節電意識の変化からも、ENEOPTpersをはじめとした電力使用量の見える化が果たした役割は大きかったようです。
「向上した節電意識を根づかせるため、新潟大学では『冬の節電』と名づけて10%の節電を目標に2011年12月から2012年3月まで実施しました。この節電は新潟大学独自の取組みのため、学生や教職員の関心をいかに高めるかがポイントになります。そこで冬の節電に合わせ、これまで3種類のシステムの画面で個別に表示していた各地区の電力使用量の見える化を、ENEOPTpersで一本化することにしました。より見やすくすることで人々の関心を高めることが狙いです」(井上氏)
既存の建物管理システムから電力情報を取り出してENEOPTpersの専用サーバーに収集し、全地域の電力使用量を1つの画面で確認できる仕組みを構築。2012年1月から稼働し、全学に向けて発信しています。
「現在では五十嵐、旭町・西大畑地区21拠点の情報を1つの画面で確認できるようになり、ほかの地区の電力使用状況と比較できるため、学生や教職員の節電活動に対する意識も高まりました」(齋藤氏)
「冬の節電では、いくつかの研究室を訪問し現状の把握と啓発活動を実施しています。見える化により実際の数字を通して学生や教職員と会話ができるため理解も得やすく、さらに節電活動を推進することが可能です。今後はコミュニケーションツールとしても有効に活用していきたいと考えています」(田中氏)
用語解説
※1 電気事業法第27条(概要)
東京電力、東北電力管内の契約電力500kW以上の大口需要家に対し、電力需要が増加する2011年7月1日~9月9日(東北電力管内)の、平日9時~20時の使用最大電力を、前年の同期間・同時間帯比で15%削減することを要請。
お客さま紹介

施設管理部
部長
田中 敏夫氏

施設管理部
施設保全課
課長
井上 康彦氏

施設管理部
施設保全課
保全係長
齋藤 晃央氏

施設管理部
施設保全課
旭町エネルギー管理
係長
吉原 健氏
国立大学法人 新潟大学

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- 所在地/新潟県新潟市西区五十嵐2の町8050番地
- 創立/1949年
- 全学概要/9学部、5大学院研究科、2専門職大学院、2研究所、医歯学総合病院
- 学生数/12,652名(2011年5月1日現在)
この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2012年06月号に掲載されたものです。